5月25日にドコモ/au/UQ mobileから発売される、サムスンのミドルレンジスマートフォン「Galaxy A54 5G」。高精細な有機ELディスプレイ、充実のカメラ機能、防水・防塵対応、大容量バッテリーなどはそのままに、デザインがシンプルになって基本性能がアップし、より多くの人におすすめしやすい一台になっています。前モデル「Galaxy A53 5G」との違いや、使い勝手をチェックしました。

  • 花を撮影

    ディスプレイの輝度や、カメラのセンサーサイズがアップ。炎天下でもしっかり被写体を確認しながら、明るく鮮明な写真が撮れます

1つ目のポイントはデザイン。前モデルに比べて角が丸くなったほか、カメラ周りが一新されました。光沢のあるガラス素材を用いた背面に、3つのレンズが縦一列に並ぶスタイルは、上位シリーズにあたる「Galaxy S23」と共通で、大きさは違いますが見た目はかなり似ています。カメラの土台そのものが盛り上がっていた前モデルに比べると、すっきりシンプルになった印象。カラーはオーサム バイオレット/オーサム グラファイト/オーサム ホワイトの3色で、au/UQモバイルではオーサム バイオレットとオーサム グラファイトの2色が発売されます。

  • Galaxy A54 5G 正面

    ディスプレイは約6.4インチ、サイズは約高さ158×幅77×厚さ8.2mm、重さ201g。OSはAndroid 13を搭載しています

  • Galaxy A54 5G 背面

    背面には「SAMSUNG」の文字。これまでは「Galaxy」と入っていましたが、今モデルから「SAMSUNG Galaxy」としてブランド展開されます

  • 側面にかけてのカーブ

    ディスプレイはフラットですが、角が丸く、メタルフレームにも緩やかなカーブがついていて、手にフィットする形状になっています

  • 右側面
  • 底面

    右側面にボリュームキーとサイドキー(電源ボタン)、底部にUSB Type-C端子を配置

  • SIMスロット

    SIMカードスロットは上部に配置。メモリ6GB/ストレージ128GBに加えて、スロットの裏側には最大1TBまでのmicroSDXCカードもセットできます。物理SIMのほか、eSIMにも対応しています

サイズは、前モデルよりも高さが約2mm減となっている一方で、幅は約2mm、重さは約12g増しています。また画面の大きさ(6.5インチ→6.4インチ)やアスペクト比(20:9→19.5:9)も変わっています。幅広になった分、手に持ったときも少し大きく、片手操作だと指が届きにくく感じます。

  • 画面内指紋認証

    生体認証は、画面内指紋認証と顔認証をダブルサポートしています。いずれも認証速度が速く、ストレスはありません

2つ目のポイントはディスプレイ。約6.4インチ、フルHD+(2,340×1,080ピクセル)のSuper AMOLEDで、最大120Hzのリフレッシュレートをサポートしています。ポイントは前モデルより最大輝度が25%アップして、明るい場所でも画面が見やすくなっていること。実際にギラギラの沖縄の太陽の下でWEBを閲覧してみましたが、ちゃんと文字が読み取れました。なお、防塵はIP6X、防水はIPX5/IPX8をサポート。海辺やプールサイドなど、夏のレジャーシーンで見やすく、使いやすいスマホと言えそうです。

  • 太陽光下での視認性を確認

    太陽光が反射するような環境でも視認性が高く、手で影を作らなくても画面を確認できます

3つ目のポイントはカメラです。背面の3つのカメラは、約5,000万画素(F値1.8)のメイン広角カメラ、約1,200万画素(F値2.2)の超広角カメラ、約500万画素(F値2.4)のマクロカメラという構成。前モデルのメインカメラが約6,400万画素だったので、画素数だけに注目すると一見性能が下がっているように思えるのですが、一方でセンサーサイズは1/1.7インチから、ミドルレンジモデルとしては大型の1/1.56インチに変更されています。

  • 3つのカメラ

    左から、超広角/メイン広角/マクロの順に、3つのカメラが一列に並んでいます

センサーが大きいと、それだけ多くの光を取り込めます。その恩恵を最も感じられるのは、やはりナイトシーンでしょう。かなり暗いシチュエーションでも明るく撮れるだけでなく、「ナイト」モードではネオンのような被写体もくっきり鮮明かつ、空などの暗い部分にもざらっとしたノイズ感がありません。

上位モデルと同様に、OIS(光学式手ブレ補正)とVDIS(動画向け電子式手ブレ補正)が強化されたこともあって、夜景の撮影や夜間の動画撮影でも手ブレによる失敗が少ない印象。今年は花火大会なども開催されるでしょうし、夜間に撮影する機会も増えると思うので、これはうれしい進化ではないでしょうか?

