2022年の年末は帰省して何がしたいかと聞かれたとき、筆者がまず第一に思い浮かんだのが「麻雀」。家族や友人と卓を囲み、近況報告や思い出話に花を咲かせる麻雀大会。考えただけで右手がうずきます。

ただ、自宅で手積み麻雀をすると、牌山を積む作業のときに会話が止まったり、積むのに時間がかかってそこまで多く局をこなせなかったりということもしばしば。ついこの間も「全自動麻雀卓が欲しい」という話題になりました。

  • 全自動麻雀卓は、麻雀の準備で必要な洗牌(牌をかき混ぜること)と山積みを自動で行うもの。手作業で積む労力が格段に減り、対局の回転数を大幅に増やせます

    全自動麻雀卓は、麻雀の準備で必要な洗牌(牌をかき混ぜること)と山積みを自動で行うもの。手作業で積む労力が格段に減り、対局の回転数を大幅に増やせます

そんなタイミングで、麻雀界隈で地位を確立している、大洋技研製「AMOS」シリーズの家庭向け全自動麻雀卓「AMOS JP-EX COLOR」(以下、JP-EX COLOR)が12月1日に発売されました。

価格は236,500円(2022年12月時点。通常価格は253,000円)と安くはありませんが、業務用で100万円近くのものもある全自動麻雀卓としてはある意味お手ごろとも言え、日ごろから雀荘に通っている人にとってはいつかモトが取れる額でもあります。そこで、8人のメンバーを集めてプチ麻雀大会を開催。優勝を目指しながらJP-EX COLORをじっくりレビューしていきます。

  • 大学時代、麻雀にドップリとハマり、四六時中雀荘にこもって「きたぜ、ぬるりと……」などとアカギの真似をしながら麻雀を打っていた筆者(決して強くはありません)。そんな筆者なので麻雀・雀荘・全自動麻雀卓については多少知識があります

折りたためる&キャスター付きが魅力的

まずは製品の概要から。JP-EX COLORは、脚部の支柱を取り外して座卓として使える「座卓兼用タイプ」と、卓を縦に90度回転して折りたんでコンパクトに収納できる「折りたたみタイプ」をラインナップします。麻雀牌のサイズは28mmサイズと30mmサイズが各タイプに用意されており、全4種類から選べてすべて価格は同じです。

今回、レビューに使ったのは折りたたみタイプ。2人以上での組み立てが推奨されていたので、2人で組み立てました。かかった時間は1時間ほど。本体はW900×D900×H760mm/約47kgと大型で重く、卓が下を向くようにして組み立ててからひっくり返す作業があるので、推奨の通り2人以上で組み立てないと危険です。

  • 赤線で囲んである、脚部のつまみを回してから押し込むと、卓が90度回転して折りたためます

  • 折りたたむと一般的なドアを通る幅に。キャスターもついているので、分解せずに移動できます

  • 卓下には電源ボタンと設定切り替えボタン。数字を切り替えると、4人麻雀や3人麻雀、花牌の有無などを切り替えられます

  • 起家マークを置くスペースは枠の右端に配置。流局後のリーチ棒は幅的に置けませんが、焼き鳥マークは並べて置けます。細かいことですが、起家マークと焼き鳥マークを並べると若干ひっくり返しにくく、あと少しだけ幅を広げてほしいところ

  • 卓中央の操作部。全自動卓で麻雀をしたことがある人はわかると思いますが、中央にサイコロボックス、周囲にサイコロを振るボタン、洗牌/山積みボタン、本場ボタン・本場ランプがあります

  • 洗牌/山積みボタンを押すとパネルがせり上がり、卓内部に牌を入れられます。全自動卓麻雀卓には、パネル周辺が下がることで牌を内部に落とすタイプもありますが、一気に牌が落ちるため大きな音が鳴ります。パネルがせり上がるタイプのほうが家庭用には向いていると思うのでこちらも好印象

  • チップ入れも卓の各側面に1ケースずつ配置

  • 大会開始。メンバーは全員麻雀好きというだけあって牌の扱い方も慣れたものです。牌を切っているのが筆者。1局目の配牌はイマイチ

動作音が静かなことに驚き

麻雀大会中、全参加者がしきりに感心していたのは卓の動作音。「ジャラジャラ」と牌をかき混ぜる音こそ控えめに聞こえてきますが、モーター音は気にならずとても静かです。「全自動麻雀卓ってこんなに静かだっけ? 」と不思議に思った筆者は後日、雀荘へ行ってきましたが、雀荘の全自動麻雀卓は筆者の記憶通りの騒がしさ。モーターの「ウィンウィン」という音や、牌の「ガラガラ」という音が響いており、これを個人の住宅に持ち込めるとは思えません。

  • 動作音がまったく会話のジャマになりません

動作音の違いについてメーカーへ問い合わせてみると、雀荘にある業務用の全自動麻雀卓は静音性に注力しておらず、牌の偏りを減らす仕組みや頑丈さを重視。家庭向けの全自動麻雀卓は静音性にとにかくこだわっているそう。状況や建物の遮音性にもよりますが、JP-EX COLORは牌を卓内に落とすときに少し気を使うだけで、集合住宅で使用しても問題ないレベルです。

また、牌を積み終わるまでの時間を計ってみたところ、5回計測してすべて50秒~1分10秒ほどでした。決して遅くなく、1分以内に1局が終わることは滅多にないため、次の局に移るとき内部で牌が積み終わってなくて待つということもまずありません(全自動麻雀卓では麻雀牌を2セット使います)。

点棒・点差の自動表示がとにかく便利!

