日立グローバルライフソリューションズ(以下、日立)のドラム式洗濯乾燥機「ビッグドラム」は、シワを減らしながら乾燥する「風アイロン」機能などが人気のシリーズ。2022年9月発売の新モデルでは、最上位「BD-STX120H」とプレミアムモデル「BD-SX120H」に注目です。

この2モデルは、ビッグドラムシリーズとして初の温水洗浄に対応。さらに、なんと洗濯のたびに必要だったフィルター掃除が「月1回」ですむように! プレス向けの体験会で実機をチェックしてきました。

  • 注目の新ビッグドラム。左から、操作部に液晶タッチパネルを採用した最上位モデルのBD-STX120H、ガラスタッチ式操作パネルのBD-SX120H、温水洗濯やAIお洗濯など一部機能を省略したBD-SV120H。いずれも洗濯容量12kg、乾燥容量6kg

    注目の新ビッグドラム。左から、操作部に液晶タッチパネルを採用した最上位モデルのBD-STX120H、ガラスタッチ式操作パネルのBD-SX120H、温水洗濯やAIお洗濯など一部機能を省略したBD-SV120H。いずれも洗濯容量12kg、乾燥容量6kg

  • 最上位モデルのBD-STX120Hとマイナビニュース・デジタルの林編集長。風アイロン機能はもちろん、スマートフォン連携機能や液体洗剤・柔軟剤自動投入機能など、イマドキの高性能なドラム式洗濯乾燥機の機能を網羅しています。本体サイズは幅630×奥行716×高さ1,065mm

2022年11月中旬の実勢価格は、BD-STX120Hが30万円台前半~後半、BD-SX120Hが20万円台後半~30万円台中盤、BD-SV120Hが20万円台中盤~30万円台前半となっています。

気になるパッキンも全自動で掃除する新「らくメンテ」がすごい!

ドラム式の洗濯機はどんどん高性能化していますが、定期的なメンテナンスは必須。なかでも、洗濯後や乾燥後のフィルター掃除はそのつど必要です。洗濯のたびに糸くずフィルターを掃除し、乾燥機能を使ったら乾燥フィルターのホコリを取り除かなければなりません。

もちろん、どのメーカーもフィルターを掃除しやすい形状にするなど、最小限の手間になるよう改良を続けています。日立のBD-STX120HとBD-SX120H、BD-SV120Hの3モデルは、一連のお手入れに「らくメンテ」機能を搭載。らくメンテではなんと乾燥フィルター(本体上面右奥)をなくし、糸くずフィルター(本体前面下部)も洗濯乾燥30回分の掃除をまとめてできるようになりました。

  • 最上位となるBD-STX120Hの製品上部。一般的なドラム式洗濯乾燥機は上部に乾燥フィルターを配置していますが、らくメンテ機能搭載モデルにはこれがありません

  • 2021年モデルのBD-STX110GLから乾燥フィルターを取り出したところ。らくメンテ対応製品は乾燥フィルターの存在をなくしました

らくメンテでは、従来製品では乾燥フィルターで捕集していた乾燥時の衣類ホコリを水で流し、本体下部の糸くずフィルターでまとめて集めます。いままで「糸くずフィルター」「乾燥フィルター」という2つのフィルター掃除が必要だったところを、1つにまとめたのです。

さらに、糸くずフィルターを従来モデルよりも大きいサイズにして、構造を改良することによって、約1カ月分(6kgの衣類を約30回洗濯・乾燥した量)のホコリや糸くずをまとめて捨てられるようになりました。つまり、フィルター掃除は約1カ月に一度でよくなったわけです。とにかく手間が減るのはうれしい限り。

  • 左が2021年モデルの糸くずフィルター、右が新モデルの「大容量糸くずフィルター」

  • 新モデルではフィルターのサイズが大きくなったほか、構造も一新されています

  • 乾燥の最大容量となる6kgの衣類を、30回洗濯乾燥したあとの新しい糸くずフィルターの状態。まだ余裕があるように見えますね。フィルターには抗菌素材を用いているので、濡れた糸くずからの気になるニオイも出にくいそうです

  • 写真のカゴ×2杯分が約6kg分の衣類。フィルター掃除なしで、これだけの衣類を30回洗濯乾燥できるというのは驚き!

構造を聞くと「もっと早く乾燥フィルターと糸くずフィルターをまとめれば良かったのに」とも思いますが、これまでは乾燥経路にホコリゴミが溜まることの解決が難しかったとのこと。これを解決したのが2022年モデルです。

新型のらくメンテ搭載モデルは、「乾燥ダクト 自動おそうじ」「洗濯槽 自動おそうじ」「ドアパッキン 自動おそうじ」という3つの自動おそうじ機能によって、ホコリや糸くずを大容量糸くずフィルターへと洗い流すことに成功しました。洗濯槽の裏までしっかり自動掃除するので、洗濯槽の裏にカビも発生しにくくなっています。通常は1カ月ごとに必要な槽洗浄も、3~4カ月に一度でよくなりました。これもうれしい!

