今回は、ヨドバシカメラ マルチメディア横浜で防災アイテムの売れ筋を尋ねました。

最近の傾向について、防災売り場を担当する鈴木聡史氏は「これまでも防災意識の高まりは年単位で感じていましたが、元日に能登半島沖地震が発生したことで、さらに意識を強くした人が明らかに増えました。実体験に基づいてグッズを揃える人が多いですね」と言います。

  • ヨドバシカメラ マルチメディア横浜の防災グッズ売り場。コンシェルジェ第1チーム グループリーダーの鈴木聡史氏にナビゲートしてもらった

取材当日の朝に震度5弱の首都直下地震が発生したこともあり、商品によっては在庫が薄くなっているものもありました。そうした状況のなかで、直近でよく売れているアイテムのトップ5を教えてもらいました。下記の「防災グッズを揃える3ポイント」を踏まえて、順に追いかけていきましょう。

<防災グッズを揃える3ポイント>

  • 災害発生からの3日間をシミュレーションすると、必要なアイテムをリストアップしやすい。
  • 上下水や電気など、ライフラインごとに備えになるアイテムをイメージするのもお勧め。
  • それでいて5年ほど先まで見据えて揃えるのがベター。夏の暑さと冬の寒さへの備えも。

※本文と写真で掲載している価格は、2024年3月21日14:00時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。

第1位:複数タイプの電池が使える懐中電灯

一番人気に挙げられたのは懐中電灯です。防災グッズの定番ですが、なかでも複数サイズの乾電池で使える製品がよく売れているそうです。具体例として、単1形から単4形までどれでも使えるパナソニックの「BF-BM20P-W」と、単2形と単3形が使えるヨドバシカメラオリジナルの「ESB001C」が挙げられました。取材時の価格は順に2,980円と2,830円です。

「リモコンやオモチャから取り出すなどして、手元にある電池が何でも使えるというところが頼もしいですね。BF-BM20P-Wは残量表示機能もあるので、計画的に使えます。ランタンとしても使えますし、光源としても使いやすいモデルがよく売れている印象です。親御さん向けにと、複数台買われる方もいらっしゃいますね」

  • パナソニック「BF-BM20P-W」

  • ヨドバシカメラ「ESB001C」

第2位:年初から需要が伸び続けている携帯トイレ

続くのは、需要が伸び続けているという携帯トイレです。こちらはジャンル全体で売れ行き好調で、取材時は品薄となっていました。定番のひとつである、アイワの「携帯トイレ ミニ」は、取材時に362円で売られていました。

「家族全員で3日分を目安に複数個購入する方が多いですね。年初から需要が非常に伸びていて、メーカーさんの生産もなかなか追いつかない状況が続いています。そのうえで(取材当日に)地震が発生したこともあって、売り場でもかなり品薄になってしまいました。それくらい求めている方が多いグッズといえます」

  • アイワ「携帯トイレ ミニ」

第3位:熱源の備えとしても注目されるカセットこんろ

3位には、おなじみのカセットこんろがピップアップされました。同店の主力は岩谷産業の製品で、薄型の「達人スリムプラス」や、コンパクトな「プチスリムIII」、大きな鍋も置ける「エコプレミアムII」などが、好みにあわせて選ばれているそうです。取材時の価格は、順に5,480円と4,200円、5,280円でした。

「調理器具としてはもちろん、電気が止まったときの熱源の備えとしても注目されています。オール電化のお宅で電気が止まったときなど、活躍できる場面は多くありますね。カセットガスを複数本買っていく方もたくさんいらっしゃいます」

  • 岩谷産業「カセットこんろ」シリーズ

第4位:バラエティに富んだ3日分の非常食

4位は、さらにバラエティに富んだ製品群になります。レトルトパックに入った非常食で、1食単位で300~400円台の商品がコーナー一面に並んでいました。松茸ごはんやドライカレー、ペペロンチーノなど、さまざまなメニューがあり、複数の賞品をまとめ買いする人が多いそうです。

「3日分の家族全員の非常食となるので、自然と購入点数が増えますね。白米だけだと飽きてしまうということで、色々な料理が選ばれています。賞味期限が切れるころに新調して、古いのを食べてというサイクルを繰り返しているリピーターの方が多いジャンルだと思います」

  • 非常食コーナー

  • サタケ「マジックパスタ ペペロンチーノ」

第5位:大きな地震のあとに新調する人が多い突っ張り棒

5位は、タンスや本棚などの転倒を防ぐ突っ張り棒です。室内のレイアウトによって必要な長さや強度は変わってくるので、こちらもジャンル全体の売れ行きとして算定しているとのこと。一例として、アイリスオーヤマの「家具転倒防止伸縮棒 M」の価格は1,550円でした。

こちらもリピーターが多い製品群といいます。「大きな地震があると折れたりズレたりすることもあるので、そういう機会に室内全体を見回して新調するという方は少なくないですね。あとは、引っ越しなどの機会に必要な突っ張り棒が増えることもあります」

  • アイリスオーヤマ「家具転倒防止伸縮棒」シリーズ

はみ出し情報・・・意外な注目株は災害後に役立つマルチハサミ

トップ5以外にも、防寒シートや水タンクなどの必須アイテムは安定した売れ行きを続けているそうです。そのなかで最近伸びている注目株は、トタンや枝などがしっかりカットできる強力ハサミとのこと。取材時は、コジットの「廃棄物マルチハサミ」が1,190円で売られていました。

「災害が起きたあとにいろいろなものを片付けたり、邪魔なものを取り除いたりする際にとても役に立ちます。こちらも防災バックに入れておけば、何かあったときに対応の幅が増えると思います」

  • コジット「廃棄物マルチハサミ」