点棒の自動表示機能も非常に便利でした。点棒内蔵のICチップによって、自動で認識・計測されるので、得点状況・自分の順位・点棒箱に入れ忘れた点棒の有無が、手元の液晶画面から一目でわかります。

  • 点棒表示はカラー液晶で、点棒箱の左側にあります。それぞれの点数の上には各プレイヤーの順位を表示(写真は全員25,000点持ちのため、全員同着の1位表示です)

また、手元には3つの点棒箱が並んでおり、どこにどの点棒を入れても認識されます。筆者が体験してきた雀荘の全自動麻雀卓は、点棒の種類ごとに分けて点棒箱へ入れないと認識されずエラーになるものが多かったので、家庭向けの全自動麻雀卓でこの機能を搭載していることに驚き。

筆者はこれまでの習慣で、点棒を分類してから箱へ入れますが(リーチや支払い時にスムーズに渡せるという利点もあり)、すぐに次の局へ進みたいタイミングや、半荘終わりの点棒精算時、とりあえず自分が何点持っているか知りたいときなどにサッと見られるので重宝します。

  • 1万点棒、5千点棒、千点棒、5百点棒、百点棒をケースごとに分ける必要がなく、混ぜて入れてもすべて読み取って自動表示します。これは便利(写真は自分の点数箱にのみ点棒を入れた状態)

なお、所持点数が0点を下回ったとき(いわゆる飛ぶ、箱点)、「-1,000点」のように表示する箱下計算機能は搭載していません。箱点になったあとも勝負を継続するルールで対局したい場合は、初期設定の段階から持ち点を増やしておく(例えば25,000点持ちの場合に35,000点分の点棒を用意し、-10,000点分の箱点に対応できるようにしておく)のが良いかもしれません。

JP-EX COLORで特筆したいのは、今回のモデルから追加された点差表示機能。液晶画面左下にある「+/-」ボタンを押すと各プレイヤーとの点差表示に切り替わります。レビュー時も、ほかのプレイヤーとの点差がすばやくわかるので、オーラスで攻めるか降りるかの判断に役立ちました。

麻雀をやりこんでいる人なら「満貫ツモ」や「3,900点直撃」など、逆転条件をすぐに計算できるかもしれませんが、そうでない人にとってはかなりありがたい機能です。

  • 左下の「+/-」ボタンを押すと点差表示に切り替わります。写真は点差表示(点差表示のとき、液晶画面左上には全員の点棒合計が表示されるようになります)

レビュー大会終了後、JP-EX COLORがとにかく欲しくなった

  • 8人の予選を勝ち抜いたメンバー4人でいざ決勝戦。筆者も何とか決勝進出しました。写真は開始早々飛び出した「發・中・混一色」の7,700点。三面張からのキレイなアガリです

  • 清一色にいけそうなド級の配牌でしたが1枚もいい牌を持ってこない……。こういうのも麻雀の醍醐味ですよね

  • 筆者の親満貫12,000点のアガリ(ダブ東・ドラ3)。「優勝もらった! 」と油断したのが敗因でした

  • オーラスは三軒リーチ。誰が勝ってもおかしくないアツい展開に

  • 筆者の下家が、最後にしっかりと満貫をあがって優勝! (ドラは三萬。「リーチ・タンヤオ・ドラ2」の親満貫12,000点のアガリです)

優勝は逃しましたが、JP-EX COLORの魅力は十二分に伝わってきた麻雀大会でした。もちろん、業務用の高級な全自動麻雀卓には、自動で配牌を取り出してドラ表示牌がめくられたり、卓上にある穴に点棒やチップを入れると自動で点棒箱/チップ箱に分類・収納したりなど、より快適に麻雀ができる機能はいくつもあります。

しかし、家で友達や家族と麻雀をするぶんには、牌山が静かにすばやく積まれ、点棒・点差表示が見られたら、筆者個人としては何の不自由もありません。あとは、収納できる折りたたみタイプか、和室であぐらをかきながら麻雀を打てる座卓兼用タイプのどちらを買うかの悩みだけ。

最後に、JP-EX COLORは2022年12月1日の発売後、あっという間に売り切れた人気製品とのこと。12月25日時点では、JP-EX COLORの全タイプが2023年1月16日以降の出荷予定となっています。

現在は従来モデル「AMOS JP-EX」(生産終了予定)と併売していますが、JP-EX COLOR はJP-EXに点差表示機能が加わりつつ価格も安くなったモデルであるため、今買うとしたらJP-EX COLORがオススメです。

また、AMOSシリーズの公式ショップが家電のレンタルサービス「Rentio(レンティオ)」と提携して行っていた全自動麻雀卓のレンタルについても再開の予定があるといいます(2022年春ごろから休止中、詳細な再開時期は未定)。20万円以上する高価な買い物なので、レンタルで試してみたい、友人同士で集まれるタイミングで麻雀大会をしたいという人は、レンタル再開を待ってみるのもよいでしょう。

  • 景品は筆者のタンスに眠っていた「麻雀王に俺はなる」Tシャツです。優勝おめでとうございます!