2024年7月19日から9月8日までの計52日間、「モンスターハンター(モンハン)」シリーズ20周年を記念した展覧会「モンスターハンター20周年-大狩猟展-」が東京の六本木ヒルズ「森アーツセンターギャラリー」にて開催される。
「モンハン」シリーズは、雄大な自然のなかで巨大なモンスターに立ち向かうハンティングアクションゲーム。2004年にPlayStation 2(PS2)で『モンスターハンター』がリリースされてから20年で、シリーズの累計販売本数は全世界1億本を突破(2024年3月31日時点)している。
「大狩猟展」では、そんな20年の狩りの歴史が詰まったさまざまなコンテンツを用意。7月18日にはメディア向けの先行内覧会が開催されたので、会場の様子をお伝えする。
体験を楽しめるコンテンツやハイクオリティな展示で20年を凝縮
会場に入ると、シリーズでハンターの相棒を務める「オトモアイルー」がお出迎え。「一狩り行こうぜ」と言わんばかりに右手を掲げたポーズがキマっている。
そして、薄暗い部屋に足を踏み入れれば、いよいよクエストスタートだ。1つ目のコンテンツ「アニバーサリーシアター」が目の前に広がる。ここでは、メインの大型ディスプレイに加えて、両サイドにあるいくつもの液晶ディスプレイで歴代シリーズの映像を放送。さまざまな映像が一気に映し出される光景は圧巻で、20年の歴史が詰まった空間に圧倒される。特定の過去タイトル映像をじっくり眺めて懐かしむのもいいだろう。
「武器プロジェクション」の展示もおもしろい。14種類の武器ごとに用意されたパネルをタッチすると、カッコいい演出とともに武器が出現する。眼の前に浮き出るように映し出されるため、手を伸ばせば掴み取れるのではないかと錯覚するほど臨場感があった。
なお、1つのパネル操作の鑑賞には制限時間があるものの、同じ武器種でも異なる武器に映像を切替可能だ。26モンスターから生産できる14武器の計277種を用意しており、パネルにはどのモンスターの素材から作られた武器かも表示してくれる。
また、モンスターの素材で作れるのは武器だけではない。『モンハン』には多彩な防具も登場する。外見に大きく影響するため、デザインで防具を選ぶハンターも少なくないだろう。
そんな防具をじっくり鑑賞できるのコンテンツが「防具インタラクティブ」だ。ディスプレイをタッチすると、219種類のモンスターから生産される防具を表示させられる。防具を身にまとったハンターの姿を眺めれば、討伐したモンスターとの思い出がよみがえること間違いなしだ。同じ部屋には防具の設定画のほか、タマミツネの素材で作れる太刀「狐刀カカルクモナキ」が展示されていた。
「武器プロジェクション」「防具インタラクティブ」のエリアを抜けると、広い空間が現れた。ここでは「モンスター図鑑AR体験」として、現実空間に大型モンスターが登場するようなAR体験を楽しめる。1人回のみの体験で、時間は約6分。AR用ヘッドセット「Meta Quest 3」を使用するが、10歳未満の子どもはタブレットを使った体験になる。
案内された番号の場所に立ってヘッドマウントディスプレイを装着すると、巨大なリオレウスが映し出された。ゲームのクエスト中はあまりじっくり見る余裕のない大型モンスター。プレイ中にディスプレイ上で見るのと違って、かなり近くから観察できるので、「ジンオウガはこんなところも光るのか」「尻尾はゴツゴツしてそうだな」など、ゲーム時には気にならないところに目が行くのが新鮮だった。
選べるモンスターは「リオレウス」「リオレウス亜種」「クシャルダオラ」「ティガレックス」「ナルガクルガ」「ラギアクルス」「ジンオウガ」「ブラキディオス」「ゴア・マガラ」「セルレギオス」「ディノバルド」「バルファルク」「ネルギガンテ」「イヴェルカーナ」「マガイマガド」「メル・ゼナ」の16種類。お気に入りのモンスターをずっと眺めるもよし、さまざまなモンスターを切り替えて違いを堪能するもよし。思い思いの楽しみ方ができるだろう。
なかでも個人的に驚いたのは「マガイマガド」だ。『モンスターハンターライズ』のゲーム中ではあまり大きいと感じなかったが、実際に目の前にすると、かなりのデカさである。腕(前足)はたくましく、クマの10倍くらいありそうな太さ。しかも、切り替えた瞬間にバッチリ目が合う。するどい眼光に立ち尽くすほかなく、まさに蛇に睨まれた蛙だ。この凶暴なモンスターに立ち向かうなんて、改めて「ハンターは勇敢だなあ」なんて思っていたら、6分の体験はあっという間に終了してしまった。
「モンハンヒストリーゾーン」では、20周年の歴史を刻んだ「モンハンヒストリーウォール」に加え、全44種類のフィギュアの展示で“「モンスターハンター」の20年間”を演出。なかでも注目すべきは、2025年発売予定の最新作『モンスターハンターワイルズ』に登場する「セクレト」が展示されていることだろう。
ハンターの移動をサポートしてくれる乗用動物「セクレト」。ゴツゴツした皮膚の部分やフサフサの羽根の部分が超リアルで、今にも動き出しそうな完成度である。そのクオリティは、シリーズプロデューサーの辻本良三氏が「監修中、ずっとゲームの画面イメージを見せてもらっているのかと思っていたら、実物の展示フィギュアだった」と絶賛するほど。「大狩猟展」に来たら、じっくりと見てほしい展示の1つだ。
