今回はデルが販売しているオールインワン(AIO)の最新モデル「Inspiron 24 5420 All-in-One」(以降Inspiron 24 5420 AIO)を試す機会にめぐまれた。搭載するCPUは第13世代Core。省スペースのPC、インテリアに馴染む外観を求めるニーズにマッチしている。

  • デル「Inspiron 24 5420 All-in-One」を試す - 改めて評価したい省スペースな一体型PC

    デル「Inspiron 24 5420 All-in-One」

どこに置いても馴染むデザインと机の上を広く使える省スペース性

PCはノート型、デスクトップ型に大分され、現在主流なのはノート型だ。デスクトップPCにしても、そこにはノート型以上のパフォーマンスを求めるニーズが大きく、タワー型、ゲーミングPCといったジャンルの人気が高い。しかしAIOモデルにもメリットはあり、そのニーズがあるから現在も製品が続いていると言える。AIOモデルで、とくに注目すべきはデザイン性だろう。タワー型の場合は組み合わせるディスプレイやキーボード、マウス、Webカメラなどの見た目で悩むことが多い。一方でAIOはその製品単体のデザインのみ検討すればよい。キーボードやマウスも基本的に付属しており、Inspiron 24 5420 AIOはWebカメラも内蔵する。今回試すのはInspiron 24 5420 AIOのパールホワイトモデルだが、リビングにもプライベートルームにも馴染むモダンなデザインだ。

  • 省スペースでデザイン性にも優れる

Inspiron 24 5420 AIOのディスプレイは型番にもあるとおり24型で、解像度は1,920×1,080ドット。このスペックはいわゆるスタンダードなデスクトップPC環境に相当する。画面の大きさについては好みがあるところだが、普段の作業がノートPC中心というのであれば十分な大画面で、自宅ではゆったりとPCを使いたいという方に最適だ。また、タッチパネル機能あり/なしモデルがあり、今回はタッチパネルありモデル。タッチパネルだがノングレアというのがポイントで、室内照明の映り込みを気にすることなく使えることに加え、タッチ操作後の指紋が目立たなかった。

  • ディスプレイは24型サイズで解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)

ベゼルはかなり狭く見えるようデザインされている。実際にはベゼルからさらに4mm(ベゼルと合わせて1cm弱)ほどスペースを空けてディスプレイ表示領域になるが、それでも画面占有率は高く映像視聴では没入感も高まるだろう。視野角も問題なく広く、sRGBカバー率99%とのことで(デフォルトの)色味もよかった。

  • 斜めからでも色味の変化はほとんどない

ディスプレイの上、天板部にはポップアップ式のWebカメラが備わっている。通常WebカメラのほかIRカメラも備わっており、Windows Helloにも対応。また、HDとされているがカメラの設定では写真がフルHD、ビデオもフルHD/30fpsだった。なお、ポップアップでWebカメラを収納してもカメラが切断、OFFになるというわけではなく、まっ暗の画面がただ流れるという仕様だった。この点は少し疑問に思ったが、メリットとしてはよくある「Webカメラの電源をONにする作業のラグ」がない。

  • Webカメラ

Web会議やビデオ通信のつながりでオーディオ機能にも言及しておこう。ハードウェアとしてのマイクに関する言及はとくになかったが、「My Dell」というユーティリティのオーディオ項目を見ると、「音質」というタブには「3Dオーディオ」設定があり、その中には「カメラ追跡」という機能もあった。また、「音声品質」タブには「バックグラウンドノイズを除去」、「他の人のバックグラウンドノイズを除去」という項目があった。

  • 3Dオーディオやバックグラウンドノイズの除去といった機能を備え、Web会議などでも活用できる

ディスプレイの下はファブリック素材で、中央にDELLマーク、左右にスピーカーが内蔵されている。そして右端に電源のLEDがある。本体カラーにマッチしたホワイトLEDを採用しており、さらにファブリックを通して発光するのでわやらかな光になる。ここの雰囲気がかなりよかった。

