パナソニック 空質空調社は、6月26日に家庭用自然冷媒ヒートポンプ給湯器「エコキュート」の新モデルを52機種発売します。

エコキュートは高い省エネ性能で人気の給湯器ですが、新モデルは給湯をさらに効率化した新機能「スマートソーラーチャージ」が利用できます。このほか、以前より高いシャワー圧力の「ウルトラ高圧」や、浴槽の栓を閉め忘れて給湯したときにより早く検知する「うっかりアシスト」といった便利な機能も新搭載しました。

  • 戸建て住宅向けのエコキュート新モデル。スタンダードクラスのS・NSシリーズはオープン価格。ミドルクラス以上のJPシリーズ・J・Nシリーズは希望小売価格が898,700円~1,293,600円(工事費別)になります。高い省エネ性能があるため、自治体によっては補助金が出ることも

パナソニックのエコキュートは太陽光発電と相性良し

エコキュートはエアコンと同じ「ヒートポンプ」を使ってお湯を作る給湯器。一般的な電気やガスを使った給湯器が、1の燃料に対して1のお湯を作れるとすると、ヒートポンプは大気熱エネルギーを利用することで1の電気から約3倍のお湯を作り出せます。このため、省エネに関心のある家庭で検討されることの多い給湯器です。

  • エコキュートはエアコンや冷蔵庫でも使われるヒートポンプ方式でお湯を沸き上げ。貯湯ユニットと、エアコン室外機のようなヒートポンプユニットの2ユニットで構成されています

エコキュート単体でも家庭の省エネに貢献しますが、家庭における電気の省エネといえば自宅で電気をつくる太陽光発電。パナソニックのエコキュートは、この太陽光発電との相性が良いのも特徴です。

一般的なエコキュートは、電気代の安い深夜にお湯を沸き上げてタンクに貯めますが、パナソニック製のエコキュートは2017年に「ソーラーチャージ」機能を搭載。太陽光発電を導入済みの家庭においては、沸き上げの一部を余剰電力で担えるようになりました。

2020年には「おひさまソーラーチャージ」機能を実装。専用アプリと連携させることで、エコキュートを設置している地域の天気予報を取得します。次の日が晴れ予測なら、深夜の沸き上げ量を減らして翌日の太陽光による余剰電力を活用できるようになりました。

  • パナソニックのエコキュートは以前から、スタンダードクラスでもスマートフォンと連携。ネットに接続させて天気予報を取得し、自動的に省エネな沸き上げ方法を選択します

新機能の「スマートソーラーチャージ」は、おひさまソーラーチャージをさらに発展させたもの。従来は「次の日が晴れ」のときだけだったソーラーチャージの予測を、「日照量」を取得することで曇りの日でも利用可能に。これにより、余剰電力の自家消費量は約30%向上したそうです。

  • 専用アプリで取得した、エコキュートを設置しているエリアの日照量

快適なシャワー水圧と栓の閉め忘れにも対応

給湯器利用でシャワーの勢いが足りないと感じることや、キッチンとの同時給湯でさらに勢いが弱まる……そんな不満はこれまでにありました。そこで、パナソニックは従来モデルの一部に、水圧280kPaの「パワフル高圧」を採用しています。

新製品は標準180kPaの水圧で、従来パワフル高圧だった高圧モデルがさらに高い水圧である325kPaの「ウルトラ高圧」に進化しました。給湯に限らず、基本的に建物で上の階になるほど水圧は弱くなるのですが、ウルトラ高圧対応エコキュートなら3階でもしっかりとしたシャワー圧を確保できるとのこと。

パナソニックの調査によると、「浴槽の栓を閉め忘れたままお湯はりをした事はある」という人は55%。しかもその半数以上は、2回以上失敗した経験があるそうです。そこで、新製品には新しく「うっかりアシスト」機能を搭載しました。

これは、浴槽の栓を閉め忘れて「お湯はり」をした場合に、早めにエラーを知らせてくれる機能です。これまでのエコキュートも16分ほどで栓の閉め忘れを検出していましたが、新「うっかりアシスト」はアルゴリズムを見直して検出時間を短縮。10分ほどで閉め忘れを検出できるようになりました。パナソニックは、検出時間の短縮によって約80Lの水のムダを減らせるとしています。

時代の推移とともにエコキュートのニーズが変化

前述の通り、パナソニックのエコキュートは「太陽光発電」との好相性も魅力のひとつ。「初期費用もかかるし我が家に太陽光発電は関係ない」と考える人も多いと思いますが、脱炭素が叫ばれている今、ZEH(net Zero Energy House:太陽光発電などによりエネルギーの収支をゼロ以下にする家のこと)はどんどん増えています。

経済産業省の調査によると、2021年の段階で新築住宅の25%以上はZEHなんだとか。大手ハウスメーカー製の新築住宅は60%以上がZEHだったということから、今は検討していなくても「次の家」に太陽光発電を導入する可能性は考えられます。

もうひとつ注視したい変化は、自家発電による余剰電力の活用方法。少し前までなら、家庭で発電した余剰電力はお得に売電することもできました。しかし、近年はどんどん売電価格が下落し、逆に電力会社からの電気料金は暴騰していることから、自家発電した電気を自家消費するニーズが高まっているとのこと。今回の新機能「スマートソーラーチャージ」は、まさに電気の自家消費にピッタリの機能です。

自宅に太陽光発電がなくても、省エネ性能が高いエコキュートは光熱費の削減を図れます。断水時はタンクから水やお湯を取り出すこともできるので、災害対策としても魅力的です。一般的な給湯器と比較すると初期費用がかかる点はネックですが、メリットも多い製品。戸建て住宅で給湯器を買い換える時期が来たら、一度エコキュートの導入を検討してみてはいかがでしょうか。