NVIDIAとAMDがArmベースのWindows PC向けプロセッサを、早ければ2025年にも販売する可能性があるとReutersが報じた。このレポートが公開された直後にIntel株が約3%下落した。

ReutersはArmベースのPC用チップの製造計画に詳しい2人の情報提供者から得た情報を基に、23日に「NVIDIA to make Arm-based PC chips in major new challenge to Intel」という記事を公開した。この動きの背景には、ArmベースのPC市場の拡大を狙うMicrosoftの意向がある。AppleがApple Silicon搭載Macの提供を開始してから3年未満でシェアを倍増近くに伸ばしており、Microsoftはその成長を強く意識しているという。

ユーザーの需要も増しており、Counterpointによると、ArmベースのPCの市場シェアは今年春時点の14%から2027年までに25%まで増加すると予測されている。Windows 11 on Armでは、32bit版のWindowsアプリ(x86)に加えて64bit版のWindowsアプリ(x64)のアプリも実行だが、ArmベースのPCに対するWindowsユーザーのニーズを新たなPC市場として成長させるにはネイティブアプリが増えることが望ましい。

Microsoftは、昨年5月にArmネイティブアプリの開発環境を提供するArmベースのコンパクトPC「Windows Dev Kit 2023」を発表。同年10月に599.99ドルで販売開始した(現在は在庫なし)。さらに10月16日に「Arm Advisory Service for developers」というArm版Windows 10/11向けアプリ開発を支援するサービスを発表するなど、Armネイティブアプリの開発を継続的に支援している。

Reutersの情報よると、10月24〜26日にQualcommが開催する「Snapdragon Summit 2023」において、Nuviaのチップ技術を基に構築した新チップの詳細が発表され、MicrosoftのWindows and Devices担当の幹部も出席するという。Nuviaは元Appleのチップ設計者が設立したArmベースのカスタムチップの設計会社で、2021年にQualcommによって買収された。

その市場にNVIDIAとAMDが参入し、早ければ2025年にチップの販売を開始。それらを搭載したWindowsノートPCが2026年に登場する可能性があるという。Reutersの報道の中で、財務・戦略コンサルティング企業D2D Advisoryのジェイ・ゴールドバーグ氏(CEO)は、ArmベースのPCチップが本格的に軌道に乗るなら、Intelとのパートナーシップを通じて単一のベンダーに依存するリスクを知るMicrosoftが「Qualcommを単独のサプライヤーにすることはないだろう」と指摘している。

Microsoftはまた、AIアシスタント「Copilot」を推進する中で、チップメーカーに対して、新たなプロセッサの設計に高度なAI機能を組み込むよう働きかけているという。