6月27日、楽天グループによる「2023夏トレンド予測」が発表されました。幅広い分野のサービスを展開する同社ならではの視点で、今夏の消費傾向を分析したものです。
今回のトレンド予測は、ECモールの「楽天市場」に関連する「物販編」、「楽天トラベル」などに関連する「旅行・レジャー編」、「Rakuten Music」や「楽天ブックス」のようなコンテンツサービスに関わる「エンタメ編」、そして通信分野の「モバイル編」の4パートから成り、各サービスの購買データや調査結果をもとに、今売れている商品の傾向について語られました。
物販トレンド:「Return to Normal」と「物価高対抗」の2軸
物販分野のキーワードは「Return to Normal消費」と「物価高対抗消費」。つまり、新型コロナウイルス感染症の5類移行などによって日常を取り戻していくなかで旅行やイベントなどの外出に備えた買い物が増えているのと並んで、物価高を受けて楽天市場や楽天ポイントを日常的な買い物に賢く使っていく流れも大きいということです。
Return to Normal消費の例としては「折りたたみ傘」が前年比1.7倍、スーツケースが2.2倍、浴衣が1.8倍売れているとのこと。物価高対抗消費の例としてはイメージしやすい飲料水やレトルト食品などの「まとめ買い」のほかに、電気代の値上がりを見越して、猛暑対策と同時に少しでも冷房代を抑えられるような冷感グッズ(敷きパッド、クールタオルなど)も人気だそうです。
旅行トレンド:今夏のキーワード「分散型旅行」「リトリート旅」とは?
旅行分野の1つ目のキーワードは「分散型旅行」。旅行需要は急速に回復しており、楽天トラベルにおける夏の宿泊予約を見ても2019年比で約1.3倍とコロナ禍前を大きく上回るペースです。
それだけ旅行者が増えているということは混み合うだけでなく、ダイナミックプライシングを採用しているホテルなどであれば、旅費もかなり変わってきます。ここ数カ月の間に旅行や出張の予定を立てた経験がある方なら、よく実感されているところではないでしょうか。
そんな状況を受けて、まず日程の面では7月の海の日を含む3連休や8月のお盆休みといったピーク時期を外した予約が増えています。さらに、旅行の行き先自体も「混雑を避けたい」あるいは「少しでも財布に優しく出かけたい」といった心理から分散する傾向が見られると言います。
もうひとつのキーワード「リトリート旅」とは、離島や高級宿など、より非日常感の強い行き先の人気が高まっているということです。これも分散型旅行の一形態とも言えますし、久しぶりの旅行だからこそ奮発して贅沢をしようという人も多いのかもしれません。
エンタメ編:Rakuten Musicが選ぶ、いま注目のアーティスト4組
エンタメ編は少し毛色が異なり、トレンド予測というよりは2023年上半期の最新データに基づいて、いま注目のアーティスト4組が紹介されました。
音楽配信サービス「Rakuten Music」における再生数(ユニークユーザー数)などのデータから分析・選定されたもので、まずは映画『THE FIRST SLAM DUNK』エンディング主題歌「第ゼロ感」を手がけた10-FEETを選出。ちなみに、同映画関連では、「楽天ブックス」でも原作マンガの全巻セットが前月比4倍(映画公開月)の売上を記録しました。
そのほか、韓国発の5人組ガールズアイドルグループ「NewJeans」、スターダストプロモーションの若手男性俳優・タレントで構成された「EBiDAN」(恵比寿学園男子部)、平均年齢16歳のダンス・ボーカル・ラップ男性グループ「LIL LEAGUE」をピックアップ。
EBiDANに関しては、27組のユニットが各音楽ストリーミングサービスの再生数を利用して競うファン参加型企画が実施され、その対象楽曲がRakuten Musicでも4月の月間再生ランキングで首位を獲得するなど大きな盛り上がりが見られています。
モバイル編:モバイルは数少ない「値下げ」分野
最後は、楽天が今最もリソースを割いているサービスといえる携帯電話事業「楽天モバイル」について。参入当初より安さを最大の武器として訴求してきただけに、様々な物の価格・料金が上がるなか、政府主導の働きかけなどもあって携帯業界が数少ない「値下げ」分野になっている状況は、彼らにとって追い風と捉えているようです。
データ通信量3GBまでなら月額1,078円というボトムの料金設定の安さだけでなく、コロナ禍明けで通勤や外出が増えればユーザーの通信量も増えていく時期であることを踏まえ、「ギガ節約疲れ」と題して、月間20GB以上でも3,278円という使い放題プランとしての安さも改めて訴求します。
発表会には、節約アドバイザーとしても著名なファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんも登壇。丸山さん自身も楽天モバイルを利用しているとのことで、料金の安さだけでなく「楽天マガジン」の90日無料特典(無料期間終了後も30%引き)のような契約者特典のコンテンツサービスもうまく使うと、たとえば雑誌1冊分の購入費用が浮くだけでも見直しの効果が大きいと述べました。また、モバイルに限らず楽天経済圏にどっぷり浸かってみた上での感想として「何かを買う」以外のアクションでも動画視聴やポイントスクリーン(広告閲覧)など「タダでポイントをもらえる」チャンスが多い点も評価しました。