【動画】(1a)本体上からのシャワーで乾燥ダクトに水を流して、ホコリをダクト下に向かって洗い流します。(1b)ドラムが回る遠心力によって乾燥ダクトの下から水をかき上げ、ダクト下側の汚れもしっかり洗い流します。(2)洗濯槽の裏側もしっかり洗浄。(3)ドアパッキンの裏側も、専用のシャワーを使ってホコリを洗い流します
(音声が流れます。ご注意ください)

筆者がうれしく思ったのは、新しく追加されたパッキン裏側(前面ドア内側)の自動おそうじ機能。ビッグドラムは時速約300kmという高速な風で衣類のシワを伸ばしながら乾燥する「風アイロン」機能を搭載しています。とっても便利な機能なのですが、強い風を使うためか、パッキン裏にすぐフェルトのような衣類ホコリ溜まりができます。らくメンテ搭載の新型なら毎回パッキン裏に水を流してくれるので、この問題が解消されました。

  • 風アイロンなしで乾燥したシャツ(写真左)と、風アイロンで乾燥したシャツ(写真右)。シワの有無は一目瞭然。最近はシワを減らすドラム式洗濯乾燥機も少しずつ増えましたが、元祖は日立の風アイロン

もうひとつ見逃せないのはヒーターの進化。通常の乾燥用ヒーターは容量がアップし、さらに湿度センサーで運転を細かく制御するようになり、乾燥時間が短縮されました。約6kgの衣類だと、従来は洗濯~乾燥で132分かかっていたところ、25%短縮されて98分になったそうです。

  • 従来モデルと比較して、新モデルの洗濯~乾燥時間は約34分も短縮。これは大きい!

また、水を温めるためのヒーターを追加したのも進化点です。新モデル(BD-STX120H、BD-SX120H)は、約15~60℃の温水洗浄に対応しました。高濃度の洗剤液をヒーターで温めて洗剤の酵素パワーを引き出したり、温水つけおき洗いで皮脂などによる黄ばみを除去しやすくしたり、60℃の熱湯洗いで除菌したり――といった洗濯が可能です。

温水機能は、他社の高機能ドラム式洗濯機の一部では以前から存在していました。日立のビッグドラムが温水に対応したことで、より高い洗濯能力を重視するユーザーの選択肢が増えたのもうれしいところです。

  • 温水洗濯用の設定画面(BD-STX120H)

  • 基本的に水の温度が上がると洗浄力が高くなるため、温水洗濯はいろいろな場面で有効です

全自動洗濯機は衣類をより優しく洗えるように

全自動洗濯機「ビートウォッシュ」シリーズの最上位「BW-X120H」も、2022年の新モデルで進化しています。もっとも大きなところは回転羽根(パルセーター)のデザイン変更。

従来は羽根をグルグル回転させる遠心力などで水流を作り出していましたが、この方法だと洗濯槽の中心部には機械力が加わりにくいそうです。そこで、新しい回転羽根「ビートウィングプラス」を導入し、羽根の中央から水を「引き込む」構造としました。

  • 全自動洗濯機のビートウォッシュ「BW-X120H」。サイズは幅640×奥行き650×高さ1,060mm。2022年11月中旬の実勢価格は200,000円前後

  • 旧ビートウィング(写真左)と、新ビートウィングプラス(写真右)。新型は中央から水を引き込める構造になったほか、羽根の高低差を減らして洗濯中に衣類の動きを促進しつつも、布傷みを減らします

羽根の中央部から水を引き込むことで、衣類にすばやく洗剤液を浸透させます。洗濯時間は、従来モデルの43分から35分へと短縮されました(12kg時の目安)。洗濯時間が短くなると、待ち時間が減ったりして家事全体の効率アップにつながりますよね。洗濯による衣類へのダメージも少なくなります。

【動画】ビートウィングプラスの水流を比較。いずれもビートウィングプラスの動画ですが、メインの大きな画面では羽根中央から水を引き込む機能を有効、画面右下の小さな動画では無効にしています。水の引き込み機能があると、中心部の水が勢いよく引き込まれて羽根が露出しているのが視認できます。この引き込み力によって、衣類に対して洗剤液の浸透を促進するわけです
(音声が流れます。ご注意ください)

  • 従来製品と新製品で繰り返し洗濯した衣類を比較。旧製品で洗ったハーフパンツは股部周辺の色落ちが目立っています

  • 靴下は、履き口やカカト周辺の毛玉に注目。新製品で洗ったものは毛玉が少ないのがわかりますか?

洗濯機は高価格帯の大物家電だけに、各社とも開発に力をいれている分野です。とくにドラム式洗濯乾燥機は各メーカーが毎年つぎつぎと最新機能を搭載していますが、毎年のモデルチェンジとなると、それほど大きくは変わらない製品もあります。

2022年の新ビッグドラムは、乾燥フィルターの撤廃、1カ月間メンテナンスフリーの糸くずフィルター、温水ヒーターの新搭載など、使い勝手や洗濯能力を確実に高める新機能が盛りだくさん。ビッグドラムは風アイロンの搭載以来、忙しい家庭にうれしいドラム式洗濯乾燥機でしたが、新モデルはさらに魅力的な製品になっています。