  • ファブリック素材を透過することで電源LEDもやさしい光量。素材感と合わせてよい雰囲気だった

インターフェースはおもに背面下部にある。左からUSB 3.2 Gen1 Type-A×2、HDMI出力、HDMI入力、DCイン、LAN(1GbE)、USB 3.2 Gen2 Type-A×1、USB 3.2 Gen1 Type-A×1、ヘッドホン/マイク兼用端子、SDカードリーダー。このほか右側面にUSB 3.2 Gen2 Type-C×1基がある。これに加えてワイヤレスではWi-Fi 6E、Bluetoothも搭載している。とくにめずらしいのはHDMI入力だ。たとえばここに家庭用ゲーム機を接続してもよいし、AV機器を接続してもよい。ノートPCを接続して大画面で仕事をしたり、マルチディスプレイで業務効率をアップしたりといった使い方も可能になる。

  • おもなインターフェースは背面にある。種類も豊富で不足ないが、場所が背面なのでアクセスを要検討

  • 右側面下にUSB 3.2 Gen2 Type-Cを搭載

主な端子が背面にあるため、まずケーブルの着脱のために本体を移動する手間がかかる点は気に留めておくべきだろう。どこに何があるのか覚えてしまえば、本体下のスペースから手を差し伸べてケーブルを着脱できるようになるかもしれない。ただ、SMカードスロットはとくに、オーディオ入出力もできれば、USBもType-Aを一つくらいは側面に置いてほしかったというのが本音だ。使い勝手をよくしたいという方は、USBハブやUSBのSDカードリーダー等で前面からアクセスする手段を確保しよう。

  • VESAマウント穴はないので、一般的なディスプレイアームには非対応

もう一つ、そのままでは背面端子に挿したケーブルがだらりと垂れ、本体下のスペースから丸見えになる点も指摘しよう。こちらはスタンド部の幅が2cm強あるので、ここにケーブルを這わせることで隠せそうなのでお試しいただきたい。結束バンドよりもケーブルクリップを用いたほうが見映えよく隠せそうだ。また、ケーブル本数が多くなる場合は左右のスタンドに分けて配線するとよいだろう。

  • スタンド

ほか、本体下の右スタンド付近に2つのボタンがある。一つは電源、もう一つは本体映像/HDMIインへの切り換えボタンだ。

  • 電源ボタンは底面。長押しONではなく押せばすぐONになるタイプ

Inspiron 24 5420 AIOのスタンドは、本体カラーによって2つの形状が用意されている。今回はパールホワイトモデルなので「トライアングルスタンド」が付属する。もう一色のダークシャドーグレーには「アーチスタンド」が付属するとのこと。トライアングルスタンドはその名のとおり横から見て三角形の底面が接地面となる。アーチスタンドは逆V時形状で、2つずつ左右4つの脚が接地面になる。

スタンドの取り付けは、本体裏の下側に飛び出ている金属部分に挿し込むだけだ。奥までしっかり挿し込むことでピンによるロックがかかる。上から見るとディスプレイ側が広いハの字となって、小さいスタンドながらも安定感はある。そして若干のチルト角もつけられる。

  • スタンド取り付けはカチッとロックされる位置まで押し込むだけ

  • チルトにも対応。そこまで角度を浅くはできないが、座位で使用する分には問題ない

そのほか、付属品としてキーボードとマウス、ACアダプタがある。キーボード、マウスは本体とカラーを合わせたホワイトのものが付属する。見た目では単品販売もされている「Dell Premierマルチデバイス ワイヤレス キーボードおよびマウス(日本語)」に近いが、Bluetoothの切り換えやマウスの側面ボタンが省略されたInspiron 24 5420 AIO専用モデルと思われる。

  • キーボードとマウスも付属

ACアダプタは90Wのものが付属した。サイズ(W×D×H)は実測で約120×50×35mm。とくに小型というわけではなく、ノートPCで一般的なACアダプタだ。ケーブル長は1.8m程度あるのでACアダプタ本体を机の下に置くのも問題ない。

  • ACアダプタは90Wのものが付属。スタンドとの比較のとおり、ごく普通のACアダプタだが大きすぎるというほどではない

本体サイズ(W×D×H)は542.7×200.7×414.3mm。アーチスタンドモデルはスタンド形状が異なるため、奥行きが199.6mmと若干小さくなる。狭額縁ベゼルなので横幅もコンパクト。奥行きは20cm程度あるものの、スタンドを含めたサイズで本体のみならスリム。本体はスタンドの奥行き半分よりも前寄りに位置する。これはチルト対応のためでもあるが、ケーブルのスペースとしても十分で、たとえば本体を壁ぴったりまで後ろに下げてたとしても問題なく使える。なんなら単体ディスプレイを置くよりも、机上のスペースを有効活用できるだろう。重量は約5.49kg。軽くはないが重いほどもなく、女性でも問題なく組み立て、設置可能だ。

