COMPUTEX TAIPEI 2023で見かけた変なもの - Part 1に引き続き、変なものをいくつかご紹介したい。
液冷化が進むWhite Box Server
サーバーメーカー(DELL、HPE、Lenovo、etc...)の製品はともかくとして、俗にいうWhite Box Serverに関して言えば、これまであまり液冷化が進んでいなかった。というのは、水冷にするためにはどうしても大掛かりなシステムが必要になるためで、端的に言えば価格が安い製品を独自に組み合わせて立ち上げる安価なWhite Box Server向けマーケットでは、その冷却システムの互換性とか長期運用時の保証の担保がないなど、いろいろ問題があったためだ。ただSapphire Rapids/Genoa共に300Wを超える(Sapphire Rapidsは350W、Genoaは360W)昨今では、もはや強制空冷では安定動作が難しくなったようで、簡易液冷ないし本格液冷が利用される様になっており、今回も多くのベンダーが水冷ヘッドとか水冷システムなどを展示していた。ただ残念ながらほとんどのベンダーが撮影/録画不可としており、それもあって撮影できたのはingrasys(何故か同社は撮影OKだった)に限られるのだが、液冷ラックシステム(Photo01,02)やモジュール化された空冷/液冷ソリューション(Photo03~05)を展示していた。
ちなみにこうした、サーバーシャーシの外側にラジエターというか冷却システムが必要なソリューション以外に、沸騰冷却を利用したサーバーむけ簡易液冷ソリューションも数社で見かけるなど、もはやWhite Box Serverも液冷化は避けられない流れになりつつあるようだ。
余談だが、SuperMicroのブースでは(撮影不可だったので写真はないが)、フルタワーケースを利用したAI Workstationに、猛烈な厚み(5cm位はあった)のラジエターを仕込み、CPUだけでなくGPUもまとめて冷却するソリューションを展示していた。もう今や液冷なしでは、Server/Workstationが成立しなくなりつつあるのかもしれない。
嗚呼SiS
SiS(Silicon Integrated Systems Corporation)といえば、Pentium 4とかAthlon 64の頃までは互換チップセットベンダー御三家の1社として有名だったわけだが、その後互換チップセットビジネスは順調にいかず、おまけに自社で建てたFabがUMCの機密を侵害したとかで訴訟騒ぎになった挙句、事実上UMCに吸収されて子会社化されており、2009年には37億6,300元あった売上は10年後の2019年には2億2,100万元と1桁減少。昨年は1億8,400万元まで減っている。まぁそれでも会社が存続してるだけ偉いというべきなのか、一体何作ってるんだ? というべきなのか。COMPUTEXにも久しく出展していなかった訳だが、今年は斜め上の展示を行っていた(Photo06)。
それが何か? というと、仮想空間と現実を混在させられるというもの(Photo07)。要するにカメラからの映像から対象を切り抜き、それを仮想空間にマッピングしてまとめて表示できるというもので、仮想空間でアバター代わりに自分自身を動かせると言ったほうが判りやすいだろうか? 人物の切り抜きはクロマキーを使う関係で、グリーンバックで撮影する必要がある。
これはハードウェア(Photo08)と、その上で動くソフトウェアで動くということで、このハードウェアとソフトウェア、カメラ(最大4台まで接続できるらしい)を組み合わせたセットの形で販売されるらしい。「これがSiSの新製品です!」と力強く言われてしまったが、今のところ同社のWebページには当該製品は掲載されていない(プレスリリースのページに至っては2018年が最終更新日である)。何と言うべきか、何とも言いようが無いというべきか。
おまけ
Gen-Z Consortiumは2022年1月28日にCXL Consortiumに吸収合併されてしまい、もうGen-Z仕様の機器が開発される可能性は無くなった、という事を踏まえると実に趣深い展示である(Photo09)。