2023年4月28日から30日にかけて、C4 LAN実行委員会が主催する持ち込み型ゲームイベント「C4 LAN 2023 SPRING」が静岡県の「ツインメッセ静岡」で開催されました。

「C4 LAN」は、ゲームタイトルやコミュニティの枠を超え、3日間にわたってゲームを遊び倒す国内最大規模のLANパーティ。自身でゲーム機やPCを持ち込むBYOC(Bring Your Own Computer)席エリアを中心として、コミュニティ企画エリアや企業ブースなど、さまざまなコンテンツが展開されるイベントです。

静岡に会場を移して2度目の開催となった今回の「C4 LAN 2023 SPRING」は、大幅なレイアウト変更など、さまざまなトライが垣間見える内容となりました。前回からどのように変化したかを含め、会場での3日間の模様をお届けします。

  • C4 LAN 2022 SUMMER

    今回は「ツインメッセ静岡」に会場を移してから2度目の開催

無料ゾーンを広く展開する、会場の大幅なレイアウト変更

「C4 LAN」は、2022年8月に開催された前回の「C4 LAN 2022 SUMMER」より、会場を東京の「ベルサール高田馬場」から静岡の「ツインメッセ静岡」に移しました。かねてより「C4 LAN」では、BYOC1,000席達成を目標に掲げており、それが実現できる会場として「ツインメッセ静岡」が選ばれています。

前回の「C4 LAN 2022 SUMMER」は、新型コロナウイルスの影響による度重なる中止や延期を乗り越え、およそ2年半ぶりに大型LANパーティが復活した背景から、従来の「C4 LAN」を復活させることに重きが置かれ、おなじみのコンテンツで構成されていました。

しかし、今回の「C4 LAN 2023 SPRING」では、さまざまな変化が見られました。会場に足を踏み入れて、まず驚いたのは大幅なレイアウト変更です。今まではBYOC席エリアが最も広く取られ、会場の後方に企業ブースなどが設けられていました。ところが、今回はBYOC席エリアがコンパクトにまとまり、その横と後方を囲むように無料ゾーンが展開されています。

これまでの「C4 LAN」では、入場するためにBYOC席、もしくは席なし入場券を購入する必要がありましたが、今回の無料ゾーンはチケットなしでの入場が可能。無料ゾーンには、複数のコミュニティ企画エリアや企業ブースが設けられました。

この変化について、C4 LAN実行委員会代表の小林泰平さんは、主に2つの狙いがあると話します。まずは、席なしで会場に足を運んだ参加者が、遊んだり体験したりできるものを増やすため。そして、「C4 LAN」というゲームイベントの存在を、より多くの人に知ってもらうためです。

実際に、無料ゾーンには多くの来場者が訪れていて、特に2日目の土曜日はどのエリアもたくさんの人でにぎわっていました。新たな層を取り込み、さらなる規模拡大を目指していく「C4 LAN」としての変化を感じます。

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    写真の右上側がBYOC席エリアで、それ以外はすべて無料ゾーン

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    「C4 LAN 2023 SPRING」の会場レイアウト図

コンパクトにまとまり、より一体感を増したBYOC席エリア

今回のBYOC席エリアは、一見すると前回よりも規模が小さくなったように感じますが、座席数は250~300席ほど。およそ200席だった前回の「C4 LAN 2022 SUMMER」と比べると、座席数は着実に増えています。

前回はコロナ禍の影響で密を避ける意図もあり、座席や通路の空間がとても広く取られていました。そのため、全体的に座席間の距離があり、会場内をかなり歩く必要があった印象です。その点で今回は、いろいろな席に話しかけに行くのにちょうど良い距離で、より一体感が増した空間になっていました。

また今回、BYOC席のチケットは、ロングとショートの2種類が販売されました。幅180センチのロング席は25,000円、幅90センチのショート席は20,000円。新たに販売されたショート席は、幅が狭くなる代わりに価格が安くなり、購入しやすくなっています。ショート席は長机を2人で使うイメージで、これによってもBYOC席エリアの密度が上がっていたといえます。

