「モバイルバッテリーは携帯しやすいが、AC100V出力がない」「ポータブル電源はAC100V出力があるが、大きく重すぎて持ち運びには適さない」――。このようなモバイルバッテリーとポータブル電源それぞれの欠点をなくしてメリットだけをいいとこ取りした、手軽に持ち歩ける新世代のスリムなポータブル電源「JuiceGo」が登場。ひと昔前の「AC100Vでしか充電できないカメラやガジェット」がどこでも充電できるようになり、趣味のシーンがグッと広がると感じました。

  • BougeRVが1月のCESでお披露目した異色のポータブル電源「JuiceGo」がいよいよ日本に登場! 手軽に持ち出せる薄さ・軽さと、AC100Vにしか対応しないさまざまな機器のバッテリーが屋外でも充電できるのが魅力。直販価格は29,980円

    BougeRVが1月のCESでお披露目した異色のポータブル電源「JuiceGo」がいよいよ日本に登場! 手軽に持ち出せる薄さ・軽さと、AC100Vにしか対応しないさまざまな機器のバッテリーが屋外でも充電できるのが魅力。直販価格は29,980円

縦置きもできる軽量コンパクトなボディ、USB Type-Cで充電できる

ポータブル電源やポータブル冷蔵庫などを手がけるBougeRV Japan(ボージアールブイジャパン)が2月20日に発表したのが、同社のポータブル電源ではもっともコンパクトな「JuiceGo」です。直販価格は29,980円で、各社のポータブル電源のエントリーモデルと同等の価格帯です。

  • JuiceGo本体は無駄のない箱型スタイルでとてもスリム。前面の白い部分はLEDライトだ

特徴的なのはそのサイズで、AC100V出力を備えるポータブル電源としては異例の薄型軽量ボディーに仕上げています。底面積は260×169mmで、iPadとほぼ同等の大きさ。厚さは、iPhone 15の幅(71.6mm)よりもスリムな66mm、本体は2.85kgと軽く、背面のハンドルをつかんで手軽に持ち運べます。縦置きと横置きの両方に対応し、狭い場所にも置けるのは便利だと感じました。

  • 本体は縦置きも可能。本体の両側面はラバー素材が張られており、縦置きした際にテーブルなどを傷つけずに済む

  • JuiceGoの特徴といえるハンドル。片手でひょいとつかんで持ち運べる

  • 本体は3kgを切っているうえハンドル自体がつかみやすいので、持ち運びはラクチン

  • 一般的なポータブル電源のエントリークラスの製品(左)と比べても、JuiceGo(右)は圧倒的にスリムだ

コンパクトながら、出力端子は充実しています。前面には、最大100W出力のUSB Type-C端子、最大30W出力のUSB Type-C端子、最大18W出力のUSB Type-A端子を備え、背面にはAC100V端子を用意。上部には、小さいながら明るい表示パネルを備えていて、バッテリー残量や充放電の状況がリアルタイムに確認できます。

  • 前面には操作ボタン類や出力端子が並ぶ。USB端子は右端に並んでおり、一番右上のUSB Type-C端子はJuiceGoの充電にも利用する

  • 背面にAC100V出力を1つ用意する。隣は冷却ファンだ

  • 上部の表示パネルでバッテリー残量や充放電の状況が確認できる

バッテリー容量は240Whで、これは10,000mAhのモバイルバッテリー7コ分の容量に相当します。バッテリーはリン酸鉄リチウムバッテリーで、3,500回を超える充放電に対応。1日1回充放電を繰り返しても、10年は使える計算です。

便利なのが、前面のUSB Type-C端子経由で充電できること。手持ちの充電器を接続したところ、最大100W前後で急速充電できました。ふだんスマホやパソコンの充電に使っている充電器やケーブルで手軽に充電できるのは便利だと感じます。

出力の制約はあるが、AC100V端子の存在が大きい

JuiceGoのポイントとなるのが、AC100V端子の存在です。最近の電子機器はUSB Type-C端子で充電できるようになりましたが、少し前の製品はAC100Vのコンセントから充電するものが大半でした。デジタル一眼レフカメラやニッケル水素電池の充電器など、AC100Vでしか充電できない機器を現役で使っている人も多いと思いますが、そのような機器もJuiceGoがあれば外出先で充電できるようになります。一般的なポータブル電源よりも格段にフットワークよく手軽に持ち運べ、「どこでもAC100V出力が得られる」点がJuiceGo最大の魅力だと感じます。

  • ひと昔前のデジタル一眼レフカメラはUSB充電に対応せず、専用の充電器をコンセントに差し込んで充電するタイプがほとんど。そのようなカメラも、JuiceGoがあればどこでも充電できる

  • クリップオンストロボなどに使うニッケル水素充電池も、コンセント経由でしか充電できないタイプが主流。これも場所を問わず充電できるようになる

もちろん、薄型軽量に仕上げているだけに、多くのポータブル電源と比べての制約があります。それが「調理家電や暖房器具の多くは使えない」ということ。JuiceGoのAC100V端子は最大150W出力なので、消費電力が数百Wに達する調理家電や暖房器具、電動工具は使えません。コンパクトなセラミックヒーターを接続してみたのですが、小さくても消費電力が360Wと大きいため、警告表示が出て動作しませんでした。AC100V出力は、デジタルカメラなどデジタル家電のバッテリーの充電や、電動歯ブラシや電気シェーバーなど小型家電の充電や使用に限定されることを覚えておきましょう。

  • 調理家電やセラミックヒーターなどは消費電力が大きいので、基本的に使えない。停電時に調理したり暖を取ったりしたい、という備えには向かない

JuiceGoは、一般的なポータブル電源と比べると出力や持続力で劣りますが、手軽に持ち運んでどこでもAC100Vの電力が供給できるのが最大の魅力。USB充電に対応した機器が増えた現在、AC100V出力を使わなくても、“手軽に持ち運べる巨大なモバイルバッテリー”としても価値があると感じます。初めてのポータブル電源としてはもちろん、すでに本格的なポータブル電源を持っている人にとっても、機動的に活躍してくれる魅力的な2台目となるでしょう。