CP+2023が近づき、カメラメーカー各社は新製品の発表に多忙のようです。しかも、今回は実に4年ぶりのリアル開催。当然写真愛好家の注目が集まるだけに、メーカーの気合も入ることでしょう。そして2月8日、ついにカメラメーカーの最右翼、キヤノンも新製品発表会を開催。もちろん私、大浦タケシも参加してきましたよ。どんなカメラが出るかワクワクしながら。
最新技術でまさに「カメラ任せの撮影」が可能になった2台
すでにご存じと思いますが、発表されたのは2モデル。「EOS R8」と「EOS R50」となります。その概要をカンタンに説明すると、EOS R8は2,420万画素のフルサイズCMOSセンサーを積むミラーレス。位置付け的には「EOS R6 Mark II」の下位となるモデルです。一方の「EOS R50」も2,420万画素のCMOSセンサーを搭載しますが、こちらはAPS-Cサイズ。クラスとしては「EOS R10」の下位にあたるモデルで、実質“EOS R Kiss”であり、メーカー自体もそれは認めています。
その2モデルですが、ファーストコンタクトの印象を一言で述べると“シンプル”。それをよく表しているのがカメラ背面の操作部材で、いずれもEOSのアイディンティティと言うべきサブ電子ダイヤルも、マルチセレクターも装備していません。「デジタル一眼レフEOSでもローエンドモデルはそうだったぜ」と思われるかもしれませんが、その成り立ちがちょっと違うように思えるのです。
ディープラーニング技術による被写体検出機能やトラフィック機能など積極的に活用し、さらにより進化したシーンインテリジェンス機能(EOS R50のみ)の搭載など、この2つのモデルは真の意味でカメラ任せの撮影が楽しめます。
確かに、これまでもエントリーモデルなどフルオートで撮影が楽しめるようなつくりとしていますが、どこか中途半端で結果も物足りなく感じることが多く、撮影者があれこれ設定を行って撮影に臨んだほうがよいことも少なくありませんでした。それが、常時イメージセンサーが被写体と対峙するミラーレスとなり、そしてAIの進化やさまざまなアルゴリズムの最適化など図られ、今やカメラ任せでまったく問題のないものとなっています。
その結果として、この2つのモデルはサブ電子ダイヤルやマルチセレクターを不要にし、カメラ背面はシンプルに。撮影でもカメラを被写体に向けシャッターを押すだけと述べてよいでしょう。
そのような意味では、カメラとしての面白さは、“EOS R Kiss”こと「EOS R50」にあると思えています。小型軽量のボディに、時代を感じさせる機能や技術がこれでもかとギュッと押し込まれ、手にした者を驚かせてくれる。しかもそれは飛び道具のような一時的なものではなく、確かな技術によって育まれ、実績を積み上げてきたものです。そんなカメラがボディ単体では11万円ほどで手に入ります。注目せざるを得ないカメラと言っても過言ではありません。
一方の「EOS R8」は、潔さを感じるカメラです。フルサイズというある意味贅沢なフォーマットを採用し、キーデバイスは上位モデル「EOS R6 Mark II」と同じとしながら、手軽に撮影を行いたい、あるいはあれこれ考えずにシャッターボタンを押したい、そしてフルサイズの画質を楽しみたい、と考える人向けに、少しでも無駄、あるいは不要と思われるものを潔く省いたものと言えます。それはそれで魅力的です。ただし、ボディ単体での価格が26万円オーバーなのにはちょっと引いてしまいますが…。
今回の2モデルが加わり、EOS Rシステムのラインナップは、フルサイズおよびAPS-Cモデル合わせ全部で8モデルに。その充実ぶりにも驚かされます。同時に、新しい2つのモデルが発表されたばかりですが、次はどんなカメラを見せてくれるのか、それも気になって仕方がありません。