2024年7月2日に発売される『The First Descendant』は、最大4人までの協力プレイが可能な三人称視点のアクションシューティングRPG。2023年9月に実施された「オープンβテスト」では、200ヶ国以上から約200万人の参加者が集まった注目作だ。
製品版のリリースに先駆け、開発元のネクソンはメディア向けの試遊会「The First Descendant Japan Showcase」を開催。恐れ多くもゲーム初心者の筆者が参加する機会をいただいたので、その様子をお伝えしたい。
ベーシックな操作とワイヤーアクションがゲームプレイを楽しくする
『The First Descendant』でプレイヤーは、「継承者」と呼ばれる特殊能力を持ったキャラクターを操作し、次元を超えて地球を侵略するエイリアン「バルガス」から人類の平和を取り戻さんと戦う。
試遊会は、チュートリアルを含むメインストーリーのプロローグからスタート。3人の継承者から1人を選択し、遺跡に眠る重要アイテム「アイアンハート」の回収任務にあたる。
まずは、任務遂行の相棒「バニー」を追いかけながら、基本的な操作のチェック。ダッシュやジャンプを試していると、道中で敵のバルガスに遭遇し、戦闘チュートリアルが始まった。キーボード&マウス操作のデフォルト設定では、マウス移動で視点の操作、右クリックで銃の照準を合わせ、左クリックで射撃だ。
「操作が難しそう」と怯えていた筆者だが、実際にプレイしてみると、キーボード&マウス操作でも直感的に銃を撃つことができた。敵が異形のエイリアンであるため、対人戦より的が大きく狙いやすいのもポイントだ。
また、継承者たちは戦闘時に多様な効果を発揮する固有スキルを持つ。例えば、筆者が選択したビエッサーの属性は「氷」。冷媒放出ドローン「アイススフィア」を操って敵にダメージを与えたり、「フロストロード」で地面を凍結させて敵の動きを阻止したりする。 固有スキルはキーボードのワンボタンで発動可能。キーの位置さえ把握すれば、戦闘中でも焦らず操作できた。
チュートリアルでは、本作の特徴であるワイヤーアクション「グラップリングフック」の操作も学ぶ。グラップリングフックは、ポイントを合わせた場所にワイヤーを発射し、ワイヤーを巻き取る力で高速移動するギミックだ。
ジャンプでは届かない高所にも楽に飛び移ることができるほか、敵の攻撃を素早く回避するのにも有用である。加えて、チュートリアルの最後に登場する巨神「グレイブ・ウォーカー」のような大型の敵に対しては、グラップリングフックを使ってその巨体に飛び乗り、直接攻撃を与えることができる。
ワイヤーの発射距離や着地の慣性など感覚をつかむまでに少々時間はかかったものの、空を駆けるスピード感が爽快で、ちょっとした移動でもつい使いたくなる。開発中に繰り返し改善が行われてきたこともあり、ゲームプレイの幅を広げる魅力的なアクションに仕上がっていると感じた。
チュートリアルで覚えた操作を駆使し、無事にグレイブ・ウォーカーを撃破。しかし、遺跡の深部で回収したアイアンハートは、強大な力を持つバルガスたちのリーダー「カレル」によってその力を奪われてしまう。やむなく継承者たちの本拠地「アルビオン」へ帰還したところで、プロローグは終了した。
チュートリアルをメインに紹介したが、高精細なグラフィックで描かれる壮大な世界観、多くの謎が潜むストーリー、キャラクター一人ひとりのバックグラウンドなどにも興味をそそられた。ぜひ、製品版をプレイして、続く物語を堪能したい。
協力プレイの醍醐味を満喫! 仲間と知恵を出し合い、作戦を練る
