賞金総額96億円のeスポーツ大会、「Esports World Cup(eスポーツワールドカップ/EWC)」が2024年7月3日に開幕しました。開催地はサウジアラビアのリヤドです。大注目のeスポーツ大会ではありますが「eスポーツや出場選手に詳しくないので観るのを躊躇している」という人もいるでしょう。

そこで今回は、今からでも「なんとなくわかる」「観戦で楽しめる」レベルになれるよう、全22競技21タイトルで行われる「EWC」の概要と、筆者が把握している注目の日本人選手を紹介します。

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    サウジアラビアのリヤドで行われる「EWC」

「Esports World Cup」とは

「Esports World Cup」とは、eスポーツイベント「Gamers8」()の後継大会です。500以上のチーム、1,500人以上の選手が参加し、大会の総時間は数百時間に及びます。

2024年7月から8月の約8週間にわたって、21種類のゲームタイトルで全22の競技を実施。「Esports World Cup」公式YouTubeチャンネルのほか、スポーツ・チャンネル「DAZN(ダゾーン)」でも全競技が無料で配信されます。

「Gamers8」は、『ロケットリーグ』や『Dota 2』、『フォートナイト』、『レインボーシックスシージ』など、さまざまなタイトルで開催されたeスポーツ大会。2023年大会では、日本のゲームである『鉄拳』や『ストリートファイター6(スト6)』も採用され、『スト6』部門では、日本人選手の翔選手が初代王者となった。

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    2024年7月3日から約8週間にわたって開催

日本人は出場する?

大会には日本人選手も出場します。なかでも注目したいのは、『PUBG Mobile』部門に出場するeスポーツチーム「REJECT」でしょう。2024年の世界大会では、日本チームとして初めて『PUBG Mobile』の国際大会で優勝しています。

さらに『Fortnite』部門、『Teamfight Tactic』部門には、国内で大人気のeスポーツチーム「ZETA DIVISION」が出場。『スト6』には多くの日本人が出場しており、上位進出の期待が高まります。

以下、現時点で筆者が把握している日本人選手を一覧にまとめたので、参考にしてみてください。(敬称略)

【Apex Legends】

YukaF(Fnatic)
satuki(Fnatic)
Lykq(Fnatic)

1tappy(GHS Professional)
4rufa(GHS Professional)

YUKIO(RIDDLE)
saku(RIDDLE)
UmichanLoveti(RIDDLE)

wqtagashi(HAO)
5CG(HAO)
Right(HAO)
H8sak(HAO)

wayachang(RED Rams)
Datch(RED Rams)
inkya(RED Rams)

Taida(NORTHEPTION)
ReyzyGG(NORTHEPTION)
yukaPEROdator(NORTHEPTION)

mo-mon(FENNEL)
Pinotr(FENNEL)
Curihara(FENNEL)

1ron(TIE)
Famas(TIE)
Axis(TIE)

【PUBG Mobile】

Devine(REJECT)
SaRa(REJECT)
MimoriN(REJECT)
ReijiOcO(REJECT)
Duelo(REJECT)

Apollo(CAG OSAKA)
Mattun(CAG OSAKA)
GarnetOcO(CAG OSAKA)
Naoto(CAG OSAKA)
UmaruXD(CAG OSAKA)

【Fortnite】

Minipiyo(ZETA DIVISION)
Zagou(ZETA DIVISION)
yuma (ZETA DIVISION)
Koyota (ZETA DIVISION)

【ストリートファイター6(Street Fighter 6)】


もけ
ガチくん
りゅうきち
ひぐち
板橋ザンギエフ
ボンちゃん
カワノ
ひかる
ときど
立川

【TEKKEN 8】

チクリン
ノビ
ケイスケ

【Teamfight Tactics】

KAITO
kes
Taro
title

採用タイトルの概要と競技シーンの現状、注目ポイント

では、実際「EWC」はどんなゲームで行われるのでしょう。「EWC」に採用された21タイトルを紹介します。

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    「EWC」に採用された21タイトル

【FPS/TPS】

Apex Legends

『Apex Legends(エーペックスレジェンズ)』は、1チーム3人制で、最後の1チームになるまで複数のチームが同時に戦うバトルロイヤルゲーム。マップが広いため1試合の時間も長く、見ごたえがあります。また、移動スピードが速く、キャラクターの特殊能力は派手。激しい戦闘は、観ていて楽しめるでしょう。

