Windows 11 Insider Preview ビルド25276(本稿執筆時点の最新はビルド25284)において、ReFS(Resilient File System)のサポートが復活したと多くの海外ITニュースサイトが報告している。
筆者の環境では確証に至らなかったが、ローカルストレージでファイルを管理する消費者に光が見えてきた。ReFSはWindows 8.1・Windows Server 2012時代に実装したものの、NTFSが実現する機能は実験的段階を理由に削除され、非ブートドライブでの使用に限定されていた。筆者も記憶域プールの作成時に使用しようと思案していたが、2017年のWindows 10 Fall Creators Update以降は、Pro for WorkstationおよびEnterpriseエディション固有の機能となった。
ReFSは現在のNTFSに続く新たなファイルシステム。信頼性の向上や復元力の強化、NTFSと一部の互換性を実現させた。筆者もWindows Server運用時は一部のストレージにReFSを適用してみたが、ボリューム単独で使用しても利点は少なく、OSリニューアルに合わせてNTFSに切り替えている。
ファイルシステムといえば、最終的にWindows Vistaへと至ったWindows LonghornのWinFS(Windows Future Storage)を思い出すユーザーも少なくないだろう。リレーショナルデータベースでオブジェクトを管理し、厳格なアイテム管理を可能とするが、当時のPC性能では負担が大きかった。概念の一部は別のMicrosoft製品に用いられたが、最終的に開発はキャンセルしている。
サポートしたOSのリリースタイミングからも分かるように、ReFS自身も紆余曲折の道のりを歩んできた。筆者自身はReFSバージョン3.7をサポートするWindows Server 2022を検証していないのだが、互換性に代表されるいくつかの問題を抱えている。ただし細心の注意を払って運用すれば、前述したようにファイルの格納先として利用可能。今後のWindows 11 ProでReFSが使用できるかどうかは不明だが、ファイルサーバー化したWindows 11を自宅で走らせている場合は動向を注目すべきだ。
今回、Windowsファイルシステムを改めて調査したところ、最初にNTFSをサポートしたOSはWindows NT 3.1だ。ちょうど今年(2023年)は30周年にあたる。前述のように、Windows 11 Insider PreviewでReFSのサポートを発見できても、従来と同じくPro for WorkstationおよびEnterpriseエディションに限定される可能性は否定できない。圧縮や暗号化、およびリムーバブルメディアへ適用できない現状を差し引いても、データの可用性と拡張性が大幅に向上したReFSは魅力的だ。ReFSに関心を持たれたら、Microsoftの公式ドキュメントに目を通してみるとよいだろう。