ソロプレイのプロローグに続き、試遊会では4人で進める協力プレイコンテンツにも挑戦。初対面の会場内の方々と即席パーティーを組むことになり、「足を引っ張る未来しか見えない……」と戦々恐々としていた筆者だったが、結論から言うと終わる頃には「めちゃくちゃ楽しいじゃん!」と様変わりしていた。
最初に挑戦した「侵入作戦」は、メインストーリーの進行状況に合わせて展開されるインスタンスダンジョン形式のエンドコンテンツ。試遊会では、難易度ノーマルの「封鎖エリア」をプレイした。
洞窟内から作戦が始まり、量産兵を撃ち倒しながら仲間とダンジョンを進む。要所で多数の敵が出現するエリアがあり、敵に囲まれてあたふたしていると、仲間の「ブレア」が広範囲の敵にダメージを与える火炎放射スキルで助けてくれた。お互いの特性を活かした戦闘は、ソロプレイにはない楽しさがある。
ダンジョン最深部に到達すると、侵入作戦のボスである冷血の先鋒「ゴロス」が現れた。ゴロスは、当たると一定の時間動けなくなるミサイル攻撃や、プレイヤーを追跡し続ける円盤での攻撃をしかけてくる。
それらを避けるだけでも大変なので、筆者は安全圏の高所からチクチクと攻撃を加えていった。それでも仲間が倒れれば、すかさず救助に向かう。仲間を助けたときの、「役に立てた!」という喜びは、敵を倒した喜びよりもはるかに大きかったからだ。
一定のダメージを与えると、ゴロスは無敵状態となり、あらゆる攻撃が無効化する。一体どうやって倒すのだろうと悩んでいたら、仲間がゴロスの上に浮遊する球体を撃ち始めた。なるほど、それが弱点なのか。味方の行動から攻略法を学び、高所からスナイパーライフルで球体を狙い撃つ。ほかのメンバーの動きをマネするだけでも、初心者なりに力になれることが分かりうれしかった。
作戦開始から約20分でゴロスを撃破し、無事にミッションをクリア。ほっと一息ついて、仲間と勝利の喜びを分かち合う。今回はネクソンの方や、会場の近くにいた他メディアの方とパーティーを組んだが、ランダムマッチで見知らぬプレイヤーと共闘することも可能だ。発売時には全16種類の侵入作戦が登場。ぜひ仲間と共に攻略を楽しんでほしい。
続いて同じメンバーで「ヴォイド迎撃戦」に挑戦。プロローグで登場した巨神「グレイブ・ウォーカー」のような大型の敵とのボス戦を楽しめる。こちらも最大4人パーティーを組んで挑む、協力プレイコンテンツだ。発売時には、ノーマルとハードの各8種類の巨神が登場。試遊会では、ノーマルの「スワンプ・ウォーカー」と「ハングドマン」に挑戦した。
先ほどの侵入作戦とは異なり、ヴォイド迎撃戦ではスタートすると目の前に巨神が現れ、すぐに戦闘開始。スワンプ・ウォーカー戦では、フィールドのそこら中に毒の沼地があり、落ちると継続ダメージを受ける。着弾地点を毒地にするミサイル攻撃も厄介で、気がつくとかなり体力を削られていた。
ひとまず高所に逃げようとグラップリングフックを使うも、巨神のボスは柱を破壊して足場を奪ってくる。定期的に出現する小型の敵への対処も一苦労で、仲間と連携を取るどころではなかった。
あまりの乱戦ぶりに息も絶え絶えで、筆者が倒れている間に仲間がスワンプ・ウォーカーを撃破してくれるという、なんとも不甲斐ない結果に終わってしまった。
一息おいて、次は「ハングドマン」に挑む。準備を整えていると、開始前にネクソンのスタッフからハングドマンの攻略法がアナウンスされた。聞くと、ハングドマンは一定のダメージ量を与えると無敵状態となり、その際にキューブ上のコアを落とすのだそう。4人のうち1人はコアを持って逃げ回り、残りのメンバーでハングドマンの口内にある弱点を狙い撃つのが攻略法らしい。
