Twitterがドナルド・トランプ前米大統領のアカウントの永久停止処分を解除した。同社を買収したイーロン・マスク氏が自身のアカウントでトランプ氏の復帰を認めるべきかどうかを問うTwitter投票を実施、「賛成51.8%、反対48.2%」で復帰が支持されたのを受け、トランプ氏のアカウントを復活させた。マスク氏は投票結果が明らかになった後に「Vox Populi, Vox Dei」(民の声は神の声:ラテン語)とツイートした。
同社は2021年1月に、首都ワシントンで発生した暴動に関連してトランプ氏のツイートを精査し、「暴力の賛美」を禁じる規約に違反したとして同氏のアカウントを永久停止処分とした。しかし、「自由な言論のプラットフォーム」を目指してツイッターを買収したマスク氏がトランプ氏の復帰を認める可能性に言及し、米中間選挙(11月8日)の後に判断する考えを示していた。
マスク氏のTwitter投票は「トランプ前大統領の復帰」という投票に「Yes」か「No」を選ぶようになっており、投票数は1508万5458票だった。同氏によると1億3400万人が投票を見た。
投票を見た人達のうち、実際に投票したのは約11%。結果は賛成51.8%、反対48.2%と僅差であり、ボットによる投票を防げているのかどうかは不明だ。マスク氏はTwitter買収の交渉において、Twitterアカウントの20%がフェイクである可能性を指摘し、過去にはロシアのウクライナ侵攻に関するTwitter投票がボット攻撃の影響を受けている可能性を指摘していた。
マスク氏は中間選挙前に、無党派層の有権者に対して共和党に投票するよう勧める内容を投稿。同氏の政治的中立性に相反する主張が波紋を広げ、また同氏が約束している多様な視点を持つコンテンツ・モデレーション評議会はまだ設置されていない。Twitterが混乱した状況の中で、次期大統領選への出馬を表明したトランプ氏のアカウントが復活した影響への懸念が広まっている。
トランプ氏のTwitterアカウントは、回復直後こそフォロワー数が正確に表示されなかったが、8,700万人以上がフォローする永久停止直前の状態をすぐに取り戻した。Twitterアカウント停止後に、同氏は「Truth Social」というソーシャルメディアを立ち上げており、マスク氏のTwitter投票で「Yes」に投票するようにTruth Socialのアカウントで呼びかけていた。しかし、Twitterアカウントが復活しても引き続きTruth Socialで活動していく考えを示している。