ちなみに、今回は私自身もBYOC席を初めて購入し、参加者として3日間を楽しみました。別の記事で、BYOC席で参加する場合に必要な準備やかかった費用、どのようなスケジュールで楽しんだかなどをまとめる予定です。BYOC席を取って参加することに興味がある方は、ぜひそちらもご覧ください。

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    ぎゅっとコンパクトにまとまり、一体感を増した今回のBYOC席エリア

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    昨年行われた「C4 LAN 2022 SUMMER」の様子。座席や通路の空間がかなり広く取られていた

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    BYOC席エリアには、“ゲーミングテント”をくぐって入場する

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    ショート席が並ぶ列。スペースは広くないものの、隣の席に話しかけやすい距離感

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    巨大なガンプラを飾るなど、BYOC席での楽しみ方やアピールは参加者によってさまざま

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    ハンドルコントローラーと55インチのモニターを持ち込み『グランツーリスモ』をプレイする席も

新たな層が多く来場していたコミュニティ企画エリア

無料ゾーンには、複数のコミュニティ企画エリアが設けられ、並行していくつものイベントが開催されていました。なかでも印象的だったのは、人気ストリーマーたちとのコラボ企画「超騙し合いブラザーズ」と「#即ボンが行く」の2つ。なぜなら、参加者の女性比率が圧倒的だったからです。

前回の「C4 LAN」は来場者のうち、94.7%が男性。最近では、eスポーツのオフラインイベントなどで女性ファンの来場が増えていますが、「C4 LAN」はまだまだ男性比率が高いイベントです。今回のコラボ企画をきっかけに、初めて「C4 LAN」の存在を知った新たな層が、かなり多く訪れていたのではないでしょうか。

「超騙し合いブラザーズ」には、しょぼすけさんをはじめ、Isさん、バケゆかさん、ポン酢野郎さん、はたさこさんが参加。ファンミーティングと人狼ゲームを行い、来場者を楽しませました。「#即ボンが行く」は、ねろちゃんさん、めーやさん、まおさんの3人がキャンピングカーで2泊3日の旅をしながら配信する企画。会場に到着したのちにファンミーティングが行われ、夜遅い時間ながらも多くのファンが列をつくっていました。

そのほかにも、ゲームのクリアスピードを競うRTA(リアルタイムアタック)のオフラインイベント「RTA in Japan ex#2」、プロゲーマーのボンちゃん選手による「BONCHAN’s ROAD TRIP RETURNS」、プロゲーミングチーム「DETONATOR」による「DTN’s ROAD TRIP 雀魂DTN牌」、格闘ゲーム『GUILTY GEAR -STRIVE-』のオフライン対戦会のエリアがそれぞれ設けられていました。

驚いたのは、LANパーティの原点とも言えるデモパーティを行うエリアを見つけたこと。デモパーティとは、PCでつくった音楽や映像の作品である“デモ”を発表し、競い合ったり楽しんだりするイベントです。海外の超大型LANパーティ「DreamHack」も、もともとはデモパーティから始まっています。今回行われていたのは「SESSIONS(セッションズ)」というイベントで、デモ作品の発表や表彰などが行われていました。

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    「超騙し合いブラザーズ」のファンミーティングには、先着300名が参加

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    ねろちゃんさん、めーやさん、まおさんの3人が乗った「C4 LAN」仕様のキャンピングカー

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    「#即ボンが行く」の会場到着後に行われたファンミーティングの待機列

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    3日間で全36タイトルのリアルタイムアタックが行われた「RTA in Japan ex#2」

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    ボンちゃん選手との組手やフリー対戦が開催された「BONCHAN’s ROAD TRIP RETURNS」

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    YouTuberの恭一郎さんを特別ゲストに迎えて行われた「DTN’s ROAD TRIP 雀魂DTN牌」

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    初心者から上級者まで参加できる『GUILTY GEAR -STRIVE-』のオフライン対戦会