「ナイト」モードの作例

  • 「ナイト」モードの作例1
  • 「ナイト」モードの作例2
  • 「ナイト」モードの作例3

    メニューから切り替えなくても、暗いシーンでは自動的に「ナイト」モードで撮影ができます

「ズーム」の作例

  • 0.5倍ズーム

    超広角からデジタル10倍まで撮影可能。こちらは0.5倍。0.5/1.0/2.0/4.0/10をタップで切り替えるほか、ズームバーをスライドすると「カチカチ」といった振動が返ってくる工夫も

  • 1.0倍ズーム

    1.0倍

  • 2.0倍ズーム

    2.0倍

  • 4.0倍ズーム

    4.0倍

  • 10倍ズーム

    10倍

「マクロ」モードの作例

  • マクロモードの作例

    マクロモードでは、被写体から数センチの距離までぐっと寄って撮影できます。被写体に近づくと「マクロモードを使用」という切り替えメッセージが表示されます

「食事」モードの作例

  • 「食事」モードの作例

    料理の特定部分にフォーカスをあわせて、周囲をぼかすことでシズル感のある写真が撮れます

「ポートレート」モードの作例

  • 「ポートレート」モードの作例

    大きくなったセンサーの恩恵はポートレートにも。前モデルで搭載していた深度センサーがなくなっているのですが、しっかり背景がボケてくれます

  • ボケ味の調整
  • 写真の編集機能
  • ボケ味は撮影したあとから調整することも可能。「回転」や「ズーム」といったエフェクトを楽しむこともできます(左)。上位モデル同様に、写真の編集機能が充実。AIを用いて明るさや色味をワンタッチで自動補正し、補正前/補正後をスライドで確認できます(右)

  • オブジェクト消去 適用前
  • オブジェクト消去 適用後
  • 画面から不要なものを取り除ける「オブジェクト消去」も利用可能。不要なものをワンタッチで選択し、痕跡なく消去できます。左が適用前、右が適用後

セルフィ―の作例

  • セルフィ―の作例

    フロントカメラは約3,200万画素(F値2.2)。背面のメインカメラには及ばないものの、夜間でも明るく撮影できます

  • セルフィ―の調整

    肌のトーンから輪郭や目の大きさまで、あとから「盛る」こともできます

カメラのセンサーが大きくなったことに加えて、搭載されているCPUも進化しているので、写真のピント合わせが速く感じられます。SoCには、サムスン製Exynos 1380 2.4GHz+2.0GHz オクタコアを採用。前モデルではロック画面からカメラを起動するときに、少々もたつくこともありましたが、「Galaxy A54 5G」ではそういうストレスを感じることが皆無で、快適にシャッターが切れます。「Geekbench 6」「3DMark」「PCMark for Android」の各ベンチマークテストの結果は以下の通りで、いずれのスコアも前モデルから着実にアップしています。

  • Geekbench 6
  • 3DMark
  • PCMark for Android
  • ベンチマーク結果。左から「Geekbench 6」「3DMark」「PCMark for Android」

進化したCPUの恩恵を感じられる機能は、カメラや写真編集のほかにもあり、たとえばGalaxy標準ボイスレコーダーアプリの、テキスト変換機能も問題なく使用できました。また「PUBG Mobile」のようなゲームも、特にストレスなくプレイできます。画面が大きいのと角が丸いおかげで、両手で持ったときの操作性も悪くありません。またサウンドはDolby Atmosに対応。ステレオスピーカーから、なかなか大きくて迫力のある音が鳴ります。

  • ボイスレコーダーアプリ

    ボイスレコーダーアプリではリアルタイムの音声-テキスト変換が可能です

バッテリーは5,000mAhで最大25Wの急速充電にも対応していますが、ワイヤレス充電には非対応。大容量だけに電池持ちは良く、1時間のゲームプレイでも消費は10%強ほどに止まっていました。写真撮影やブラウジング、地図を見るといった使い方なら1.5~2日程度は充電せずに使い続けられそうです。

このほかネットワーク周りでは、新たにeSIMとWi-Fi6に対応したことも大きな進化点のひとつ。eSIMを活用して、いざというときのサブ回線をセットすることもできます。Bluetoothは5.3をサポートしているほか、もちろんFelicaにも対応しています。

CPUやネットワーク周りの基本性能の向上に加えて、ディスプレイの明るさやカメラのセンサーサイズといった、使い勝手に直結する部分が進化した「Galaxy A54 5G」。欲しい機能がひととおり揃っていることや、シンプルなデザイン、さらに4世代のOS、5年間のセキュリティアップデートのサポートなど、「SAMSUNG Galaxy」ブランドの安心感も相まって、冒頭にも書いたように、より多くの人におすすめしやすいスマートフォンになったという印象です。

ただし価格は、ドコモオンラインショップの場合で69,850円と、為替の影響もあるのでしょうが、前モデルに比べると1万円ほど高くなっています。筆者はそれでもストレスなく使えるように進化した「Galaxy A54 5G」は高コスパだと考えますが、より安価な端末を求めるなら、前モデルの在庫を狙うのもありかも知れません。