スマホ時代の必需品となったモバイルバッテリーですが、「充電ができればいい」「見た目のよさは必要ない」「とにかく安く」と考える人がほとんどだと思います。それとは真逆の「多機能」「見た目がカッコいい」「とにかく高い」という異色のモバイルバッテリーが存在します。実際に使ってみると、デザイン以上に満足したのが、大半のモバイルバッテリーにはない「電圧を自由に調整できるDC出力」機能。ACアダプターが壊れて起動できなくなったPSPなど、USB電源には対応しない古い機器が数年ぶりによみがえりました。
透明デザインとカラー表示パネルが目を引く
SHARGEの「STORM2」は、2022年にクラウドファンディングを実施し、その後Amazonでの一般販売が始まったモバイルバッテリー。容量は25,600mAh(93.5Wh)、出力は最大100W、入力も最大100W、重さは約570gとモバイルバッテリーとしては重量級ですが、ノートパソコンやスマホ、タブレットなどを短い時間で急速充電できます。
本機ならではの特徴がデザイン。外装の大部分に透明なアクリルパネルを用いており、内部のメイン基板やバッテリーセルが丸見えになっています。実用面でのメリットはありませんが、男心をくすぐるデザインで、外に持ち出して使うのが思わず楽しくなりました。会議やキャンプなど人が集まる場所で取り出すと「それ何?」と盛り上がりそうです。
デザイン面でもう1つの特徴が、バッテリーの状況を表示するカラー表示パネルを搭載していること。バッテリー残量が1%刻みで表示されるほか、充電中や放電中の電力、バッテリーの温度がリアルタイムに確認でき、状況がひと目で分かります。ちゃんと充電されていれば表示がなくても問題はないとはいえ、「容量はあと何%あるか」「急速充電されているか」が確認できるのは精神的に安心できます。バッテリーの充電回数や劣化度合いも確認できます。
機器に応じて電圧を調整できるDC出力が便利すぎた
表示パネルを搭載した本機ならではの機能が「電圧を自由に設定できるDC出力」です。側面には、モバイルバッテリーではおなじみのUSB Type-A端子やUSB Type-C端子だけでなく、丸型のDC出力端子が搭載されています。この端子から出力する電圧を3V~25Vの間で0.1V単位で自由に調整でき、使いたい機器に合ったケーブルを別途用意すれば、本来は専用のACアダプターが必要なさまざまな機器が動かせるようになるのです。
実際に、DC出力端子からの電力でさまざまな機器が使えるかを試してみました。ここでポイントとなるのが、STORM2のDC出力端子と使いたい機器のDC入力端子をつなぐケーブルを自身で用意する必要があること。DC入力端子は、端子の外周の径と内部のピンの径が機器によって異なるため、それぞれのサイズを調べて合致するケーブルを用意する必要があります。ただ、機器に合わせてケーブルを何種類も用意するのは面倒なので、変換プラグを差し替えるだけでさまざまな機器に適合できるDC変換キットを用意するのがおすすめです。
実際に、USB電源に対応しないさまざまな電子機器を用意し、変換プラグを介してSTORM2と接続してみたところ、どれも電圧さえ間違いなく設定すれば問題なく動作しました。ACアダプターが壊れたり紛失して使えなくなった機器が使えるようになるのは、とても便利だと感じます。対応するACアダプターを持っている場合でも、STORM2があればAC100Vのコンセントがない屋外でも電源が供給できるメリットがあります。
注意したいのが、DC入力端子の「極性」が異なる古い機器です。現在は、多くの電子機器で極性が「中央がプラス、外周がマイナス」のDCコネクターを採用していますが、古い機器だと「中央がマイナス、外周がプラス」と極性が逆になっている場合があります。STORM2は、極性を反転させる機能はないため、これらの機器に接続すると機器を破損させる可能性があります。古い機器の場合、電圧だけでなく極性も必ず確認するようにしましょう。
1万円台で購入できるセールを見逃すな
このような特徴があるSTORM2ですが、いかんせん大きく重いので、通勤通学で日々携帯する用途にはあまり向きません。出張時やアウトドアなど外出が長いイベント時に持ち出して使いたい人や、自由に設定できるDC出力に魅力を感じる人にオススメといえます。ただ、アクリル製の外装は意外にキズが付きやすいので、きれいな状態をキープするのは苦労しそうです。
刺さる人には刺さるSTORM2ですが、Amazonでの販売価格は29,990円とかなり高価。「モバイルバッテリーに3万円はさすがに出せない…」と思ってしまいますが、Amazonのセールに合わせた値下げやタイムセールをしばしば実施しており、セール時は1万円台(19,940円)にまで下がります。約2万円ならば奮発して購入する価値はあるので、安くなったタイミングを狙って購入するのがオススメです。