Counter-Strike2

『Counter-Strike2(CS2)』は、2つのチームが5vs5で戦うシューティングゲームです。『Apex Legends』と異なり、サバゲーのような狭い場所で戦うため、突然目の前に敵が現ることもしばしば。そんなシーンでも的確に対処するプロゲーマーたちの反射神経に注目です。1人で相手5人を倒してしまう大逆転も起こるので、最後まで目が離せません。

Call of Duty Modern Warfare 3

20年以上の歴史を持つシューティングゲーム『Call of Duty(CoD)』シリーズの最新作。キャラクターの固有能力がないため、純粋なプレイヤーの射撃スキルで戦うのが特徴です。現代戦をイメージしており、リアリティのある武器が登場するので、ミリタリー好きな人にはオススメです。

Call of Duty: Warzone

『CoD』のバトルロイヤル版です。『Apex Legends』との大きな違いは個人戦であること。複数の敵に囲まれても、1人の力で突破する力が必要です。そんなプロゲーマーの対応力とプレイスキルに注目です。

Rainbow Six Siege

『Rainbow Six Siege(R6S)』は、『Counter-Strike2』と同じく、狭いマップ内で攻守に分かれて戦うゲーム。一番の特徴は、マップの壁を破壊して通路を作れる点です。このシステムによって、同じマップでも試合によって全く違う展開になります。FPSを見慣れている人ほど、新鮮な観戦体験になるでしょう。

Overwatch 2

『Overwatch 2(オーバーウォッチ 2)』は、FPSではありますが、後述するMOBAの要素もあるゲームです。5vs5のチーム戦であり、それぞれに明確な役割が割り振られています。FPSのなかでも特に集団戦で重要で、1人でもやられて人数が不利になった状態では戦うのが困難になります。派手な集団戦のなかで生き残りつつ、いかに5人での連携を維持するかが見所です。

PUBG: BATTLEGROUNDS

『PUBG: BATTLEGROUNDS(PUBG)』は、1チーム4人のバトルロイヤルゲーム。戦い方の自由度の高さが特徴です。ガンガン敵のキルを取りにいくチーム、建物に隠れてできるだけ戦わないチームなど、チームごとの戦略の違いが楽しめるでしょう。

PUBG Mobile

『PUBG Mobile』はPUBGのスマホ版。FPSと似ていますが、キャラクターの背後にカメラがある3人称視点のTPSなので、自分の動きをよく見ることができます。今大会では、日本から「REJECT」と「CAG OSAKA」が出場。特に「REJECT」は世界大会「PUBG MOBILE GLOBAL OPEN 2024」で優勝しているので、今回の大会でも活躍に期待したいところです。

Fortnite

『Fortnite(フォートナイト)』は、3人称視点のシューティングゲームです。最大の魅力は、ほかのシューティングゲームには見られない「建築」という要素。壁や階段などの遮蔽物を「建築」することで、敵からの攻撃を防いだり、高い場所に避難したりできます。本来はバトルロイヤル形式ですが、今回の大会では、陣取り合戦、旗の取り合いなどの特別ルールで競われます。

Free Fire

『Free Fire』は、ゲーム展開がとても早く、試合時間も10分程度と短いタイトルため、観戦しやすいTPSと言えるでしょう。5年連続世界で最もダウンロードされたバトルロイヤルゲームであり、1日のアクティブユーザー数が1億人を超えたとされています。

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    『Call of Duty: Warzone』のゲーム画面

【MOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)】

Dota 2

『Dota 2』は、元祖MOBAと言えるゲームタイトル。MOBA全般としての流れは、序盤にキャラクターを成長させ、中盤に相手や相手のタワーを破壊、最終的に相手の本拠地を破壊するというイメージです。見所は序盤の1vs1の戦い、中盤からの集団戦です。MOBAの特徴として、一度、有利になったチームがそのまま勝つことが多いのですが、チームの戦術や選手のファインプレーで逆転することもあるので、そのタイミングが盛り上がりポイントです。

League of Legends

日本だと『Dota 2』よりも知名度の高いMOBAゲームが『League of Legends(リーグ・オブ・レジェンド/LoL)』。『Dota 2』と比べて、エフェクトの派手さや戦闘時のスピード感があるので、観戦向きと言えます。注目の選手は、韓国のプロチーム「T1」のFaker選手。「LoL Esports」がトッププレイヤーを称えるために設立した「Hall of Legends(殿堂入り)」に選ばれた超有名プレイヤーです。

