IIJ(インターネットイニシアティブ)は11月6日、2024年3月期の第2四半期決算を発表し、決算説明会を開催した。第1四半期と合わせた上半期の業績は、売上が前年同期比5.1%増の1282億円、営業利益が前年同期比8.1%増の120億8,000万円となっている。
インターネット接続サービス/モバイルサービスを含むネットワークサービスセグメントの上半期売上は739億8,100万円で前年同期比9.3%増。このセグメントを構成するサービスのうち、法人向けインターネット接続サービス/アウトソーシングサービス/WANサービスは売上増となっているものの、個人向けインターネット接続サービスのみ、前年同期から1.5%の売上減となっている。
ネットワークサービスの原価は売上の伸長に伴い増加となっているものの、回線調達コストはスケールメリットを活かし安定して推移しているという。MVNOサービスで発生するNTTドコモのモバイルデータ接続料(帯域単価)は、継続して20%台の減少となる見通しだ。
モバイル・IoT事業の進捗状況としては、回線数が200万回線を超えるなど、法人向けのモバイル事業の伸長が大きい。この分野ではもともとIIJが高いシェアを持っており、新規顧客の獲得による伸長というよりも既存顧客の活動の活発化によって利用料・収益が拡大しているという。成長ジャンルとしてはIoTが大きいとのこと。
これに対して個人向けモバイルサービスのIIJmioは、回線数こそ1.9万回線増の122.2万回線となったものの、上半期の売上は前年同期比マイナス2.6億円の106.1億円となった。前期に行った価格改定をうけ、高単価プランから低価格なプランへの移行があった影響によるが、顧客満足度/シェア調査では高い評価を維持しており、サービス自体は順調という認識のようだ。
説明会の質疑応答では、KDDIがNTTグループから株式譲渡を受け、NTTグループと並ぶ筆頭株主となった経緯と、今後のKDDIとの関係についての質問があった。経緯については、政策保有株の規制が厳しくなったこともあってNTTグループが株を手放したいということになり、以前からIIJ株を持ちたいという意向のあったKDDIがそれを譲り受け、NTTグループと同割合で保有することになったと説明。複数キャリアと関係を構築することはIIJにとってもメリットがあるとし、今後の提携についても話をしているという。
また、以前の会見で言及されたドコモ回線の通信品質についての苦情については、ドコモから情報提供を受けているそうで、「継続的に改善していただけると思っている」という姿勢。苦情の件数自体も、それほど多いわけではないという。
NTT法見直し、楽天モバイルのプラチナバンド獲得についての受け止めについても質問があったが、具体的なコメントはなく、一般論として「低廉なサービスがあることは国民にメリットがあるので、公正な競争環境の整備に努めてほしい」と述べるにとどまった。