そして、何と言っても、大トリを飾る「黒龍襲来」は迫力満点。大きく口を開けた黒龍「ミラボレアス」の頭部と岩を掴む手が展示されている。
目の前に立つと、その存在感に戦慄するだろう。「カッコよさ」と同時に、「怖さ」までみごとに表現された超本格的造形物である。まさにハンターに襲いかかる瞬間が切り取られており、“頭部完全破壊”を狙いにいくのがいかに危険と隣り合わせであるか痛感させられた。
記念グッズも豊富にラインアップ! 個人的なオススメは「フルフルTシャツ」
「大狩猟展」の展示は以上だが、忘れてはいけないのが「グッズ」。Tシャツやアクリルスタンド、ピンズコレクション、公式図録など、オリジナルのアイテムを多数ラインアップする。個人的には、白い生地に赤いジッパーが付いた「フルフルジッパーTシャツ」(6,600円)がかなり気になった。ジッパーを開けると鋭い牙が出てくる仕様で、キモかわいさがあふれる。
回復薬/クーラードリンクのデザインをした「保冷剤」(各750円)は、暑い日が続くこれからの季節に実用的。「アイテムポーチ風ポーチ」(1,800円)のデザインは、「力の護符」「力の爪」のほか、「ネット」や「トラップツール」も描かれていて、2回目の「落とし穴」も調合できるようになっていた。なお、オリジナルグッズの詳細は公式サイトを参照してほしい。
コラボカフェでも「フルフル」に出会う
さらに、「大狩猟展」と同じフロアにはコラボカフェ「大狩猟CAFÉ」が設置される。特徴的なオリジナルコラボメニューが多く、特に「奇怪竜フルフルのピザトースト」(1,650円)は、フルフルの見た目と雰囲気をみごとに再現したメニューと言えよう。
コラボメニューは以下の通り。注文すると、1人につき1枚オリジナルランチョンマット(全2種)がプレゼントされる。
火竜リオレウスのスパゲティアラビアータ(1,680円)
奇怪竜フルフルのピザトースト(1,650円)
爆鎚竜ウラガンキンカレー(1,620円)
雷狼竜ジンオウガの卵チャーハン(1,550円)
冰龍イヴェルカーナのかき氷(1,490円)
泡狐竜タマミツネのパフェ(1,590円)
角竜ディアブロスラテ(1,050円)
炎王龍テオ・テスカトルのマグマソーダ(1,180円)
白兎獣ウルクススの雪玉フローズン(1,200円)
回復ミツムシの抹茶ミルク(1,150円)
先行内覧会では、実際にフードとドリンクのメニューを試食できたので、「奇怪竜フルフルのピザトースト」と「炎王龍テオ・テスカトルのマグマソーダ」をいただいた。
一見するだけだと、なんだかよくわからない「フルフル」のコラボフード。唇の部分が生ハムでいやにリアルだ。ちょっとかわいそうな気もしたが、ナイフでグサっとフルフルの顔を一刀両断してみると、なかからサラミや玉ねぎ、ピーマンといった具材が姿を現す。
ひとくち食べてみると、おどろおどろしい見た目とは裏腹に、ちゃんと「ピザトースト」の味。しかも、外側の白い部分が大量の「チーズソース」であることがわかった。濃厚なチーズソースとピザソースとの相性は抜群。生ハムの塩気がほどよいアクセントになっており、あとを引く味わいだ。
「炎王龍テオ・テスカトルのマグマソーダ」は、ザクロ風味のスッキリとしたドリンク。上に乗っているイチゴ味のクラッシュアイスを溶かして味の変化を楽しめる。
モンハン大好き芸人「さや香」石井さんがオリジナルモンスターをプレゼン
そのほか、内覧の前には、メディア向けの説明会を開催。お笑いコンビ「さや香」の新山士彦さんと石井誠一さんがゲストとして登壇した。特に『モンハン』の大ファンでヘビィボウガン使いの石井さんは、「大狩猟展」のコンテンツ「モンスター図鑑AR体験」を実際に体験し、大興奮。「迫力がスゴい! まじでスゴいな! 息遣いが怖いくらい。リオレウスがこんなに地面にいてくれるんだ。初代では全然空から降りてきてくれませんでしたからね。ラギアクルス、でっか。なっが。角いっこいっこがこんなデカいんや」と思う存分楽しんでいた。
ちょうど明日から『モンハン』をプレイするつもりだったと話す新山さんは、ライト層代表として「感覚的にカッコいい、タッチして楽しい。迫力があるんで『モンハン』に詳しくない友だちと一緒でも楽しめると思います」と、展示を見た感想を述べた。
さらに、さや香の2人がオリジナルモンスターを辻本氏にプレゼン。まず、石井さんは「カタパルタス」というモンスターを発表した。生態系や攻撃の方法までかなり細かく練られており、これには辻本氏も「発想はおもしろい」と高評価。ボケなしのガチプレゼンについて感心している様子を見せた。
一方、新山さんは、年によって強さが変わる「ベースボールタイガー」を考案する。辻本さんが「背番号が付いている感じですか」と聞くと、「個体ごとに背番号が変わるんです。防御はすごいいいんです」と新山さん。すると「ピッチャーがいいんですね。打線がねぇ」と、辻本さんが新山さんの阪神タイガースネタに乗って、会場は笑いに包まれた。