Jackeryが“ちょうどいいポータブル電源”とうたう新製品「Jackery ポータブル電源 600 Plus」を発表しました。昨今の世間のニーズや変化を反映し、これまでのポータブル電源にはない新しいトレンドがいくつか見受けられました。

  • Jackeryが4月22日に発売するポータブル電源の新製品「Jackery ポータブル電源 600 Plus」。ソーラーパネルが付属する2種類のセットモデルを主力に販売する。ポータブル電源単体の希望小売価格は86,000円前後

2種類のソーラーパネルで高まる防災需要をにらむ

4月22日に発売する「Jackery ポータブル電源 600 Plus」の新しいトレンドの1つとして挙げられるのが「ポータブル電源単体ではなく、ソーラーパネルとのセットモデルを主力に販売する」こと。災害などの停電時でもソーラーパネルがあれば日中に電力を生み出せることの認知や需要が広まっていることを受け、それぞれを単品で購入するよりも1万円前後安く済むソーラーパネルとのセットモデルをメインで販売します。

  • セットモデルは、最大100W発電のソーラーパネル「Jackery SolarSaga 100」(奥)が付属する「Jackery Solar Generator 600 Plus 100W」(希望小売価格は119,800円前後)と、最大100W発電の小型ソーラーパネル「Jackery SolarSaga 100 Mini」(手前)が付属する「Jackery Solar Generator 600 Plus 100W Mini」(希望小売価格は116,800円前後)を用意

セットモデル重視の姿勢は、サイズや特徴の異なる2種類のソーラーパネルを用意し、持ち運びや収納など好みに応じて選べるようにしたことに現れています。最大出力はいずれも100Wで共通ですが、オーソドックスな2つ折りのちょっと大きいタイプと、パネルの裏表両面で発電ができる4つ折りのコンパクトタイプの2種類をラインナップします。

  • 小型ソーラーパネルとのセットモデル「Jackery Solar Generator 600 Plus 100W Mini」はこんなにコンパクト。「置き場が確保できない」という悩みに応えた

トレンドの2つ目が、容量の大きさよりも持ち運びやすさを優先したサイズに仕上げたこと。容量は632.3Wh、定格出力は800Wとあえて控えめにし、重さを約7.3kgに抑えて女性でも片手で持てるサイズにしています。このあたりは「大きくて持ち歩けないものは買っても意味がない」という声に対応したといえます。

  • 女性でも片手で持ち運べる

トレンドの3つめが、キャンプなどのアウトドア用途ではなく災害への備えを中心に訴求していくこと。パンフレットでも、スマホの充電は約24回、ノートPCの充電は約5回、LEDライトの使用は約50時間、電気毛布の使用は約8時間と、災害などの停電時に使いたい機器がどれだけ使えるかを紹介しています。

災害への備えにシフトしたのは、1月に発生した能登半島地震での経験もあるそう。会社創立以来初めての大震災を受け、Jackeryはポータブル電源やソーラーパネルなどの支援を実施。3月に被災地入りして被災者に話を聞くと、多くの人が「ポータブル電源は一家に一台必要だと感じた」と口々に述べたそう。それもあり、防災を重視する方針にしたそうです。

  • 防災袋や飲料水とともに欠かせない存在としてアピールする

4つめのトレンドが「フェーズフリー」です。フェーズフリーは、身の回りにあるモノやサービスを平常時だけでなく非常時にも役立てよう、という考え。ポータブル電源を防災用として購入したはいいものの、買ったままで充電していなくて容量がなかった、初めて開けたので使い方が分からない、充電用のケーブルがなかった、ということにならないよう、フェーズフリーでふだんから活用することを勧めています。ふだんから使うことでフル充電の状態がキープでき、手持ちの機器に対応したケーブルを準備しておけるメリットがあります。

  • ふだんから電源を通して使うようにすれば、いざ停電になってもフル充電の状態で電気が供給できる

ポータブル電源を買わない理由を徹底的につぶした

そんなトレンドの変化に対応して投入したJackery ポータブル電源 600 Plus、これまでのポータブル電源の主力モデルよりも出力や容量は小さいものの、購入者の満足度を高める要素を強化しています。

その1つが「長く使える」「長期保管に向く」ということ。内蔵バッテリーは自然放電が少なく安全性の高いリン酸鉄リチウムイオン電池で、約4,000回の充放電が可能なので。毎日充放電しても10年間は使えます。さらに、スマホアプリでバッテリー節約モードにすると、バッテリーをフル充電ではなく85%の容量に抑え、バッテリーの寿命が約1.5倍に延ばせる工夫も盛り込んでいます。

  • スマホアプリで細かな設定が可能

Jackeryの調査では、ポータブル電源の認知度は76%にまで高まったものの、保有率は1割にも満たない8.2%にとどまるそう。「ポータブル電源を知っているけれど買わない理由として、価格の高さ、置き場所がない、重くて持てないの3つの要素が上位を占めている。今回の新製品は、それらの欠点を解消したバランスのよいモデルに仕上げた。新しい防災の相棒として、多くの家庭に導入してもらいたい」(Jackery Japanの平松孝太氏)

  • ポータブル電源を買わない上位の理由を解消した製品だと自信を見せる

ソーラーパネルとのセットモデルをおトクな価格で提供するのは、2本の交換レンズが付属するダブルズームキットがファミリー層に大ヒットした「EOS Kiss DIGITAL」などのデジタル一眼レフカメラに通じるマーケティング戦略だと感じます。年明けから災害続きの2024年、“停電になっても困らない、ちょうどいいポータブル電源”が多くの家庭に響くか注目です。