デル・テクノロジーズは12月15日、都内の高級ホテルでメディア向けの製品発表会を開催し、Intel Core Ultraシリーズを搭載した最新InspironノートPCをお披露目しました。発表会ではIntelからも担当者が登壇し、最新プロセッサについて説明。力の入りようがうかがえます。

忙しい方向けにまとめておくと、デルはわかりにくかった直販ストアページを改修するほか、セール前後の大きすぎた価格差を是正。Intelが投入する最新プロセッサには大変革が起きており、はやりの画像生成すら行えるようになっていました。

  • 「Dell Inspiron」シリーズにIntel Core Ultra搭載! NPUが動作しているデモも見てきた

法人向けPCを買う個人もいたので……

まず、デルからコンシューマー&ビジネス マーケティング統括本部 本部長の横塚 知子氏が登壇。最新PCの投入に寄せて新しく展開していく販売施策について言及しました。

かいつまんで紹介すると、これまで法人向け・個人向けで分かれていたデル直販サイトを刷新。ユーザーは製品が誰向けかを区別することなく、用途に応じて適切な製品を購入できるようにするとのこと。個人が法人向けを購入したり、法人が個人向けを購入する事例も多かったと話していました。

  • 販売サイト刷新

また、セールの前後でかなり大きかった価格差を最小化するよう努めることで、購入のタイミングをわかりやすくするという重大な発表も。セールが始まるとかなり大胆な値引きが行われることもしばしばあったため、買っていいかわかりにくかったこれまでのデル販売サイト。今後は通常価格を下げつつ、セールでの割引を大きく行わないことで、いつ買っても大丈夫だと安心できるようにすると話します。

  • セールでの超絶値引き前に買ってしまうと悲しくなるが、今後は起こりにくくなる

続いてCSB PGTM プロダクトアソートメントプランナー 兼 コンサルタントの松原大氏が登壇。今回投入のIntel Core Ultra搭載ノートPCについて説明しました。重要なポイントだけ紹介すると、外装は前モデルと共通。ただし最新Intel Core Ultraを搭載したマザーボードは刷新され、組み合わせるメモリもLPDDR5x 6400MT/sへと大幅に高速なものに変更されています。Inspironシリーズとしては初めてMIL-STD-810Hテストをクリアし、堅牢性も引き上げました。カラバリには新色「ライトピンク」を追加しています。

そしてインテルから、技術本部 部長 工学博士 安生健一朗氏が登壇。全く新しくなったIntel Core Ultraプロセッサについて紹介しました。すでにマイナビニュースでは『Intel Core Ultraが正式発表、最上位「Core Ultra 9」は最大5.1GHzで動作 - 新世代モバイルCPU』や、『Intelの逆襲、「Core Ultra」正式発表と「AI PC」標榜 - AI Everywhereイベント詳報』で詳細に解説しているので詳しくは割愛。

ちなみに今回話を聞いていて、筆者的に「へえ~そうなんだ」と興味深かったのは、Pコア、Eコア、LP Eコアの3種類を混載している中で、LP EコアがSoCダイ上に搭載されていた点です。しかも実機を見たところ、このLP Eコアの動作状況もタスクマネージャーのCPU欄に表示されている様子を確認できました。CPUタイルを起動することなく省電力動作に励むらしく、早く自分でも実機を試してみたいです。

  • 低電力アイランドEコア、CPUタイルじゃなくてSoCタイルに搭載

  • GPUもブランド刷新。コア数の単位はEUからXeコアに代わります

Intel Core Ultra実働デモを見た! NPUはすごいけどDRAMで生成AIはキツそう

最後に、会場のホワイエに設置されていた実機のデモを見てきたのでご紹介。Intel Core UltraプロセッサはAI動作専用の「NPU」コアを内蔵しており、CPUやGPUに負荷をかけることなく高い推論性能を発揮できます。デモではStable Diffusionを用いた画像生成や、カメラの顔認識で画角を最適化する様子を眺めることができました。

  • Inspiron 13 5330実機。Stable DiffusionがGIMPの拡張機能として動作しており、いろいろ使い方があるんだなと思いました

  • 画面右側、タスクマネージャーに注目してください。よく見るとGPUに加え、NPUのグラフが!

たしかに画像生成は高速で、ディスクリートグラフィックスがなくても画像を作れるんだなあと感心。Webカメラの顔認識も高精度で、フレームが人のいるほうを追いかけていく様子を確認できました。

とはいえ、NPUがあってもメモリが苦しくなるのはStable Diffusion共通なんだなと感じました。Stable DiffusionはGPUメモリを大量に要求するワークロードで、別途GPUを搭載するディスクリートグラフィックスがあればDRAMの圧迫はほとんど気になりません。一方、NPUは推論こそ高速ですが専用のメモリを持っておらず、DRAMを共有することになります。 大規模なモデルや大量のスクリプトを用いた超高品質な生成には、少し荷が重いかもしれません。