SNSやインターネットの発達により、わたしたちが日常的に触れる情報量は爆発的に増えました。便利なツールやサービスが普及することで、ノンデザイナーも情報発信のデザインに携わる機会が増えています。その中で、情報が受け取れなくて困っている人、伝えたいことが伝わらなくて困っている人がいます。
本書では、そんな情報伝達にまつわるみんなの「困った!」を「こうしよう!」に変えるヒントをお伝えします。
本書は、ダイバーシティやインクルージョンを実現するために、デザインの力でできることを紹介する書籍です。具体的には、色、文字、ことば、図解、UIという観点で、基礎知識と改善例を交えて解説します。
作例はBefore/Afterで視覚的にわかりやすく、丁寧にまとめました。
伝えたいことが伝わらなくて困っている人へ
SNSやインターネットの発達により、わたしたちが日常的に触れる情報量は爆発的に増えました。便利なツールやサービスが普及することで、ノンデザイナーも情報発信のデザインに携わる機会が増えています。その中で、情報が受け取れなくて困っている人、伝えたいことが伝わらなくて困っている人がいます。
本書では、そんな情報伝達に関わるみんなの「困った!」を「こうしよう!」に変える31のヒントを紹介します。
基礎知識が身につく
色、文字、ことば、図解、UIの5つの切り口で、多様性を受け入れるデザインのための基礎知識をまとめました。関連情報や好事例を紹介するコラムも見どころです。
Before/After形式で理解が深まる
具体的な例をとおして「困った!」を解決するデザインのコツを解説しました。困りごとの原因がわかり、問題を発見する力と改善する力が身につきます。
6人の登場人物と一緒に学べる
登場人物の声をヒントに、印刷物、案内表示、コミュニケーション、ウェブのデザインを改善していく構成です。身近なシーンや人を思いうかべることで、デザインの捉え方が変わります。
本書の目次
Chapter1 みんなのデザイン
1-1. 困った!はなぜ生まれる?
1-2. 多様性の時代に向かうデザイン
1-3. みんなのデザインいろいろ
1-4. 登場人物
Chapter2 色で困った!
2-1. 色の基礎知識
2-2. 赤×黒で困った!
2-3. 赤×緑で困った!
2-4. 白×黄で困った!
2-5. 色名で困った!
2-6. コントラスト不足で困った!
2-7. 色分けで困った!
2-8. 色だけで困った!
Chapter3 文字で困った!
3-1. 文字の基礎知識
3-2. 小さくて困った!
3-3. 読み間違えて困った!
3-4. 細くて困った!
3-5. 変形で困った!
3-6. ぎゅうぎゅうで困った!
3-7. 視線が迷子で困った!
Chapter4 ことばで困った!
4-1. ことばの基礎知識
4-2. 難しくて困った!
4-3. 見当ちがいで困った!
4-4. ばらばらで困った!
4-5. 長文で困った!
4-6. 聞こえなくて困った!
4-7. 選べなくて困った!
Chapter5 図解で困った!
5-1. 図解の基礎知識
5-2. ちぐはぐで困った!
5-3. ミスリードで困った!
5-4. ごちゃごちゃで困った!
5-5. どっちつかずで困った!
5-6. 目立たなくて困った!
5-7. 見えなくて困った!
Chapter6 UIで困った!
6-1. UIの基礎知識
6-2. 勝手に動いて困った!
6-3. 現在地不明で困った!
6-4. 行先不明で困った!
6-5. 紛らわしくて困った!
6-6. 触れなくて困った!
6-7. うっかりミスで困った!
Chapter7 おさらい
7-1. 困った!さがし
7-2. チェックリスト
編集者が選ぶ見どころ
誰かの困りごとの視覚化
本書では、実際の困りごとに直面される方を想定してフキダシで紹介しています。知らない誰かの困りごとではなく、身近な誰かの「困りごと」として捉えられるように工夫しました。
現役デザイナーにも最適な学び直し
学校やスクールで学んだ知識のアップデートができるよう、できるだけやさしく丁寧に基礎知識を紹介しています。基礎知識のある方も読み飛ばさずにご一読いただきたいです。きっと新しい気付きが得られるはずです。
発展的な情報
事例紹介から踏み込んだ、発展的な情報も掲載しています。明日の現場で役に立つ知識をできるだけ丁寧に盛り込みました。
著者からのメッセージ
ユニバーサルデザインやアクセシビリティと聞くと「障害者や高齢者のためのもの」「デザインが制約されてつまらなくなる」といった先入観をもたれるかもしれません。しかし、誰かの「困った!」は改善のヒントであり、可能性の伸びしろでもあります。誰か一人の困りごとの解決が、利用者全体に利益をもたらす考え方が私は大好きです。
知らず知らずのうちに誰かの「困った!」を作ってしまわないように。デザインの向こう側にいるさまざまな人や状況を知ることから、より良く伝わるデザインは生まれます。本書で紹介するのは特別なデザインではなく、目の前のデザインの延長線上にあるものです。身近なケースを想定し、より多くの人に伝わるデザインのコツを応用しやすいようにまとめました。
これからデザインを学び始める方にも、すでにキャリアのある方にも、デザインの視点を増やす味方として本書を役立てていただければ嬉しいです。
■著者プロフィール
間嶋 沙知 高知在住のフリーランスデザイナー。
大学卒業後、桑沢デザイン研究所の夜間部に学ぶ。東京、高知のデザイン事務所を経て、2016年に独立。高知市を拠点に県内外の企業、店舗、個人、スタートアップのサービスや商品に関わる印刷物やウェブのデザインを手がける。目下の関心はアクセシビリティ。「個々の良さが発揮される風通しの良い世界」にデザインで貢献することを目指して活動中。こぶたのうたちゃんと昭和の古家に暮らしている。