シャオミが2022年12月に日本で発売した「Xiaomi 12T Pro」は2億画素という前代未聞の超高画質カメラを搭載しています。この2億画素カメラはいったいどんな用途で強みを発揮するのでしょうか? 2023年1月にアメリカへ取材に出かけた際にXiaomi 12T Proを持っていき、現地の写真を撮りながらその実力を試してみました。
Xiaomi 12T ProはチップセットにSnapdragon 8+ Gen 1を搭載するハイスペックなスマートフォンです。6.7型2,712x1,220ピクセルのディスプレイは一般的なスマートフォンの2,400x1,080ピクセルより解像度が高く、より細かな描写も可能です。2億画素で撮影した写真を表示するのにふさわしいディスプレイと言えるでしょう。
ディスプレイのリフレッシュレートは120Hzと高速なので、ゲームはもちろんのこと、SNSのタイムラインも表示が流れるようにスクロールできます。そして「神ジューデン」の名前の通り、充電速度は驚異の19分。Xiaomi 12T Proには120Wの急速充電器も付属しているので、買ったその日から神ジューデンを体験できます。今回のように海外に出かけたときなどは、予定が多くスマートフォンの充電をついつい忘れがち。しかしXiaomi 12T Proならちょっとした空き時間に満充電も可能です。モバイルバッテリーを持っていかなくても付属の充電器とケーブルさえあれば安心と感じました。
またSIMカードはnano SIMカードとeSIMの両方が使えます。今回はソフトバンクのナノSIMカードを挿してアメリカ放題を使い自由に通信を行いましたが、たまたま現地で入手したeSIMも入れて2つの回線を使ってみました。ソフトバンク回線も場所によっては電波の入りが悪いこともあり、そんな時は現地のeSIMに切り替えると、ストレスなく通信できました。最近では海外向けのグローバル対応eSIMもネットで販売されているので、普段MVNO契約のnano SIMカードを使っている人も、海外用にはeSIMを買って追加でXiaomi 12T Proに入れる、ということも出来るわけです。
さてXiaomi 12T Proの大きな特徴であるカメラは、メインカメラが2億画素、超広角カメラが800万画素、そしてマクロ200万画素の3つを搭載しています。単純に考えて2億画素で撮影すれば、遠くにあるものもディティールが分かるような撮影をすることができるはずです。実際にニューヨークの街中で写真を撮ってみましたが、2億画素で撮影しておくと後からの加工も楽に行えました。
たとえばマンハッタンは様々な建物があり、どれを撮ってもSNS映えします。Xiaomi 12T Proには望遠カメラは無いものの、デジタル2倍程度なら画質も乱れずSNSに投稿しても十部見られる絵が撮れます。その一方で、撮影した写真の一部分だけを後から拡大しようと思った時、2億画素撮影はその威力を発揮してくれます。
Xiaomi 12T Proのメインカメラは2億画素ですが、通常は複数の画素を1つの画素としてまとめて撮影する「ピクセルビニング」を行い、1,200万画素で撮影されます。1,200万画素でも十分綺麗な写真が撮れますが、遠景の一部を大きく拡大すると画質はかなり低下します。一方、2億画素で撮影しておけば細かい部分もしっかり写っているため、切り取りしても画質の落ちは最小限にとどめられました。
街中で屋や遠くにいる人物を撮るときも、構図を決めて「1倍で撮ろうか、いや、遠いから2倍にしようか」なんて悩んでいる間にカメラの前を人が次々と横切ってしまい、撮影チャンスを逃してしまうこともあります。そんなときも2億画素で撮影しておき、あとから人物部分を切り取れば望遠で撮影したような効果が得られます。
Xiaomi 12T Proのカメラでいろいろと撮影してみましたが、後から望遠的に写真の一部を拡大したい時は2億画素で撮っておいたほうがいいと感じました。
とはいえ2億画素での撮影にも欠点があります。まずファイルサイズが1枚あたり約50MBとなり、1,200万画素で撮影した画像よりも10倍くらいサイズが大きくなってしまいます。そのためストレージ容量を圧迫しがちです。
またカメラの光を受けるセンサーの大きさは一定ですから、そこに2億もの画素が乗っているということは、1つ1つの画素の大きさは小さくなります。センサー上の画素は光を受ける部分ですから、サイズが小さければ暗い場所では不利に働いてしまいます。夕方の若干暗くなった場所で撮影してみたところ、AI処理により全体は明るく補正されたものの、人物部分を切り取ると昼間に撮影した写真より画質の劣化が目立ちます。このことから天気のいい昼間に風景写真を撮るときは2億画素、暗くなり始めたときは通常の1,200万画素撮影にしたほうがよいかもしれません。
そして夜間の撮影なら素直にナイトモードを使うのが最適です。ナイトモードも1,200万画素で撮影されますがAI補正がすばらしく、かなり暗い場所でも背景は明るく、そして人物もしっかりと表現してくれます。
さて他にもいくつか撮影モードを試してみました。Xiaomi 12T Proは深度測定カメラは搭載していないものの、デジタル処理でのボケ撮影もうまくこなしてくれました。
とはいえボケも使えばいいというものでもなく、こちらの写真はニューヨークの地下鉄駅での一コマ。遠近感を出すために当初ボケをかけた撮影を行ったのですが、このような構図であればボケがなくとも絵になるものです。高性能なカメラだからこそ、撮影しているうちに写真の腕も少しずつ磨かれていくかもしれません。
マクロ撮影は200万画素に落ちるものの、3cm程度まで寄れるので食事のアップなども十分撮影可能。照明の当たり具合は気にする必要がありますが、旅先での良い思い出を色々な写真で残せます。
そろそろ国内旅行や海外旅行に行きたいと考えている人も多いでしょう。スマートフォンの買い替えも検討しているならば、2億画素カメラと神ジューデン機能を持ったXiaomi 12T Proも選択肢として考えてはいかがでしょうか?