NTTコミュニケーションズは3月28日、自律的な接続先切り替え機能を持つSIMカード「Active Multi-access SIM」の開発に成功したと発表した。

昨今、大規模な通信障害の発生などを受けて、特にビジネス向けではモバイル回線の冗長化を必要とするユーザーも増えている。スマートフォンのように直接ユーザーが手にする端末なら、KDDI/ソフトバンクの副回線サービスのように「2枚のSIMを用意しておき、いざという時に切り替える」ということも可能だが、遠隔で運用されるIoTデバイスの場合は困難だ。

  • 「Active Multi-access SIM」のイメージ図

    「Active Multi-access SIM」のイメージ図

Active Multi-access SIMは1枚のSIMで2つのキャリアを利用できる仕様となっている。実際には、片方はNTTコミュニケーションズがフルMVNOとして提供するNTTドコモ回線、もう一方は仏Transatel経由の国際ローミングでドコモ以外の国内キャリアに接続される。

単に1SIM2キャリアというだけでなく、NTTコミュニケーションズ独自の「アプレット領域分割技術」を活用し、一般的なSIMの内部構成とは異なる形で独立させたアプレット領域に、通信監視や切り替え処理の機能を組み込む。これにより、主回線が通信障害などのため通信不能となった際には、自律的に副回線に切り替えて通信することができる。

  • 「アプレット領域分割技術」のイメージ図

    「アプレット領域分割技術」のイメージ図

同社はすでに法人向けサービス「IoT Connect Mobile Type S」において、Transatel経由のローミングを常時利用する形で1枚のSIMで通信キャリアを冗長化できるサービスを提供しているが、新方式では端末側に切り替え機能を独自実装する必要がなく、一般的な端末をそのまま利用できるという利点がある。2023年6月からIoT用途の企業向けトライアル提供を実施し、結果を踏まえて2023年度内に商用サービスを開始する予定。