パナソニックは、テクニクス(Technics)ブランドの完全ワイヤレスイヤホン「EAH-AZ40M2」を10月19日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭価格は15,000円前後を見込む。カラーはブラック(K)、シルバー(S)、ローズゴールド(N)の3色。

  • EAH-AZ40M2。左からシルバー、ブラック、ローズゴールド

テクニクスは2020年、「EAH-AZ70W」で完全ワイヤレスイヤホン市場に参入し、翌2021年に第2弾「EAH-AZ60/AZ40」を投入。ハイレゾワイヤレス対応で通話機能を強化したAZ60、コンパクトで手ごろなAZ40をラインナップに加えた。2023年6月には第3弾として、音質や使い勝手をさらに高めた最上位「EAH-AZ80」と、AZ60をブラッシュアップした「EAH-AZ60M2」を発売しており、AZ80/AZ60M2ともに販売実績は想定の2倍を超えているとのこと。

  • EAH-AZ40M2(ブラック)

  • EAH-AZ40M2(シルバー)

第3弾の末弟モデルとなるAZ40M2は、上位機と同等のBluetooth機能を備え、AZ40では実現できていなかった音質強化と、ノイズキャンセリング(NC)機能を新たに盛り込み、1万円台半ばで購入できるTWSイヤホンとしてコストパフォーマンスを高めている。これによってテクニクスの完全ワイヤレスイヤホンは、ユーザーのこだわりと予算に応じて“松竹梅”から選べるようになったかたちだ。

  • EAH-AZ40M2(ローズゴールド)

  • ローズゴールドモデルは、先代AZ40から色味の検討がじっくり行われてきており、AZ40M2でもそれを踏襲しているそう

AZ40M2の大きな進化ポイントは3つあり、ひとつは音質の劣化を抑える「ダイレクトモード」を、ユーザーが音をカスタマイズできるサウンドモードに新たに追加したこと。

従来のAZ40では、サウンドモードがオフになっていても音声信号がフラットなイコライザーブロックを通っており、若干音質が劣化してしまっていたという。AZ40M2でも同様に、サウンドモードオフ時も音声信号はEQブロックを通過するが、動作をシンプルにしたことで音質劣化を抑え、自然なサウンドを追求しているとのこと。これまでのテクニクスの完全ワイヤレスイヤホンで抱えていた問題は、上位のAZ80/AZ60M2では既に解消しているが、エントリークラスのAZ40M2でも解決した。

もうひとつの進化ポイントは、スマートフォンなどとの通信機能の強化だ。

AZ40M2では新たにLDACコーデックに対応し、ハイレゾワイヤレス伝送が可能になった(従来のAZ40はAACコーデックまで)。また、上位のAZ80/AZ60M2で導入している、3台の機器との同時接続機能「3台マルチポイント接続」にも新たに対応。業務用のスマホと私物のスマホ、タブレットやPCなど、複数のデバイスを同時に使っているときにシームレスに切り替えできるとする。デフォルト設定は2台までで、3台で使うには専用アプリからの設定変更が必要となる。3台接続時は、LDACコーデックは利用できない。

3つめの進化は、ニーズの高まりに応えて、AZ40にはなかったノイズキャンセリング機能を新搭載した点(ただし、上位機のデュアルハイブリッドNCとは異なる)。さらに、イヤホンを着けていても外の音が聞ける「アンビエントモード」も搭載しており、フィルタ性能の向上によって高域の音も聞き取りやすいように進化しているとのこと。

従来のAZ40と同様に、PEEK振動板の6mm径ダイナミック型ドライバーを搭載。広帯域再生能力を引き出すための音響構造としてドライバーの後端に空間と調整通気孔を設け、ドライバーの空気の流れを精密にコントロールする「アコースティックコントロールチャンバー」を内部に備えることでボーカルのリアルさや力強い低音を再現。さらにドライバーの前の空間形状を最適化し、高域特性を良好にする「ハーモナイザー」によって、自然な高音を追求している。

  • 装着してみると、耳への収まりのよさや、飛び出し感のなさは良好

AndroidスマホとAZ40M2をLDACコーデックで接続し、イーグルス「Hotel California」(192kHz/24bit)を聞いてみると、サウンドのバランスが良好で整理されていて、ボーカルが目の前にしっかり定位。各楽器の音もストレートに耳へと届けてくれる印象で、ドラムの低音は主張しすぎず、かといって弱すぎることもなくきっちりとリズムを刻み、曲後半のギターソロも心地よく楽しめる。音の広がり感もほどよく、1万円台半ばで買える完全ワイヤレスイヤホンとして多くの人にオススメできるモデルだ。

テクニクス完全ワイヤレスイヤホン用の専用アプリも進化。トップ画面には新たに「電源ボタン」を画面右上に新設し、充電ケースがなくてもイヤホンの電源をオフにできるようにした。音声ガイダンスの音量調節が可能になり、モード切り替え時にモード名を読み上げるのではなく通知音のみにする、といったカスタマイズも行えるようになる。さらに、手元のデバイスに接続したときは、「スマートフォンに接続した」「PCに接続した」「プレーヤーに接続した」と接続した相手の種類を分かりやすくアナウンスするという。

  • テクニクス完全ワイヤレスイヤホン用の専用アプリの画面

充電ケースには、イヤホンとケースの充電状態がひとめで分かるLEDを追加。USB Type-C充電に対応する。そのほかSwiftPairにも対応し、Windows PCとのペアリング時にポップアップ表示して接続しやすくするなど、細かな使い勝手が向上しているとのこと。

なお上位機で採用している、耳の装着センサーと連動する音楽再生機能や、通話品質を高める「JustMyVoice」テクノロジー、ワイヤレス充電機能は、AZ40M2では省いている。

イヤホン単体の連続再生時間は、NCオンでAAC接続時が約5.5時間、充電ケース込みで約18時間。NCオンでLDAC接続時は約3.5時間、充電ケース込みで約12時間。イヤホン本体はIPX4相当の防滴仕様で、重さは片側5g。

付属のシリコン製イヤーピースは、周辺部と中心部で硬さを変え、高いフィット感と遮音性を両立させたものを採用。、XS/S/M/Lの計4サイズを同梱する。 製品パッケージは、従来のAZ40から体積が2割近く減ってコンパクト化し、環境配慮でプラスチックを使わない紙素材の仕様に変更している。