2023年10月24日、マウスコンピューターは同社のゲーミングパソコンNEXTGEARの新モデルをデスクトップ「NEXTGEAR JGシリーズ」、ノートパソコン「NEXTGEAR J6シリーズ」を発表しました。
今回発売する製品はすべてCPUにAMD Ryzenシリーズを採用しているのが特徴。発表会にはCPUメーカー、マザーボード製造メーカー、デスクトップケース製造パートナー、ノートPC製造パートナーともに登壇するなど力が入っており、さらにSNSを活用したユーザーニーズの吸い上げや新機軸を盛り込んだ内容でした。
-
本日発表されたNEXTGEAR J6シリーズ。カラーは特徴的なグリーン
-
NEXTGEAR JGシリーズ。ケースが以前から投入されていましたが若干のリファインがありました
-
ノートパソコンを別角度から
-
デスクトップを別角度から。サイドガラスパネルでLEDファンがよく見えます
-
パソコンの発表会としてはゲストが多かったのが印象的です
冒頭、マウスコンピューター 代表取締役社長の小松永門氏は円安基調に加えて部品そのものの値上がり、そしてゲームタイトルが要求するスペックが上がってしまった結果、ゲーミングパソコンの価格も上昇気味にあると説明。
一方で、ゲーミング市場は拡大しているにもかかわらずマウスのゲーミングPC出荷台数は2021年をピークに減少傾向にあり、より幅広い層にゲーミングパソコンを訴求するためには単価を抑えた製品が必要であると感じていたそうです。
実はマウスコンピューターのゲーミングブランドは2004年からG-Tuneブランドで訴求していましたが、シリーズ名の1つにNEXTGEARという名称を使用していました。今回、値ごろ感のあるゲーミングパソコンブランドとしてNEXTGEARを独立させ、コンシューマー向けに限定して再び展開することに決めたと言います。
NEXTGEARブランドの特徴として、高いコスパを持つAMDプラットフォームを採用したことと、公式EC限定の100%受注販売をアピール。コンシューマーゲーミングに焦点を当てたブランドであることがポイントです。
今回新たな試みとして、X(旧Twitter)やGoogleなどを用いたアンケートによるユーザーヒアリングを実施したことを挙げており、社内とユーザーの興味に乖離があったことを紹介。
ノートPCのカラーリングに関して、社内では(無難な)シルバーが上位だったのに対し、アンケートでは他社製品を見てもなかなかないグリーンがダントツの評価となったそうで、デスクトップのフロントパネルデザインも社内評価と異なる上、ホワイトカラーのゲーミングパソコンも人気でした。
今後もゲーミング市場拡大に向けて、G-Tuneはコンシューマーだけでなくプロフェッショナルや法人まで使えるゲーミングPCのスタンダード、NEXTGEARは一般コンシューマー向けに取り組み、G-Tuneの売り上げ減少以上にNEXTGEARが売れることで底上げを狙っていきたいと今後の意気込みを語りました。
-
マウスコンピューター 代表取締役社長の小松永門氏
-
パーツ価格そのものの上昇、為替変動に加え、ゲームタイトルの要求水準の向上もあり、ゲーミングPCの単価は上昇傾向にあります
-
一方で、マウスコンピューターのゲーミングPCの出荷台数は2021年をピークに下降中。原因に関して伺いませんでしたが「コロナ禍巣ごもり需要がひと段落」でしょう
-
ゲーミングPCのすそ野の拡大を考えると、削れるところを削った製品が必要というのが今回の新ブランドの目的になります
-
NEXTGEARブランドはコスパに優れたAMD CPUを全面的に採用し、かつ100%受注生産により流通・在庫コストを抑えるというのが戦略で、性能・品質は下げていないとのこと
-
従来のG-Tuneがすべてのゲーマー向けであるのに対し、NEXTGEARはEC販売で一般コンシューマー向け。多少G-Tuneの販売が落ちてもNEXTGEARでカバーするという戦略です
-
今回、X(旧Twitter)によるアンケートを実施。圧倒的に今回採用されたA案が支持され、また白色にも一定の需要があると判断しています
-
同様にノートパソコンのカラーリングに関しても異色なグリーンが一番人気。ぶっちゃけ企画側で奇抜な色を推しても、営業の「コケたらどうしよう」という心配も無視できないのが各社共通の話です
その後、デスクトップ、ノートパソコンの詳細とともにゲストスピーカーとして登壇されたAdvanced Micro Devices, Inc. Corporate Vice President and General ManagerのDavid McAfee氏や、マウスコンピューター マーケティング本部製品部 副部長 田村繁甲氏がパーツや設計思想に関してコメントしました。
ノートパソコンNEXTGEAR J6シリーズに関しては、マーケティング本部製品部 副部長の田村繁甲氏が説明。すでに紹介した通り、アンケート結果を元に他社のゲーミングパソコンにないグリーンを採用。マゼンタ系であるNEXTGEARのテーマカラーとは補色関係にあり、天板のロゴはかなり目立ちます。
また、16インチの16:10アスペクト比の165Hz液晶を採用しており、縦にちょっと画面が広いのが特徴になっています。ゲーミングパソコンとしてはNキーロールオーバーのキーボードをそなえ、4つのエリアで自在に光らせる事ができます。
気になる価格ですが、CPUにRyzen 5 7535HSとGPUにGeForce RTX 4050を搭載してRAM 16GB、ストレージ SSD256GBのモデルで124,900円という価格を実現しており、確かに良コスパ(最上位モデルも19万切り)。GPUは上位モデルにはGeForce RTX 4060、CPUはRyen 7 7840HSを使用したモデルも用意されており、3モデル6製品構成で販売されます。
-
