ティーピーリンクジャパン(TP-Link)は3月9日、次世代規格「Wi-Fi 7」対応第一弾となる製品群を発表した。2023年夏頃から順次発売する。

個人向けWi-Fi 7対応ルーターのフラッグシップモデル「Archer BE900」

Wi-Fi 7(IEEE 802.11be)Wi-Fi Allianceにて2024年に向けて標準化が進められている最中の次世代規格。まだドラフト版の段階だが、仕様確定までにこれ以上の大きな変更がないと見込まれていることもあり、チップセットベンダーや機器メーカーはすでに製品化に動き出している。このような状況はWi-Fi 6の登場初期にも見られた。

  • Archer BE900

    Archer BE900

TP-LinkのWi-Fi 7対応機器第一弾のなかでも、フラッグシップ的位置付けとなるのが「Archer BE900」。想定販売価格89,800円と一般家庭向けのWi-Fiルーターとしてはかなり高価だが、あくまで業務用ではないコンシューマー向け製品とされている。

6GHz+5GHz+5GHz+2.4GHzのクアッドバンドで最大通信速度は合計24Gbpsにおよび、内訳は6GHz帯で最大11,520Mbps、5GHz帯で5,760Mbps×2系統、2.4GHz帯で1,376Mbps。なお、5GHz帯を2系統としたのはまだWi-Fi 6Eを含む6GHz対応端末の普及がほとんど進んでいないことを考慮したもので、より多くのWi-Fi 6までの機器で高速ルーターの恩恵を受けやすい構成としている。

約96×302×262.5mmというスリムタワーPCのような迫力あるサイズの筐体内部には、周波数ごとに最適化した配置で12本のアンテナを内蔵する。16ストリーム対応で複数台の端末からの高速通信の要求も効率的にさばける仕様とし、同時接続台数は最大250台。

有線は10Gbps対応のWAN/LAN兼用ポートが2口、2.5Gbps LANが4口、1Gbps LANが1口。USBポートを備え、HDDを接続すれば手軽に簡易NASとしても運用できる。

また、本体前面にはアプリ経由で表示パターンをカスタマイズできるLED装飾があり、その下のタッチディスプレイには天気やネットワーク速度などの情報を表示できたりと、コンシューマー向けの高級機らしい演出も見られる。

  • Archer BE550(左)とArcher BE805(右)

    Archer BE550(左)とArcher BE805(右)

家庭向けの通常型Wi-Fi 7対応ルーターとしては、Archer BE900のほかに「Archer BE805」「Archer BE550」「Archer GE650」の3製品を投入予定。価格や発売時期は未発表だが、BE900より手の届きやすいWi-Fi 7対応製品となるはずだ。

いずれも6GHz+5GHz+2.4GHzのトライバンド仕様で、Archer BE805は無線LAN合計最大19Gbps/有線10Gbps×2+1Gbps×4、Archer BE550は無線合計9.3Gbps/有線2.5Gbps×5。Archer GE650は無線合計11Gbps/有線2.5Gbps×5で、ゲーム用の最適化機能などを備える。

メッシュWi-Fiの「Deco」シリーズもWi-Fi 7に対応

TP-LinkのWi-Fiルーターといえば、複数台を組み合わせることで広い戸建住宅なども単一SSIDでカバーできるメッシュWi-Fiの「Deco」シリーズにも近年注力されている。

メッシュWi-Fiでも同じく2023年夏頃にWi-Fi 7対応製品を発売する予定で、「Deco BE85」「Deco BE75」「Deco BE65」の3機種が発表された。

  • DecoシリーズのWi-Fi 7対応製品。「7」をモチーフにしたデザインが目印

    DecoシリーズのWi-Fi 7対応製品。「7」をモチーフにしたデザインが目印

3機種中最も高性能なDeco BE85は、6GHz帯で11,520Mbps、5GHz帯で8,640Mbps、2.4GHz帯で1,376Mbps、合計最大22Gbps(12ストリーム)の通信速度を誇る。有線でも10Gbps×2口のWAN/LAN兼用ポート(自動判定)を備える。

ボディは直径128mm×高さ236mmの円筒形で、Wi-Fi 6E対応の現行機種(Deco XE75)から少し背が伸びた格好だ。想定販売価格は1パックで79,800円、2パックで148,800円。

価格は未発表だが、Deco BE75はトライバンド合計最大17Gbpsで有線10Gbps対応、Deco BE65は合計最大11Gbpsで有線2.5Gbps対応と性能差のある松竹梅のラインナップとなっており、Deco BE85よりは手頃になりそうだ。

このほか、Wi-Fi中継器や法人向けの埋め込み型アクセスポイント(EAP)にもWi-Fi 7対応製品を順次追加する。

  • 法人向け製品もWi-Fi 7に対応する

    法人向け製品もWi-Fi 7に対応する