9月27日に発売されたXiaomi(シャオミ)のAndroidタブレット「Redmi Pad SE」をお借りして試用しました。21,800円から買えるお手頃価格のタブレットですが、11インチの大画面とDolby Atmos対応のクアッドスピーカーを備え、動画コンテンツを楽しむにはうってつけの1台です。
コンテンツ消費用のデバイスとしてはコストパフォーマンス抜群
Redmi Pad SEにはメモリ容量が異なる2種類のモデルが用意されており、お値段はメモリ4GB+ストレージ128GBのモデルで21,800円、6GB+128GBモデルでも29,800円と、いずれも3万円を切る価格で手に入ります。
ちなみに、販路によって取り扱うモデルが分かれており、4GB+128GBモデルはメーカー直販サイトやAmazon、6GB+128GBモデルは家電量販店などで購入できます。Redmi Pad SEの主な仕様は下記のとおりです。
- OS:Android 13(MIUI Pad 14)
- SoC:Qualcomm Snapdragon 680
- メモリ(RAM):4GB/6GB(LPDDR4X)
- 内部ストレージ(ROM):128GB(eMMC 5.1)
- 外部ストレージ:microSDXC対応(最大1TB)
- ディスプレイ:11インチ 1,920×1,200 90Hz液晶
- アウトカメラ:約800万画素 F2.0
- インカメラ:約500万画素 F2.2
- Wi-Fi:2.4GHz/5GHz
- Bluetooth:5.0
- バッテリー:5,000mAh
- 外部端子:USB Type-C、イヤホンジャック
- 生体認証:顔認証
- サイズ:約255.53×67.08×7.36mm
- 重量:約478g
- カラー:ミントグリーン、グラファイトグレー、ラベンダーパープル
さて、教育用・業務用を除く個人向けのタブレット端末の用途を大別すれば、高性能かつスタイラスペンなどの周辺機器も充実させたクリエイター向けの「コンテンツを生み出すタブレット」と動画や電子書籍などを楽しむための「コンテンツを消費するタブレット」の2つに分けられると思います。有名どころで言えばiPad ProやGalaxy Tab S9シリーズは前者、AmazonのFireタブレットは後者に分類できます。
このコンテンツ消費デバイスとしてのタブレット選びは簡単なようで意外と難しいのです。iPadはもはやベースモデルでも68,800円から(第10世代・64GB Wi-Fiモデルの場合)と“見るだけ”のデバイスとしては許容しがたい値段になりつつありますし、低価格路線の代表格といえるFireシリーズはPlayストアが使えずアプリの入手経路がAmazonアプリストアに限られるゆえの不自由さがあります。
そこでRedmi Pad SEなら2万円台前半からと手が届きやすいうえに、Playストアが使える汎用性に優れた「普通のAndroidタブレット」であり、コンテンツを思う存分楽しむための映像と音のポテンシャルも高く、まさに消費側のタブレット端末としてはツボを押さえた製品といえます。
11インチというと少し前の感覚ではタブレット端末としてはかなり大きいように聞こえるかもしれませんが、実際には最近のスマートフォンと同様にベゼルレス化が進んでいて本体サイズはそれほど大きくなく、厚さ7.36mm/重さ478gで軽々と扱えます。また、スマートフォンのサイズも年々大型化しているので、あえて大画面の別端末を用意して使い分ける意義を考えても、これぐらいの画面サイズがあってこそというものでしょう。
そして、動画を楽しむなら映像だけでなく音も重要。左右の短辺に2つずつスピーカーユニットを配置したクアッドスピーカーでDolby Atmosにも対応と、低価格ながら外せない部分にはしっかりコストをかけた仕様になっています。
また、安価なAndroidタブレットを選ぶ際に見落としがちなポイントですが、Redmi Pad SEは「Widevine L1」にも対応しています。WidevineとはGoogleのデジタル著作権管理(DRM)技術で、Android端末のWidevineセキュリティレベルはL1/L2/L3に分かれています。ハードウェアベースのセキュリティ保護機能を持つ最もレベルの高いものがL1です。
このWidevine L1に対応していないと動画の解像度が制限される場合があり、具体的にはNetflixやAmazonプライム・ビデオでHD画質(720p)以上で再生するには必須となるため、動画を観るためにタブレット端末を買うなら必ず確認しておきたいポイントです。
性能的には割り切った部分も
「安い」「大画面」「スピーカーも良い」と非常にシンプルなアピールポイントでコンテンツ消費デバイスとしての需要の芯をとらえた製品ですが、それだけに割り切った仕様となっている面もあり、他の使い方を考えていて安さに惹かれて選ぼうとしているなら注意が必要です。
まず、CPU/GPUの処理性能は決して高くありません。先に発売されたMediaTek Helio G99搭載の「Redmi Pad」も在庫がある店舗では同程度の市場価格まで下がってきており、新型のRedmi Pad SEはクアルコム製SoC(Snapdragon 680)に変更されているため上下関係がやや分かりにくいかもしれませんが、ベンチマークスコアでいえばSEが下になります。
ただ、どちらも最近のミドルレンジスマートフォンより少し低いぐらいのスペックで、ある程度用途を考えて使う必要があるという前提は変わらないためさほど大きな違いではないとも言えます。
使ってみて気になった弱点は「充電」です。と言っても、バッテリーが8,000mAhもあるので電池持ちに不満はありません。問題は大容量バッテリーを搭載している割に充電速度が遅いことです。
USB PDや独自方式の急速充電には対応しておらず、一般的な5V/2A(10W)での充電しかできないため、フル充電までにはかなり時間がかかります。たとえばノートPC代わりに持ち出して外で作業をしたり、仕事で資料を見せるためのデバイスとして使ったりといった、モバイル利用で使い込むには不向きでしょう。
もっとも、この最大の弱点さえも、本来想定されている就寝前や休日などに数時間じっくり動画や電子書籍を楽しむ程度の使い方なら「使わずに置いておく時間」をいくらでも確保できるのでほぼ問題にならないはず。用途にマッチすれば非常にお買い得なタブレット端末です。