意外と知られていませんが、パナソニックは1977年から電気圧力鍋を発売していて、いわゆる「電気調理鍋」の草分け的な存在。そんなパナソニックが2月上旬に発売を予定しているのは、自動調理鍋の新製品「オートクッカー ビストロ NF-AC1000」(以下、オートクッカー)です。
オートクッカーの大きな特徴は、鍋底に配置されたかき混ぜ機能。食材をかき混ぜながら加熱調理でき、しかも圧力調理とかき混ぜ調理を同時に行うことも可能という画期的な製品です。オートクッカーは従来の自動調理鍋とどう違うのか、試食体験会でチェックしてきました。
「焦がさず煮詰める」ができる鍋底かき混ぜ機能
各社から多彩な電気調理鍋が発売されるなか、2022年に注目されたのは「かき混ぜ機能」です。日本でかき混ぜ機能を搭載した自動調理鍋といえば、シャープのヘルシオ ホットクックシリーズの独壇場でした。
ところが昨年(2022年)は、ホットクックと同じく上ぶたにかき混ぜユニットを装着できるハイアールの「ホットデリ」、鍋全体が回転して食材をかき混ぜるアイリスオーヤマの「シェフドラム」といった製品が相次いで登場しました。パナソニックのオートクッカーも、このかき混ぜ機能を搭載しています。ただし、ホットクックやホットデリのかき混ぜユニットは上ぶた内側へ配置する一方で、オートクッカーは「鍋底」にかき混ぜ用の羽根を設けているのが特徴です。
鍋底に羽根を配置することで、フタ部分にかき混ぜユニットがある鍋では不可能だった「フタを開けた状態でかき混ぜながら加熱」を実現しました(フタを開けたままかき混ぜ加熱できるのは手動モードのみ)。
もし、自動モードで作った炒め物などが水っぽくなったときでも、フタを開けてかき混ぜ加熱すればしっかり汁気を飛ばせます。かき混ぜる羽根は鍋底全体をさらうように動くため、上ぶた式のかき混ぜユニットと比べて食材が焦げ付きにくいというメリットも。
電気圧力鍋としてもかなりの高性能
前述のように、今はさまざまな「かき混ぜ機能搭載」電気調理鍋がありますが、その多くは圧力調理に非対応。大きな理由は、圧力鍋の密閉性とかき混ぜ機能の両立が難しいから。今回のオートクッカーは圧力機能も備えており、しかも圧力レベルは3段階で切り替え可能。最大2気圧という業界最高クラス(2023年1月現在、パナソニック調べ)の高圧力による調理にも対応しています。
もうひとつの特徴は、業界最高(2023年1月現在、パナソニック調べ)という1,285Wでの高火力加熱です。これで調理した料理は残念ながら試食はありませんでしたが、しっかりかき混ぜながら高火力で加熱するため、電気調理鍋では難しいチャーハンもパラパラの仕上がりに。そして、野菜炒めも短時間で焼き色を付けつつ、シャキッとした食感に仕上がるそうです。
ちなみに、オートクックは圧力調理、炒め調理、煮詰め、煮込み調理、無水調理、低温調理、蒸し調理、圧力蒸し調理、加熱、保温に対応しています。
発売前ながら100以上のレシピに対応。今後も続々増える予定
オートクッカーは、レシピにあわせて加熱制御する「自動メニュー」も充実。本体には25種類のレシピを登録できますが、アプリではすでに100種類以上の専用レシピを用意しています。レシピをダウンロードして、本体に自分の好きな料理のレシピを登録することもできます。
自動メニューには、肉じゃが、カボチャの煮付け、カレーといった日常的な家庭料理から、エスニック料理のようなレストランで食べる凝った料理もたくさんあります。なかでも注目したいのは「ホテルニューオータニ監修」のレシピ。ホテルでないと食べられない「ハレの日」メニューも、自動調理なら誰でも簡単に作れるのです。
今回の試食体験会では、前述した「風味豊かなエスニックスパイス角煮」に加えて、2種類のホテルニューオータニ監修レシピを試食できました。いずれも家庭料理とは思えない、繊細でひとひねりある味わいの料理です。当初、ホテルニューオータニ監修のレシピは試食した3レシピのみですが、今後もレシピ数は増える予定とのこと。
オートクッカーの登場で「ビストロ」シリーズは4製品に
パナソニックの「ビストロ」シリーズといえば、以前は高機能スチームオーブンレンジの愛称でした。しかし、2021年発売の「オーブントースター ビストロ NT-D700」以降、「ビストロ」とはパナソニックの技術力と美味しさへのこだわり、デザイン性の高さの3要素を満たした調理家電にのみ付けられるブランド名となりました。今回のオートクッカーも「オートクッカー ビストロ NF-AC1000」とあるように、パナソニックの技術とこだわりが詰め込まれた製品です。
これまで「かき混ぜ機能」を重視した電気調理鍋といえばシャープのホットクックがほぼ一強でした。オートクッカーが発売されたら、高い圧力機能と高火力、ほかにはない鍋底羽根構造の魅力などなど、電気調理鍋の勢力図が変わるかもしれません。一消費者としては、選択肢が増えるのはうれしいことです。