Mobile Legends:Bang Bang

『Mobile Legends:Bang Bang』は、スマホでプレイするMOBAです。1ゲームあたりの試合時間が20分程度と、MOBAにしては短めなので、気軽に観戦したい人にオススメです。今大会では、女性部門が用意されています。

Honor of Kings

『Honor of Kings』もスマホ向けのMOBA。2024年6月20日に日本版がリリースされて話題になりました。こちらも試合時間が20分程度なので、観戦しやすいタイトルです。

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    『League of Legends』のゲーム画面

【RTS(リアルタイムストラテジー)】

StarCraft Ⅱ

『StarCraft Ⅱ』は、RTSのeスポーツとして元祖と言えるタイトル。1vs1で戦います。1人で複数のユニットに指示を出しながら、自陣を拡張し、相手の本拠地を破壊を目指します。序盤は準備期間のような時間が流れますが、いざ戦いが始まると、勝負が決まるのは一瞬です。少しのミスも許されないので目が離せません。

Teamfight Tactics

『Teamfight Tactics』は、『League of Legends』の開発元である「Riot Games」が作ったRTSゲームです。プレイヤー8人によるバトルロイヤル形式。『League of Legends』と同じチャンピオン(キャラクター)が使用されるため、両方のゲームを視聴すると親近感を持てるかもしれません。日本からは「ZETA DIVISION」の新チームが参戦しています。

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    『StarCraft Ⅱ』のゲーム画面

【格闘ゲーム】

Street Fighter 6

『Street Fighter 6(ストリートファイター6/スト6)』は、いま日本で最も勢いのある対戦格闘ゲームの1つ。地上での殴り合いだけでなく、飛び道具やそれを避けるジャンプもあるので、アクロバティックで多彩な駆け引きが楽します。東大出身プロゲーマーであるときど選手をはじめ、多くの日本人選手が出場しているので、応援しがいがあるでしょう。

TEKKEN 8

『TEKKEN 8(鉄拳8)』は、前述の『スト6』と比較すると、飛び道具が少なく、ジャンプも多用されないので、基本的に地上での殴り合いを中心に展開される対戦格闘ゲーム。まさに現実世界の格闘技に近い戦いが繰り広げられます。「近づいて近接攻撃」「近づかせないように先読みして攻撃」「先読みを読んで距離を取る」の「三すくみ」と、そこに3D方向の移動を絡めた、テクニカルな読み合いが見所でしょう。

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    『TEKKEN 8』のゲーム画面

【スポーツゲーム】

EA SPORTS FC 24

1人で11人の選手を操作するサッカーゲームです。見た目やルールは実際のサッカーと同じなので観戦しやすいでしょう。サッカーゲームといえば、「FIFA」シリーズを思い浮かべる人も多いかもしれませんが、『FC 24』はその後継作です。ボレーシュートなど、アクロバティックな動きも多彩。選手がアップになる瞬間は、リアルで迫力のあるグラフィックに驚くでしょう。

Rocket League

『Rocket League(ロケットリーグ/ロケリ)』は、車でサッカーをする3vs3のゲームです。空中でパスを受け取ったり、壁を走ったりと、現実ではありえないようなサッカーが展開されます。ヨーロッパや南米、北米地域を中心に流行しているタイトルですが、日本で行われていた「全国高校eスポーツ選手権」で採用されました。注目の選手は、フランス出身のvatira.選手です。15歳でプロデビューを果たして、現在16歳という若さでありながら、すでにロケットリーグの主要な大会で優勝経験を持っています。

RENNSPORT

『RENNSPORT』は、車で走って順位を競うゲーム。見た目は現実のカーレースと同じなので、観戦しやすいでしょう。物理シミュレーションだけではなく、グラフィックのリアリティも圧巻。景色は美しく、音の再現性も高いため、車好きの人は観戦しているだけで楽しくなるでしょう。

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    『EA SPORTS FC 24』のゲーム画面

最後に

eスポーツ史上最大規模の大会「Esports World Cup」と採用タイトルについて解説しました。聞いたことのないタイトルもあったかもしれませんが、どれも個性的なので、気に入るゲームがあるでしょう。世界中のトッププレイヤーと日本人選手の戦いに注目です。