  • 冷却のための吸気口は底面、排気口は天板部。ファンを搭載するので無音ではないが、動作音は静かだった

最新世代のCPU。メモリやストレージはモデルによって選べるスペック

PCとしてのハードウェアは本体部分、つまりディスプレイの裏に搭載されている。サイズ感からしても想像できるように、デスクトップPCの分類であるが基本的にはノートPC用パーツで構成されている。

CPUはCore i7-1355Uで、コア/スレッド数はPコア2基Eコア8基の12スレッド。ラインナップにはCore i5-1335U、Core i3-1315Uを搭載するモデルもある。Core i5-1335Uのコア/スレッド数はCore i7-1355Uと同じ(コアクロックはCore i7よりも低い)、Core i3-1315UはPコア2基Eコア4基の8スレッド。共通するのはプロセッサー名に「U」が付く点で、これはTDPが15Wと通常のCPUよりも低発熱であることを意味している。通常、ノートPCで利用されるCPUだ。もちろんパフォーマンス面もノートPCに準ずるが、(デスクトップPCと比べて)冷却機構を薄型・小型化でき、Inspiron 24 5420 AIOのスタイリッシュな外観を実現している。

  • 最新の第13世代Core i7-1355Uを搭載。第13世代CoreのCore i5/i3モデルもある

グラフィックス機能はCPUに統合されているIntel Iris Xe Graphicsを利用する。ここ数年で統合GPUの性能も向上しているが、ディスクリートGPUほどではないので3Dゲームはかなり軽量のものが楽しめるといった程度だ。一方、ビジネスやホーム用途であれば十分な性能で、映像メディアに関してはQuick Sync Video等の機能が利用できる。

メモリはDDR4-3200で、今回のモデルは8GB×2枚の16GBを搭載。最小容量のモデルでは8GB×1枚となより安いが、シングルチャネル動作となるのでメモリ性能が低くなる。メモリはDDR4 SO-DIMMを採用しているので増設は可能だが、ノートPC同様にInspiron 24 5420 AIOも分解作業が生じるので、ここに自信がない方は最初から16GB搭載しているモデルを選ぶのがよいだろう。

  • メモリはDDR4-3200対応の8GBメモリを2枚、デュアルチャネルで実装

ストレージはNVMe対応のM.2 SSDを搭載しており、容量は今回のモデルで512GB。1TBのモデルも用意されている。もちろん載せ換え換装という手段もあるが、手間についてはメモリと同様。基本的には使用量を想定しつつ、余裕のある容量を選ぶのがよい。データについては外付けドライブやNAS等に逃がすことができるが、アプリケーション等は本体内蔵SSDにインストールするしかない。

  • CrystalDiskInfoから見たストレージ。NVMe対応のM.2 SSDで512GBだ

  • CrystalDiskMarkの結果。シーケンシャルリードは5GB/sクラスで十分に速い

ブラウジング中心のホーム用途やビジネス文書作成には快適と言ってよい性能

それではInspiron 24 5420 AIOのパフォーマンスを見てみよう。

まずCPU性能。CINEBENCH R23のスコアはMulti Coreが6002 pts、Single Coreが1679 ptsだった。電源設定はWindows OS側で「最適なパフォーマンス」としているが、Single CoreのスコアでCore i7-1355Uにしては少し低いかなと感じた。そして、Multi Coreのスコアを見て、たしかにこれは低いとなった。プリインストールされているユーティリティを開いてもとくにパフォーマンスや電源設定に関するものは見つからなかったが、どこかにあったのかもしれない。あるいは、静音性に重きを置き、Core i7-1355UのTDP上限を低くしているのではないだろうか。とはいえPコア2基、Eコア8基あるので普段使いにおいて性能不足を感じることはないだろう。たとえば映像編集をしたいとなると(可能であるのは当然だが)もっとスピードが欲しいと思うかもしれない。

