高機能なコードレススティック掃除機はサイクロン式――。そんな常識を覆したのが、日立グローバルライフソリューションズ(以下、日立)が2022年に発売した「かるパックスティック PKV-BK3K」(以下、PKV-BK3K)でした。

PKV-BK3Kは日立のコードレス掃除機としては「軽量タイプ」に分類される製品ですが、今年(2023年)12月上旬にはメイン掃除機にも安心のパワータイプを発売する予定。新製品となる「かるパックスティック PKV-BK50L」(以下、PKV-BK50L)について、実機をチェックしてきました。PKV-BK50Lの価格は77,000円、日立の指定価格制度を適用する製品です。

  • 新製品のPKV-BK50Lを手にするマイナビニュース +Digitalの林編集長。本体の長さは従来の軽量モデルとそこまで変わっていません

  • 紙パック式の懸念点でもある「ゴミが溜まってくると吸引力が落ちる問題」はどうなのか? 「わんこそば」ならぬ120日分の「わんこゴミ」を吸って確認

紙パックの交換目安が2倍に!

サイクロン式の掃除機は、ゴミが溜まっても吸引力が落ちにくい、紙パックの交換作業がいらない、紙パックのような消耗品がないのでランニングコストがかからない――など、さまざまなメリットがあります。半面、紙パック式と比較して一度に溜められるゴミの量が少なく、掃除ごとにゴミ捨ての必要がある(環境によります)、フィルター掃除が必要、ゴミ捨て時にホコリが舞う――といった弱点も。

そこで日立は、高機能コードレスに「紙パック式」の標準1.1kgという軽量タイプ、PKV-BK3Kを用意。2022年12月の発売以来、なかなか好調に推移しています。消費者の潜在ニーズをうまくカタチにしたといえるでしょう。

今回のPKV-BK50Lは、吸引力と使い勝手を進化。現行のPKV-BK3Kと併売するので、ユーザーは生活スタイルにあわせて「軽量タイプ(PKV-BK3K)」か「パワータイプ(PKV-BK50L)」を選べます。

  • 手前が新製品のPKV-BK50L、奥が軽量タイプのPKV-BK3K。全体的なサイズはそこまで変わっていませんが、PKV-BK50Lはヘッドサイズが大きくなり、本体ユニットも若干サイズアップしています。PKV-BK50Lの本体サイズは幅225×奥行き230×高さ1,102mm、標準の重さは1.4kg。パワータイプといっても比較的軽量です

新しいPKV-BK50Lは、モーターにパワフルな「ジェット3Dファンモーター」を採用し、従来モデルのPKV-BK3Kと比べて吸引力がパワーアップしています。吸引力アップによって掃除性能が高くなるほか、「紙パック容量が増える」というメリットもあります。

PKV-BK50Lの紙パックは現行のPKV-BK3Kと同じ専用パック「抗菌3層パックフィルター GP-S120FS(6枚入り)」ですが、本体の紙パック格納部を広くすることによって、紙パック容量が0.4Lから0.6Lへと1.5倍になりました。

加えて、吸引力アップは「紙パック内のゴミをギュッと圧縮」する効果も。PKV-BK3Kは紙パック交換の目安が約2カ月ですが、PKV-BK50Lは約4カ月と、2倍に増えています。紙パックの希望小売価格は6枚入りで1,210円なので、紙パック代は1年で605円程度になる計算です。

  • 既存のPKV-BK3K(写真右)と、新製品のPKV-BK50L(写真左)にて、満容量になった紙パックを比較。同じ紙パックなのに、ゴミを吸い込んだあとのサイズが異なります

  • 満タンの紙パックを取り出して比較。上記と左右が逆ですが、この写真は左が従来モデル、右が新モデルです

【動画】専用紙パックは前モデルに引き続き「こぼさんパック」機能を搭載。パック交換時に吸い込み口がシールされるので、汚れたゴミがこぼれ出ません(動画はPKV-BK3K)
※音声が流れます。ご注意ください

紙パックの容量が大きくなると、「紙パックにゴミが溜まってくると吸引力が落ちる」という、紙パック式の掃除機が抱える構造上の問題も気になってきます。PKV-BK50Lは現行のPKV-BK3Kに引き続き、紙パックがいっぱいになっても吸引力が落ちにくい「パワー長持ち流路」を採用しています。

紙パック式掃除機の吸引力が落ちる理由は、「紙パックにゴミが溜まって膨らむと風の通りが悪くなって吸い込みパワーが落ちる」から。パワー長持ち流路は、紙パック側面など複数の風路を設けて、吸引口から排気口へと空気を逃がすのです。

  • パワー長持ち流路の仕組み。白い矢印が通常の風路で、入り口から入った風がパック底から抜けていきます。対してパワー長持ち流路では、ゴミが溜まってくるとパックに入った風が水色の矢印のように側面からも抜けます

メディア向けの体験会では、実際にどれくらい吸引力が落ちないかを「わんこそば」ならぬ「わんこゴミ」を吸って確かめるデモンストレーションがありました。用意されていたのは、粉ゴミや紙ゴミを入れたお椀×60個!

