紙パックのいらない「サイクロン式掃除機」で人気のダイソンは、2015年にサイクロン式のロボット掃除機「Dyson 360 Eye」を発売。2019年には2代目「Dyson 360 Heurist」をリリースしました。
そして2023年の5月23日には、4年ぶりの新モデル「Dyson 360 Vis Nav(ダイソン 360 ビズナビ)」(以下、Vis Nav)ロボット掃除機を発売します。わかりやすい特徴はパワフルな吸引力や、壁際までしっかり「吸引」掃除するという新機能。発表会で実機をチェックしてきました。価格はオープンで発売時の直販価格は189,200円です。
掃除機の基本「掃除性能」がパワーアップ
Vis Navを見てまず驚いたのは、その本体形状です。ダイソンのロボット掃除機は、他社製品と比べて圧倒的に小さい直径25cm以下という円柱形状が独特でした。一方でVis Navは、壁にピッタリと寄り添いやすいD型デザインになったことによって、本体サイズは幅330×奥行き345×高さ97mmと、標準的なロボット掃除機とほぼ同サイズになりました。
本体上面の面積が広くなったぶん、高さは従来の12cmから9.7cmへと低く。ロボット掃除機は高さが9cm台が多いため、従来は「他社のロボット掃除機が入れる家具の下に、ダイソンは入れない」と言われることがありましたが、Vis Navならこの問題も解決しそうです。
ほかにもはさまざまな注目ポイントがありますが、掃除機として一番重要な掃除能力の向上もそのひとつ。Vis Navは毎分最大110,000回転する高性能なDyson Hyperdymiumモーターを搭載し、従来モデルよりも吸引力がアップしています。
ダイソンによると、従来のダイソン製ロボット掃除機と比較してパワーアップしたのはもちろん、国内のロボット掃除機の売れ行き上位モデルを対象としたテスト(※)において、もっともパワフルという結果が出たそうです。
※:IEC(国際電気標準会議)規格62885-4 5.8に準拠した、SLGおよび自社による吸引力の比較試験(2021~2023年実施)。国内ロボット掃除機における売上の上位7社の高性能ロボット掃除機(2022年7月から12月の独立調査会社のデータに基づく)を対象に「強モード」で実施
壁際のゴミを「吸引」するという新発想の仕組み
壁際のゴミを掃除できるかどうかは、ロボット掃除機が抱える課題のひとつ。多くのロボット掃除機は、吸引口が届かない壁際のゴミを回転する「サイドブラシ」でかき取ります。一方、Vis Navは新しく「エッジクリーニング」という機能を搭載しました。
壁際の掃除をするときに本体脇から柔らかな「エッジノズル」が飛び出し、突き出たノズルを使って壁際のゴミをしっかり吸引するのです。以前のダイソン製ロボット掃除機はサイドブラシがなく、「壁際のゴミに弱い」と言われていました。Vis Navはエッジノズルによってこの弱点をカバーしています。
ゴミを捨てる方法も簡単になりました。ゴミを溜めるクリアビンを本体から引き抜いたら、クリアビンのハンドル中央にあるスライドボタンを引くだけ。これでクリアビン下部のフタが開き、手を汚さずワンタッチでゴミを捨てられます。
ただし、Vis Navは他社の高機能なロボット掃除機のような、本体側のゴミを充電ドックへと自動で回収機能はありません。そのぶん充電ドックはかなり小型なので、この点は好みがわかれるかもしれませんね。
このほか、新機能としてピエゾセンサーも内蔵しました。ピエゾセンサーとは、ダイソンのコードレス掃除機でも採用しているゴミ検知センサーのこと。Vis Navは、ピエゾセンサーで検知したゴミの量にあわせて、吸引力を調整しながら掃除できます。
Vis Navは本体上部に魚眼レンズを配置。このレンズで撮影した映像をもとに、自分の位置やこれから掃除が必要な場所、すでに掃除が終わった場所といった情報を整理。これらのデータから、効率的な走行経路などを学習して判断する「360°ビジョンシステム」を備えています(従来モデルでも搭載していた機能です)。
今回は発表会での短い体験でしたが、 Vis Navは本体の薄型化や壁際ゴミ掃除の補助機能(サイドブラシ)をはじめとして、これまでのダイソン製ロボット掃除機の弱点をしっかり回収している印象でした。一方で、自動ゴミ回収機能や水拭き機能など、他社の高機能ロボット掃除機が特徴としている一部の機能は、あえて搭載していません。
ダイソンのロボット掃除機は、コンパクト化が難しいサイクロン方式の集塵機能を採用したりと、多くのユニークな機能を盛り込んでいます。ロボット掃除機に興味があったら、ぜひ一度チェックしてほしい製品です。