水にこだわる人が家に置きたい浄水器。場合によっては、宅配された天然水を設置するウォーターサーバーを導入している人もいると思います。ウォーターサーバーといえば当然、水が出てくるわけですが、富士山の銘水株式会社はUCC上島珈琲(以下、UCC)と共同で、水道水を注いで浄水するウォーターサーバーにコーヒーメーカー機能を内蔵した製品を開発。浄水だけでなく本格コーヒーも淹れられる「every frecious tall+cafe」を、同日から公式サイトで販売開始しました。

月額制のサブスクリプション提供で、料金は3,850円/月(本体のみ。手数料・配送料込)。同社は「浄水で作った美味しいコーヒーを手軽に楽しんでほしい」と意気込みます。

  • every frecious tall+cafe。コーヒー機能が付いた浄水ウォーターサーバーだ

    every frecious tall+cafe。コーヒー機能が付いた浄水ウォーターサーバーだ

  • カラーはマットホワイト、マットブラックの2色

本格的なコーヒーが淹れられる浄水ウォーターサーバー

山梨県富士吉田市に本社を構える富士山の銘水は、ウォーターサーバー事業を展開する会社。もともと定期宅配の天然水とウォーターサーバーを組み合わせて提供する「フレシャス」ブランドを展開していましたが、2021年に水道水をウォーターサーバーに注いで浄水するタイプの「浄水ウォーターサーバー」事業、「エブリィフレシャス」もスタート。2021年4月の第1弾モデル「every frecious mini」、2022年3月の第2弾モデル「every frecious tall」に続き、今回の「every frecious tall+cafe」が第3弾モデルとして登場しました。

「every frecious tall+cafe」の大きな特徴は、浄水サーバーにコーヒーメーカー機能が追加されたこと。やや突飛なようにも思えますが、実は2019年9月に発売した、天然水を定期宅配するタイプのウォーターサーバーにコーヒーメーカー機能を内蔵したモデル「FRECIOUS Slat+cafe」(以下、Slat+cafe)の好評を受けたもの。

浄水ウォーターサーバー「every frecious tall」の特長を引き継ぎつつ、「Slat+cafe」の開発ノウハウを盛り込み、機能を改善したモデルが、今回登場した「every frecious tall+cafe」となります。

  • every frecious tall+cafeの前面。1,125mm高の床設置タイプで、操作パネルが大人の肩下あたりの高さに配置されている

UCCのドリップポッド内蔵、予熱時間なしで時短も実現

「every frecious tall+cafe」では、注いだ水道水を専用カートリッジで浄水し、常温・温水・冷水を提供。加えて、UCCが提供するカプセル式のドリップコーヒーシステム「ドリップポッド」の技術が組み込まれ、ドリップポッド用のコーヒーカプセルを専用ホルダーにセットし注ぎ口に取り付けることで、手軽に本格コーヒーを味わえます。

内蔵するコーヒーシステムはUCCと共同開発。カプセルの抽出量や抽出温度、抽出速度をモードごとに細かく設定し、「(UCCの)ドリップポッドマシンと遜色ないものに仕上がっている」(UCCソロフレッシュコーヒーシステム 取締役 黒木康宏氏)そう。UCCとしてはコーヒーカプセルを使うハード(製品)が広がることで、カプセルもより多くの人に訴求できることが利点だといいます。

  • 本体中央の注ぎ口。左側にある丸穴がコーヒー専用ホルダーをセットするためのスペース。銀色の注ぎ口が浄水が出てくる場所

  • 専用ホルダーにドリップポッドのカプセルをセット

  • 注ぎ口への取り付けは、漏れを防ぐためしっかりCLOSE(右回り)側に回転させる

  • 上部にある操作パネル。抽出メモリ(湯量)を設定し、抽出モードボタン(コーヒーを淹れる場合はCOFFEEボタン)を長押しすると抽出が始まる

  • コーヒーが注がれているところ

前モデルにあたる「Slat+cafe」では宅配の天然水を使いますが、今回は水の使用量を気にせず使える浄水型であることがメリット。

そして従来は約40秒の予熱時間、約50秒の抽出時間(湯量により異なります)の計90秒ほどがコーヒーを淹れるために必要だったところ、「every frecious tall+cafe」はコーヒー流路に使用している各種パーツや流路制御システムを工夫して、40秒の予熱時間を削除。抽出時間のみの50秒ほどで、コーヒーを淹れられるようになりました。この予熱時間の削減は、「Slat+cafe」利用者から多く要望が上がったところだといいます。