X(旧Twitter)のアンケート結果からカラーはグリーンに。ロゴカラーがほぼ反対色なのでかなり目立ちます
-
液晶は16型の165Hzの1,920×1,200どっとと通常利用でもよい感じです
-
キーボードは当然ながらNキーロールオーバーで、4ゾーンに分けて光ります
-
CPU/GPUの組み合わせが3タイプで、RAM/SSDサイズ違いの計6製品で販売されます
-
一番下の製品はRyzen 5 9535HS/GeForce RTX 4050の組み合わせ
-
中間製品はRyzen 5 9535HS/GeForce RTX 4060とGPUがグレードアップされます。ただし価格を考えてかSSDが少なめ
-
最上位はRyzen 7 9740HS/GeForce RTX 4050の組み合わせ。個人的にはこれが欲しい
-
続いてノートPCの設計製造を担当するUniwill Technology Inc. Sr. Vice President of Notebook ODM BU Rachel Chen氏が登壇。設計方針は洗練さ、支配的、速度、性能
-
製品は安定、安全、パワフルで美しいを狙っています
デスクトップNEXTGEAR JGシリーズに関しては、マーケティング本部 製品部 プロダクトマネージャーの林田奈美氏が紹介。フロントメッシュパネルとサイドガラスを備えたミドルタワー製品で、最大6つのファン+水冷の選択が可能ながら、回転数をチューニングして静音にも考慮した作りとなっています。トップ部分にI/Oパネルを配置し、さらに各種フィルタは取り外して水洗い可能というのが特徴です。
GPUにはRadeon RX 7700XT / 7800XTとRadeonシリーズの上位モデルを新たに投入しており、おおきなグラフィックカードを選択した製品にはVGAガードも搭載。今回GeForce RTX 4070 Tiモデルも投入されます。
-
前面メッシュ+サイドガラスパネルとLED装飾が映えます。ただし、現行モデルはLED単色設定です
-
ファンは最大6つ。トップフローは簡易水冷も選択可能です
-
フロントI/Oは本体上部にまとまっています。床置き時に効果を発揮しそう。フロントUSB-Cはマザーボードの制限もあり今回実現していません
-
エアフィルタは脱着が容易で水洗いできるとの事
なお、発表会では白いモデルも参考展示していましたが、こちらは後日の発売を検討しているとのこと。「白ゲーミングパソコン」が最近の自作PCで結構ポピュラーになっており、白いゲーミングデバイスや白いゲーミングモニターも登場しているのでまさに旬と言えるでしょう。
もう1つ、マザーボードにASRock社製マザーボードを使用している事もポイントです。ASRock Incorporation Motherboard & Gaming Monitor Business Unit Vice President Chris Lee氏が登壇し、「岩のように堅牢」という意味から取ったASRock社の製品は、VGA/マザーボードともに質実剛健な製品が多く、長く使うための安定性に寄与すると述べました。
-
「AS solid as Rock」が社名の由来との事で質実剛健さがウリ。安定性に関しては電源回りと信号回り両面でアピール
-
普段のASRockイベントでも電源回りのコダワリに関して「鳴かないコイル」、「よいMoS FET」、「サーバーグレードのサーマルペースト」等々、毎回語っています
-
今回は画像による基盤の全数検査もアピールしていました
-
コンセプトカーが今回のイメージとの事
-
今回、フロントパネルのメッシュに凹みを付けて、プレートが飛び出さないように小改良した説明があり、展示機を見ると両方ありました
-
こちらが改良版で、確かにツライチです
なお、新発売を記念して3つの施策が用意されています。1つは、iiyamaの未発売34インチ湾曲ウルトラワイドモニターを含むフルセットが400台限定で提供されます。会場で見たところなかなかの迫力で、これでゲームをすると楽しそう。
-
今回のキャンペーン等は3つ。一つ目はイイヤマの未発売湾曲モニターとのセットが限定400台で販売
-
本体、モニター、ゲーミングペリフェラル全部ついて169,800円/219,800円とかなりイイ感じです
-
こちらがセット内容で、画像はRyzen 7 5700X/GeForce RTX 4060Tiの上位グレードの方です(写真では写っていますが、マウスパッドとヘッドフォンスタンドは付属しません)
2つ目は、直営店経由で注文することで最短翌営業日出荷となります。NEXTGEARは在庫を置かないダイレクト販売のみですが、いち早く欲しい人にはうれしい対応です。直営店で展示機を触りながら店員と相談の上で、最適なカスタマイズを行った商品を注文できるというわけ。
最後に30歳未満の応援プログラムとして、NEXTGEAR製品購入時に使用できる11,000円の割引クーポン「NEXTGEAR 10-20s割 プログラム」を配布。こちらは10月末までとなっているので、少しでも安価にゲーミングパソコンが欲しい方はチェックされるとよろしいでしょう。
-
今月いっぱいは11000円引きクーポンが30歳未満の方にプレゼント
-
フォトセッション、左からJefferson Lin氏、Chris Lee氏、小松永門氏、David McAfee氏、Rachel Chen氏
-
登壇はありませんでしたが日本AMD社長のジョン・ロボトム氏(右)も会場で発見
-
アンケートで反響があったこともあり、デスクトップのホワイトモデルも発売予定ですが、まだ正式発表ではありません
-
GPUの上位モデルにはステーが付きますが、聞いたところオプションパーツとしての販売は予定されていません
-
LEDカラーが異なるのは今回試作で色の変わるファンを採用しているため。将来的にはフロントパネルのボタンでカラー変更ができるようにしたいと説明を受けました