  • CINEBENCH R23

次にPCMark 10。Overallは5523点と控えめだが、ホーム用途のシナリオであるEssentialsは1万点を超えており、ビジネス用途のProductivityも7千点台とよいスコアだ。この2つの用途はマッチしていると言えるだろう。写真補正や映像制作などDigital Content Creationに関しては、統合GPUを利用しているためRendering and Visualization(3Dグラフィックス制作)スコアが低く、ここがDigital Content Creationシナリオのスコア、ひいてはOverallを引き下げにも繋がっている。とは言え一体型PCで3Dグラフィックス制作をするというのは想定しづらい。これを除けば、Photo Editingスコアも高いし、Video Editingもまずまずよい。たとえば家族写真の補正やホームビデオの編集などは問題ないと言えるだろう。

  • PCMark 10

続いては3DMark。ゲーミング向けモデルではないが、どのくらいなのかを把握しておきたい。3DMarkのスコアは、Fire Strikeで3475、Night Raidで12361、Wild Lifeで9669。軽いゲームなら楽しめるといったところだ。

  • 3DMark Fire Strike

  • 3DMark Night Raid

  • 3DMark Wild Life

キャプション:( 3DMFSP.png 3DMNR.png 3DMWL.png )

軽いゲームということで、ドラゴンクエストX ベンチマークソフトとWorld of Tanks enCore RTを試してみた。ドラゴンクエストX ベンチマークソフトは、フルHD&最高品質で8200(とても快適)、フルHD&標準品質も8784(とても快適)という評価だった。

  • ドラゴンクエストX ベンチマークソフト (最高品質)

  • ドラゴンクエストX ベンチマークソフト (標準品質)

World of Tanks enCore RTも、フルHDの超高設定で4016(良好な結果)、フルHDの中画質設定で9202(素晴らしい結果)と、こちらもプレイ可能なフレームレートが得られていた。このように軽量なゲームタイトルなら問題なくプレイできた。

  • World of Tanks enCore RT (超高設定)

  • World of Tanks enCore RT (中画質設定)

本製品の主な用途になるだろうブラウジング系のベンチマークもいくつか計測してみた。Basemarkは1194.51点、Speed Meter 2.0は291点、JetStream 2は241.273点、MotionMark 1.2は919,19点といったスコアだった。動作中の表示を見ても、かなりキビキビと動いている。Core i7であり、メモリもデュアルチャネルで16GBとリッチなスペックなのも影響しているだろう。ブラウジングは快適だ。

  • Basemark

  • SpeedMeter 2.0

  • JetStreme 2

  • MotionMark 1.2

また、ネットワークという点では「SmartByte」というユーティリティが付属する。ネットワークトラフィックのうち、どのアプリケーションを優先させるかを指定できるものだ。基本的には自動で構わないと思われるが、ビデオ、ブラウズ、ダウンロードと指定できる。こうしたユーティリティからも、快適なブラウジングが得られる。

  • ネットワークトラフィックに優先度を適用できるSmartByte

Inspiron 24 5420 AIOのデザイン性、機能性に満足

実際に1週間ほどInspiron 24 5420 AIOに触れたが、AIO自体の特徴だがやはり省スペースという点がまず好印象だった。24型というちょうどよい画面サイズもある。奥行き21cm程度あれば設置できるので、ワンルームやプライベートルームのPCに最適だ。また、いざという時に移動させるのが本体のみでよいというところも、タワー型デスクトップPCとの大きな違いだ。

そしてデザイン性。ホワイトPCという贔屓目もあるが、明るめの部屋にマッチする。ディスプレイ下のファブリック部分もよい感じだった。性能についてはブラウジング中心の用途なら快適~ホームビデオくらいの編集にも対応できる。一方、配線と使い勝手については工夫も必要だ。

価格については最廉価モデルなら執筆時点で10万円を切っていたが、CPUがCore i3、メモリが8GBのシングルチャネルという点に注意したい。とくにメモリはデュアルチャネルとシングルチャネルで快適さが大きく変わる。今回試したCore i7、メモリ16GB、SSD512GBとなると144,500円だった。コア構成がCore i7と同じCore i5モデルで、メモリ16GBで見ると13万円台。スィートスポットはCore i5モデルと言えるだろうか。