なお、ドリップポッドではコーヒー、紅茶、緑茶など15種類のカプセルを展開しており、「every frecious tall+cafe」でもコーヒー以外のカプセルを使った飲み物が楽しめます。また、最初に配達される専用フィルターで、カプセルではなく、引いた豆(粉)によるコーヒーも淹れられます。これらカプセルやコーヒー豆(粉)は、別途利用者側が各自購入する必要があります。

  • 抽出後のドリップポッド用カプセルと専用ホルダー

  • 触れることなくカプセルを捨てられる

  • 引いた豆(粉)でコーヒーを淹れられる専用フィルター(右)。コーヒー用ホルダー(左)の中にセットする

  • UCC公式サイトやAmazon.co.jpなどで売られているドリップポッド用カプセルは付属せず、利用者側で用意

本体は高さ1,125mm、幅290mm、奥行き363mmと、設置面積は省スペースですが、高さのインパクトはそれなりにあります。ただ、操作パネルを上部に配置し、小さな子どもが操作できない高さに設計したとのこと。

内部には合計8.7Lの貯水タンクを備え、注がれた水は冷水(1.5L)・常温水(貯水5.7L)・温水(1.5L)それぞれのタンクに保存されます。浄水する専用カートリッジは不織布・活性炭・ATS(鉛除去剤)、中空糸膜の4層構造で、水銀やアルミ、鉄といった23種類の有害物質を除去。総ろ過水量は600Lで、1日3.3L換算で6カ月持つイメージです。このカートリッジは6カ月に1度、配送されます。

出水する温度帯は、冷水、ECO冷水(冷水+5度)、常温水、ECO温水(温水-10度)、温水、高温水の6モードが選べます。冷水タンクにはUV-LEDによる常時殺菌機能を内蔵しました。

  • 上部奥にある水タンク。タンクごと取り外して蛇口から直接タンクに水を注ぐことも可能。この下部(本体中央部)に冷水・温水タンクを内蔵

  • 操作パネルには「HOT ECO」「COLD ECO」のエコモードも用意。それぞれ、標準の温水温度よりやや低め、冷水温度よりやや高めの設定となり、消費電力を抑えるほか、熱すぎ・冷たすぎの水を好まない人に適するモードとなる

  • 背面には冷水・温水機能を止められるスイッチも用意

卓上向けの小型モデルも今後登場? 開発を検討中

富士山の銘水 取締役の溝内竜士氏は、「every frecious tall+cafe」のターゲットを忙しい「共働き世帯」や食にこだわる「20~40代の女性」、「コーヒー好きの人たち」とします。家庭だけでなく、小規模オフィスなどにも適するとしました。エコモードの搭載などで消費電力も抑えられており、電気料金は全ての機能を使わない最小時で360円ほどとのこと。

水を宅配する必要がなく、水道水を浄化する浄水サーバーの市場は今後拡大すると見込み、商品ラインナップも広げる考え。また、コーヒー機能付き浄水サーバーに関しては床置きの大型モデルではなく、卓上設置の小型モデルの需要も「多く要望がある」とし、タンク容量やコーヒーの流路などをどこまで小型できるか、課題はあるものの研究開発を進めていきたいと語りました。

  • UCCソロフレッシュコーヒーシステム 取締役 黒木康宏氏(左)と、富士山の銘水 取締役の溝内竜士氏(右)

every frecious tall+cafeの製品スペック

  • カラー:マットホワイト、マットブラック
  • サイズ:幅290×奥行90×高さ1,125mm
  • 重さ:20.6kg
  • タンク容量:貯水5.7L、温水1.5L、冷水1.5Lの合計8.7L
  • 消費電力:冷水80W、温水350W、ドリップ抽出1,270W