総務省は6月17日、携帯電話を非対面(オンライン)で契約するときの本人確認手法の見直し案を公表した。令和5年6月9日閣議決定に基づき、マイナンバーカードの公的個人認証に原則として一本化するとともに、顔写真付き本人確認書類(運転免許証など)の画像と容貌を送信する方法は今後廃止。2024〜2026年度をメドに「十分な準備期間を確保したうえで施行する」と説明している。

「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(令和5年6月9日閣議決定)では、携帯電話を契約するときの非対面(オンライン)の本人確認手法を以下と規定している。

  • マイナンバーカードの(ICチップを用いた)公的個人認証に原則として一本化
  • 運転免許証等を送信する方法は廃止
  • 顔写真のない本人確認書類等は廃止

また対面でも、公的個人認証による本人確認を進め、本人確認書類のコピーは取らないこととしている。

上記は、犯罪による収益の移転防止に関する法律、携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律(携帯電話不正利用防止法)に基づくもの。

この重点計画を踏まえ、総務省は6月17日に開催した「ICTサービスの利用環境の整備に関する研究会」(第2回)のなかで、非対面契約時の本人確認手法の見直しの方向性(案)を明らかにした。具体的には以下の通りで、詳細は総務省の公開資料(資料2-3)で確認できる。

  • 顔写真付き本人確認書類の画像+容貌(いわゆる「ホ」方式のeKYC)による本人確認は廃止
  • 本人確認書類の写しの送付を受ける本人確認方法も廃止
  • 顔写真なしの本人確認書類による本人確認方法は原則廃止
    • 住民票の写しなど、偽造・改ざん対策が施された本人確認書類の原本の送付を受ける本人確認方法は、引き続き一定条件の下、本人確認に利用可能とする

総務省の公開資料では、上記の廃止方針の理由について「精巧に偽変造された本人確認書類が悪用されている実態に鑑みたもの」と説明しており、写しについても「偽変造が容易であり、その看破も困難であること」から廃止する方針で進めるとのこと。

同資料ではこのほか、顔写真のない本人確認書類を用いる対面の本人確認方法についても、上記に準じて見直しを検討するとしている。

携帯電話の契約時の本人確認書類をマイナンバーカードの公的個人認証に原則一本化する方針については、デジタル庁が掲げる「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の主なポイントをまとめた文書(PDF)や、政府が開催している犯罪対策閣僚会議6月18日決定資料(PDF)でも確認できる。

【6月18日14時15分追記】

デジタル庁は6月18日、河野デジタル大臣の記者会見を実施。

同日取りまとめられた、政府の犯罪対策閣僚会議における「国民を詐欺から守るための総合対策」をふまえ、携帯電話をオンラインなど非対面で契約するときの本人確認手法については上記の通り、マイナンバーカードの公的個人認証に原則として一本化すると改めて説明した。

また、対面でもマイナンバーカードなどのICチップ情報の読み取りを義務付け、そのために必要なICチップ読み取りアプリ等の検討、開発を進めていくと述べた。