米Googleは9月19日(現地時間)、同社の生成AIチャット「Bard」の言語モデル「PaLM 2」をアップデートした。高性能なモデルによってより迅速かつ柔軟な対応を可能とし、これまで英語のみで提供してきたいくつかの機能を日本語を含む40以上の言語に拡張した。加えて、英語版で「Bard Extensions」の提供を開始してGoogleツールとの連係を実現、また「Google it」機能を改善した。

今年3月に米国と英国でBardの試験提供を一般に拡大してから6カ月が経過し、Bardの出力に対するユーザーのフィードバックを基に、修正や補足、モデルの学習・改善を進めてきた。最新の強化学習手法で訓練されたモデルは、より直観的かつ想像力豊かな対応を可能にする。これにより、クリエイティブなプロジェクトや詳細なコーディング支援、多様な視点からの探求など、ユーザーとより幅広いコラボレーションが実現するという。また、ある言語で始めた対話を途中から他の言語に切り替えて続けることもできる(40言語以上をサポート)。

そして19日より、日本語を含む40言語以上で、GoogleレンズとBardを組み合わせた検索を利用できるようになった。Bardで画像をアップロードし、画像に関する質問の回答を得たり、より視覚的で分かりやすい回答を得られるようになった。

さらに、Bardの回答の長さおよび口調を5つのオプション(短くする、長くする、シンプル、カジュアルにする、専門的な表現にする)から選んで調整することが可能だ。この機能はBardの回答で下部に表示される[回答を書き換える]をクリックして利用する。例えば、商品の説明文の作成を頼んだ際に回答が長すぎる場合は、ドロップダウンのメニューから「短くする」または「シンプルにする」を選んで調整できる。

Bard Extensions(英語版)は、Webだけではなく、Google Workspace(Gmail、Googleドライブ、Googleドキュメント)、Googleマップ、Googleフライト、Google HotelsといったGoogleの各種ツールからも関連情報を検索し、ユーザーのプロンプトに対してパーソナライズした応答を提供する。例えば、旅行計画を立てる際に、最新の予約情報に基づいた提案を受けることや、旅行中に現在地に基づいたGoogleマップからのローカル情報を取得することが可能だ。

GmailやGoogleドキュメント、Googleドライブ内のコンテンツの要約も頼める。例えば、新しい仕事に応募する際に、Googleドライブ内に保存している履歴書の内容を短いパラグラフの自己紹介文に要約してもらうことで、効率的にカバーレターを作成できる。

拡張機能はExtensionsの設定で、ツールごとにオン/オフを設定できる。ユーザーとの会話の中で、Bardはユーザーがオンにしている拡張機能が役立つかどうかをチェックし、役立つと判断したら自動的にユーザーとの会話からの情報および関連する情報を拡張機能に送る。例えば、Googleマップの拡張機能をオンにしているユーザーが近くにあるコーヒーショップを尋ねた場合、BardはユーザーのロケーションデータをGoogleマップに送る。

  • Bard Extensionsの設定画面

    Bard Extensionsの設定画面

また、オフにしている拡張機能についても、プロンプトで”@”を付けて検索の対象にすることが可能だ。例えば、Gmailから情報を引き出してほしい時は@gmailを付けて頼む。

個人情報やデータの保護については、ユーザーがGoogle Workspaceの拡張機能を使用する場合、Gmail、Googleドキュメント、GoogleドライブのコンテンツをGoogleのレビュー担当者が閲覧したり、広告表示に利用することはない。モデルのトレーニングからも除外する。Google Workspaceの拡張機能はデフォルトでオフになっており、最初に使用する際にBardはユーザーのオプトインを確認する。また、いつでもオフにできるなど、ユーザーがExtensionsの利用をコントロールできる。

  • Google Workspaceの拡張機能のオプトイン確認

    Google Workspaceの拡張機能は、最初に使用する際にオプトインの確認が行われる

英語版では、Bardの「Google it」(Googleで検索)機能を使用して、回答のダブルチェックをより簡単に行えるようになった。ユーザーが回答の正確性に疑問を持つ場合や情報源を確認したい時に、Bardの回答の下部に表示される「G」アイコンをクリックすると、BardがWeb上に回答の裏付けとなるコンテンツが存在するかどうかを確認し、その情報を強調表示する。強調された部分をクリックすることで、関連する情報源へのリンクを参照できる。

  • 「Googleで検索」で回答の情報をダブルチェック

    「Googleで検索」機能を使用して回答の内容をダブルチェックしてもらい(左)、情報ソースのリンクを確認(右)

また、公開リンクを通じてBardとの会話を共有できるだけでなく、その会話を基に新たな質問も行えるようになった。これにより、他のユーザーから共有された会話の文脈を踏まえて、さらに詳細な質問を行ったり、または新しいアイデアを探求する起点としてBardとの対話を利用できる。