  • C4 LAN 2022 SUMMER

    デモパーティ「SESSIONS」では、デモ作品のコンペティションなどが行われた

学生を歓迎する試み、高校生の“ゲーミング修学旅行”も

もう1つ新たな変化を感じた要素は、学生を歓迎する試みです。今回は購入したBYOC席のチケットと学生証を提示すると、入場時に5,000円をキャッシュバックする学割がありました。実際に、以前取材した学生限定のLANパーティ「Novice JIGGY」に来ていた学生たちを含め、多くの大学生がBYOC席を取って参加していました。

また、おもしろかったのが、滋賀県の工業高校から“ゲーミング修学旅行”に来ていた高校生たちがいたことです。eスポーツ部顧問の先生による提案で、eスポーツ部に所属する生徒のうち希望者が参加。会場内のさまざまなエリアを見てまわったり、普段は入れないバックヤードを見学したりしていました。高校生たちとっては目にしたことがないものばかりで、圧倒されていたようです。

無料ゾーンでは、⼤分県を拠点とするプロゲーミングチーム「花天⽉地」による学生対象のeスポーツ体験会も行われていました。小学生向けには『太鼓の達人』、中高生向けには『フォートナイト』が用意されており、親子でも参加できます。こうしたコンテンツのおかげか、今回の無料ゾーンでは親子連れの来場者も見かけ、各エリアで幅広い年齢層のゲームを楽しむ姿が見られました。

先日スウェーデン大使館で行った取材で、「DreamHack」発祥の地であるスウェーデンでは子どもたちの世代にLANパーティが浸透していると聞き、驚かされました。親が会場まで送迎し、子どもたちだけでLANパーティに参加することも一般的だといいます。日本でもLANパーティの存在をもっと浸透させていくために、こうした空間をより若い世代に体験してもらうことは重要だといえるでしょう。

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    「Novice JIGGY」で見かけた大学生が多く参加していたBYOC席の列

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    ステージで集合写真を撮る、“ゲーミング修学旅行”の高校生たち

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    高校生たちは、BYOC席エリアの見学も楽しんでいた

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    プロゲーミングチーム「花天⽉地」による学生対象のeスポーツ体験会

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    無料ゾーンの各エリアでは親子連れで参加する姿も見られた

次回の「C4 LAN」は1年後、2024年4月27日~29日に開催

最終日にステージで行われる「閉会の儀」では、3日間を振り返る映像とともに、次回の開催が発表されます。これまでコロナ禍以前の「C4 LAN」では、SPRINGとWINTERの年2回開催が恒例となっていました。そのため、「C4 LAN 2023 WINTER」の開催が発表されると予想していたのですが、発表されたのは2024年4月の「C4 LAN 2024 SPRING」でした。

次回まで1年も空くと考えると寂しいところですが、まもなく5月13日~14日には、ゲーミングフェス「DreamHack Japan」の開催が控えています。「DreamHack」は、「C4 LAN」も影響を受けている世界的なゲーミングフェスで、日本で開催されるのは今年が初めて。多くの参加者は、そのBYOC席エリアで再会することになるようです。

「DreamHack Japan」開催の影響により、国内でさらにLANパーティの存在が広まっていくことにも期待されています。はたして来年の「C4 LAN」には、何席のBYOC席が並ぶのでしょうか。

それではゲーマーの皆さん、また来年の「C4 LAN 2024 SPRING」でもお会いしましょう!

■「C4 LAN 2024 SPRING」
日程:2024年4月27日(土)〜4月29日(月・祝)
会場:ツインメッセ静岡(静岡県静岡市)

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    3日間を振り返る映像とともに、次回「C4 LAN 2024 SPRING」を発表

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    恒例の締めくくり、東西南北に向かって感謝の礼

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    MCを務めた馬人(うまんちゅ)さん、OooDaさん、鈴木ノリアキさん

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    家に帰るまでが「C4 LAN」。また来年「ツインメッセ静岡」で会いましょう!

C4 LAN 2023 SPRING Recap