アドビは米国時間の6月17日、「Adobe Acrobat」に同社の生成AIモデル「Adobe Firefly」を導入し、またAIアシスタント機能で複数ファイルに対応するなどのアップデートを行うことを発表した。これにあわせ、6月18日から6月28日までの間、AIアシスタント機能を無料で利用できるキャンペーンを開催する。

  • 「Adobe Acrobat」のアップデート

    「Adobe Acrobat」のアップデート

Adobe Fireflyの導入

今回のアップデートで「Adobe Firefly」が導入されたことにより、ユーザーは「画像を編集」からPDF内の画像に生成AIを利用して加工を加えたり、「画像を生成」からAIによって生成した画像を追加したりできるようになる。

「画像を編集」では「生成塗りつぶし」「背景の削除」「切り抜き」といったツールが利用できるようになり、PDF内の画像に対して不要なオブジェクトの削除/背景の削除/新しい画像の追加といった編集を加えられるようになる。また「画像を生成」機能では、Adobe Firefly Image 3 Modelで画像を生成し、PDFに追加することができる。

これらの機能により、クリエイティブの専門家でなくても各種資料に効果的なビジュアルを追加して活用することができるようになる。なおこの機能については当面はデスクトップアプリの英語版のみの提供で、日本語版への導入時期は未定。

AIアシスタントのアップデート

AIアシスタント機能「Acrobat AI Assistant」では、大きくふたつのアップデートが行われる。

ひとつは、複数のドキュメントを横断しての情報集約。これまでAIアシスタント機能では単独のファイルのみを対象に情報の検索などを行っていたが、アップデートにより、複数ドキュメントを対象としてAIアシスタント機能を利用できるようになる。PDFだけでなく、Wordファイル/PowerPointファイル/テキストファイルも対象とできる。

  • AIアシスタント機能が複数ファイルに対応

    AIアシスタント機能が複数ファイルに対応(イメージ)

もうひとつのアップデートは議事録作成機能。リモート会議の後に、議事録をもとに主要な話題や重要ポイントを含む会議のサマリーを作成する。また、音声コマンドによるモバイルアクセス機能で、音声によりAIアシスタント機能と対話することができる。

  • AIアシスタントの議事録作成機能

    AIアシスタントのもうひとつの新機能、議事録作成

AI活用と信頼性の構築

「Adobe Firefly」「Acrobat AI Assistant」などのアドビのAI機能は、アドビのAI倫理に従って開発されている。今回のAcrobatのアップデートに際し、アドビは改めて同社がAI活用において準拠している信頼性構築についても言及している。その内容には以下のような要素が含まれる。

  • データセキュリティプロトコル:エンジニアリングプロセス/事前処理/事後処理あおいったAIアシスタントの機能は、データセキュリティプロトコルによって管理される。
  • 信頼性の向上:LLM(大規模言語モデル)を人口知能と機械学習モデルで保管し、アウトプットの品質と信頼性を向上させている。
  • LLMのガードレール:サードパーティ製LLMを使用する際に、アドビ基準の機密保持とセキュリティプロトコルしようを義務付け、サードパーティLLMによるアドビ顧客データの手動確認・トレーニングを禁じている。
  • AIデータガバナンスの合理化:企業の情報管理を維持するため、AIアシスタント機能はユーザーが提供した文書のみに基づいて分析を行う。
  • 情報の引用元の表示:AIアシスタント機能は生成された回答に属性を含め、情報の出展を確認できるようにする。
  • 責任の共有:AIアシスタント機能のアウトプットは、主にユーザー自身が提供した文書に基づく。ユーザーがAIアシスタント機能を使用する場合、責任を持って機能を使用することに同意するものとなる。