iPhone 15シリーズが発表されました。多くの変更点・進化点があるなかでエンドユーザに影響が大きいのは、「USB-C」の採用です。2012年発表のiPhone 5以来、10年の長きにわたり利用されてきたLightningに代わりUSB-Cが採用されることで、iPhoneのケーブルを利用した充電/データ転送にまつわる常識が大きく変わります。
USB-Cは、USB 3.1のとき登場したUSBコネクタの規格です。コネクタサイズは幅8.4×厚さ2.6mmでピン数は24、形状が左右対称で表裏の区別なく挿せる点はLightningと同じですが、端子はコネクタ内部に隠れています。転送速度はUSB 3.1の仕様に準拠しているため、最大で10GB/s(USB 2.0準拠のLightningは最大480MB/s)と圧倒的に高速です。
では、USB-Cを採用するiPhone 15シリーズはデータ転送が大幅にスピードアップするかというと、必ずしもそうではありません。USB-Cはあくまでコネクタの規格で、信号線はUSB 3.1とUSB 2.0どちらにも対応できるからです。たとえば、USB 3.1と2.0両対応のUSB-Cデバイスもあれば、USB 2.0にしか対応しないUSB-Cデバイスも存在します。
実際、iPhone 15シリーズではiPhone 15/PlusがUSB 2対応で、転送速度は最大480MB/sです。一方iPhone 15 Pro/Pro MaxはUSB 3対応で、最大10GB/sという転送速度を実現します。
つまり、iPhone 15はデータ転送がスピードアップするものの、USB-Cケーブル接続時で対象機種はiPhone 15 Pro/Pro Maxにとどまります。パソコンに写真やビデオを転送する機会が多いユーザは、慎重に機種選定するほうがよさそうです。