お椀にはそれぞれ、日本電気工業会の基準に沿った「2日分のゴミ」が入っています。つまり、全部で120日分のゴミを吸い込むことになります。デモンストレーションでは120日分のゴミを吸い込んだあと、5kgのボーリング球を持ち上げる様子も実演されました。

【動画】日立「かるパックスティック PKV-BK50L」吸引力が落ちない実験(音声が流れます。ご注意ください)

専用の紙パックは抗菌3層タイプで気密性が高く、排気がキレイな点も魅力です。日立がPKV-BK50Lを使って行った試験では、大きさが0.3~10μmの微細なゴミも約99%捕集していたとのこと。

会場ではスモークの充満した箱の中でPKV-BK50Lを動かすデモンストレーションも。まるで空気清浄機のように、煙がなくなっていきました。もちろんPKV-BK50Lは空気清浄機ではないので、このデモンストレーションはあくまで実験です。PKV-BK50Lが空気清浄機と同じように使えるわけではありません。

【動画】日立「かるパックスティック PKV-BK50L」のキレイな排気。あくまで実験です。実使用時の性能を評価するものではありません(音声が流れます。ご注意ください)

着脱式になったバッテリー、充電スタンドが付属して、掃除の手軽さは段違い

モーターが強力になると、バッテリー駆動時間も気になります。既存のPKV-BK3Kは強モードで約8分、標準で約30分の駆動時間でしたが、PKV-BK50Lは強モードで約8分、標準で約40分と、少しですが駆動時間が延びました。また、PKV-BK50Lは運転モードとして、床材を見分けてパワーを制御する自動モードを搭載しています(自動モード時の運転時間は約8分~40分)。

バッテリーが着脱式になった点にも注目です。長くしっかり掃除をする家庭なら、予備バッテリーを購入してバッテリー残量の心配を減らすという選択肢ができました。

  • 新製品のPKV-BK50Lでは、運転モードに「自動」が加わりました

  • 緑のLEDライトでヘッド先を照らして、ゴミを見えやすくする「ごみくっきりライト」も引き続き搭載

  • 掃除機本体は水平に近い角度まで寝かせられるので、家具の下もスムーズに掃除できます

  • バッテリーはワンタッチで着脱可能に。予備バッテリー「PV-BEH900-009」の価格は16,500円

個人的に一番の改良と思ったのは、充電スタンドに対応したこと。PKV-BK3Kの付属スタンドは、本当に掃除機を「立てるだけ」の付属品でした。充電時にはプラグを本体に差し込む必要があり、掃除を始めるときにはプラグを抜く動作が発生します。PKV-BK50Lはスタンド式の充電台なので、掃除機をセットすれば充電がスタートし、掃除を始めるときもプラグを抜く動作はありません。

  • 専用のスタンド式の充電台にPKV-BK50Lをセットしたところ。スタンドには付属品も収納できます

  • ちょっと面白いのが、充電台に引き出し式の小物入れスペースがあること。予備の紙パックを入れておくことを想定しています

サイクロン式の新製品も

PKV-BK50Lと同時に、サイクロン式の「パワかるスティック PV-BL50L」と「パワかるスティック PV-BL30L」も発表しています。これら2モデルの違いは、付属品ノズルの内容と充電スタンドの有無。どちらも価格はオープンです。推定市場価格は、充電スタンドが付属する上位モデルのPV-BL50Lは99,000円前後、充電機能のないスタンドが付属する下位モデルのPV-BL30Lは88,000円前後です。

両モデルとも重さは1.4kgと、紙パック式のPKV-BK50Lと同じ。機能もほぼ同等ですが、集塵方式がサイクロン式のモデルです。紙パック式の選択は「軽量タイプ(PKV-BK3K)」か「パワータイプ(PKV-BK50L)」ですが、「紙パック式」か「サイクロン式」かという選び方もあります。

  • 左から、サイクロン式のPV-BL30L、PV-BL50L、紙パック式のPKV-BK50L