米Adobeは2月20日(現地時間)、対話型の生成AIエンジン「AI Assistant」(ベータ版)を統合した「Acrobat」のベータ提供を開始した。100ページを超えるような長いドキュメントでも迅速に分析して要約や洞察を生成、PDFの内容に関する質問に答え、情報の活用をサポートするなど、PDFを扱うユーザーの生産性向上をサポートする。

ベータ版でAI Assistantは、Acrobat StandardおよびProの個人サブスクリプションまたはチームサブスクリプション、Acrobat Proのトライアルユーザーが利用できる(Windows、Mac、Web)。サポート言語は英語のみ。Acrobatに続き、Readerのデスクトップ・アプリへの提供も近日中に開始する予定である。

ChatGPTやGoogleのGeminiといった対話型AIサービスもPDFの分析に対応するが、それらではPDFファイルをアップロードしたり、オンラインで公開されているPDFドキュメントのURLの指定が必要になる。また、PDFからテキストの抽出に混乱する場合もある。AdobeのAI Assistantは、ビルトイン機能としてAcrobatやReaderのワークフローに統合されており、アプリから直接利用可能。PDFの構造を踏まえてファイルを分析し、内容を深く理解する。

AI Assistant(ベータ版)の主な機能は以下の4つだ。

  • 要約:長文ドキュメントでも概要を素早く把握できるように、読みやすい形式で要約を作成。
  • AIアシスタント:会話インターフェイスを通じて、ドキュメントの内容に関する質問に回答。PDFの内容に基づいた質問例を提案し、議論をサポートする。
  • 引用:カスタマイズされたアトリビューションエンジンと独自のAIを用いて引用を生成し、AI Assistantの回答の情報源をユーザーが簡単に確認できるようにする。
  • 利活用をサポート:Eメール、レポート、プレゼンテーション、会議資料など、利用目的に応じたコンテンツの作成を支援。

AI Assistantは、PDFだけではなく、WordやPowerPoint、トランスクリプトなど様々なドキュメントに利用できる。AcrobatでのAI Assistantの提供は、生成AIを活用してデジタルドキュメントの価値を再考するというビジョンの第一歩である。今後は、複数のドキュメントやドキュメントタイプ、ソースを横断するインサイトの生成、オーサリング、編集、書式設定およびコラボレーションへの活用などを計画している。ベータ終了後、AdobeはAI Assistantのサブスクリプション・プランをリリースする予定である。