カシオ計算機は10月12日、エレキギターのストラップに取り付けて、エフェクターをワイヤレス操作するコントローラー「DIMENSION TRIPPER」を発表。同日から、クラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING」にて支援の募集を開始しています。
支援金額は、DIMENSION TRIPPERの1セットあたり35,200円、成立条件は745万円。不成立の場合は全額返金するオールオアナッシング型となります。早期割引きの特典も用意。募集期間は2023年11月末までを予定しており、プロジェクトが成立した場合、製品の送付は成立から約半年後の見込みです。
ステージのどこに立ってもエフェクターを操れる
DIMENSION TRIPPERは、ギターのストラップに取り付ける送信機と、エフェクターに接続する受信機という構成。送信機はギターのストラップに取り付けます。ワイヤレス通信の仕様はBluetooth 5.1です。
送信機にはバネを内蔵。ギターを構えて上下すると、バネの伸び縮みによってエフェクターの効き具合が変わります。バネの状態を信号化してワイヤレスで送信し、受信機からエフェクターへとコントロール信号を送る仕組みです。バネの強度は調整できます。
受信機には独立した出力端子×2基(6.3mmステレオ)があり、1組のDIMENSION TRIPPERで複数のエフェクターを操れます。
エフェクターを足で操作するボリュームペダルやエクスプレッションペダルを使う場合、ペダル操作と送信機の上下操作を同時に行うと、2種類のエフェクトを同時に適用することが可能。演奏中は難しかった音色作りを楽しめるとしています。また、送信機と受信機の通信範囲ならば、ステージ上のどこからでもエフェクターを操作できるため、ライブ中の演奏やパフォーマンスの幅が広がります。
送信機の電源は単4形アルカリ乾電池×2本、仕様上の電池寿命は約6時間、本体サイズは幅50×奥行き120×高さ25.5mm、重さは約140g(乾電池を除く)。一方の受信機はACアダプターによる電源です。本体サイズは幅74×奥行き56.7×高さ130mm、重さは約280g。
実機を試せる
クラウドファンディングの期間中は、東京都世田谷区の「蔦屋家電+」(二子玉ライズ)にて実機を展示。DIMENSION TRIPPERを取り付けたギターの演奏を体験できます。
開発の足跡
DIMENSION TRIPPERを開発したカシオの藤井氏は、「ギター演奏に新しい表現を生み出したい」という思いから開発をスタート。1人で黙々と取り組みました(現在はメンバーが増えています)。紆余曲折を経ながら、社内のエンジニア育成プログラムで進行しているプロジェクトの中では、クラウドファンディングまで進んだ第1号に。
最初の試作機(送信機部分)は、各種のパーツと回路を並べただけのようなもの。ケースには、藤井氏のお子さんが使っていた食器入れに目を付けました。伸び縮みの機構には、かなり強力な輪ゴムを用いています。Maker魂を感じる試作機です。
そして第2、第3、第4の試作機には、社内の3Dプリンターを仕様。世代を順に見ていくと、小型化の様子がよく分かります。
エレキギターを嗜む人は「おおっ!?」と思うに違いないDIMENSION TRIPPER、こういう発想や工夫を重ねた開発から、ヒット製品は生まれると思うのです。クラウドファンディングの成否に関わらず製品化は未定とのことですが、結果に注目しています。