事前に教えてくれるなんて随分親切だなと思いつつ、ハングドマン戦がスタート。先ほどのスワンプ・ウォーカーとは異なり、ハングドマンは中央で宙吊りになっていて移動することはない。フィールドも毒の沼地のような場所はなく、広々として動きやすかった。雷のビームや砲撃を避けつつ戦闘を続けていると、突如画面が暗くなり、次の瞬間「迎撃失敗」の文字が表示された。
何が起きたのか訳が分からず、仲間全員で「え?」と顔を見合わせる。どうやら、説明にあったハングドマンのコアを拾わなかったせいで一撃必殺の特殊攻撃が発動し、失敗してしまったようだ。
「コアを拾った人はとにかく逃げ続け、残りのメンバーでフォローしましょう」と話し合い、再びチャレンジ。それまでは無言でプレイを続けていたが、「コアが落ちました」「コアを拾いました」と自然と声をかけ合うようになった。
コアを持った人が必死で逃げ回る間に、残りのメンバーで無敵状態となったハングドマンの口内の弱点を狙う。しかし、ハングドマンは上下左右に激しく揺れ、なかなか口を大きく開けない。やっと開いたと思っても、一瞬で閉じてしまう。挙句の果てには広範囲の扇状ビームを繰り出し、次々と仲間が倒れ、2戦目もあえなく迎撃失敗となった。
一体どう攻略したものかと、再び作戦会議。仲間の一人が、「ハングドマンは雷属性だから、耐性を持つ継承者や武器、モジュールを選ぶのがよいのではないか」と提案し、それぞれの装備を見直すことに。
これがソロプレイならば、一筋縄ではいかないボス相手になす術がなく、心が折れていただろう。けれど、仲間の知恵を借り、みんなで作戦を練ると、「もう一回チャレンジしてみよう!」と勇気が湧いてくる。これが協力プレイの醍醐味であり、『The First Descendant』の魅力なのかと気づかされた。
だが、3戦目、4戦目と時間の許す限りチャレンジを繰り返すも、結局ハングドマンを倒すことはできなかった。悔しさは残るが、仲間との絆の深まりを実感し、大満足で試遊会の全プログラムを終えた。
今後の展開に期待大! 開発者が語る『The First Descendant』の魅力
たっぷりとゲームプレイを楽しんだあとには、開発陣との質疑応答の場が設けられ、プロデューサーであるイ・ボムジュン氏とクリエイティブディレクターのチュ・ミンソク氏が本作について語った。
ハングドマンに苦戦を強いられた記者たちからは、「初心者には難易度が高いのでは?」といった声が上がる。すると、今回の試遊会で紹介されたコンテンツはゲーム全体でいうと後半部分にあたり、難易度はかなり高めであったことが明かされた。日本以外の国で開催された試遊会でも、初見でハングドマンを倒せたパーティーはいなかったと、ちょっとうれしそうに教えてくれた。
順を追ってゲームを進めていけば、先駆者や武器に対する理解度が深まり、敵の特性や自分のスタイルに合わせたカスタムができるようになるとのこと。一つひとつステップを踏んで成長していけるので、初心者でも安心してプレイを楽しんでほしいと答えが返ってきた。
また、2024年はシーズン1とシーズン2のアップデートを計画している。シーズンごとに新たな継承者ストーリーや成長システム、多様な迎撃戦、報酬などが追加予定であると、さらなる拡張を示唆した。
発売前から注目を集めていた本作。すでに多くのファンがいるかと思うが、今後の展開によってはさらにその数は増えるだろう。なお、基本プレイは無料。気になってはいるものの、難しそうで尻込みしている初心者プレイヤーがいるならば、まずは気軽にチャレンジしてみてほしい。きっと、『The First Descendant』がTPSゲームのおもしろさ、協力プレイの楽しさを気づかせてくれるだろう。