パナソニックの「ななめドラム洗濯乾燥機」は機能性の高さがウリのひとつ。新モデルが10月上旬に発売されるということで、もともと多機能なシリーズの新モデルはどこが変わったのか、プレス向け体験会でフラッグシップモデルの「NA-LX129BL」をチェックしてきました。

  • シンプルで高級感のあるデザインのななめドラム洗濯乾燥機「NA-LX129BL」とマイナビニュース・デジタルの林編集長。本体サイズは幅604×奥行き722×高さ1,011mm。洗濯容量は12kg、乾燥容量は6kgと、どちらも大容量。価格はオープン、推定市場価格は390,000円前後です

シワとり機能を新搭載、毎回洗わない服も気持ち良くキープ

今回の新モデルが備える新しい機能で注目したいのは、まずは「シワとり・消臭」コースの追加。衣類全体にドラム内でしっかりスチームをあて、さらに乾燥した風でシワとニオイを取り除くというコースです。ケアできる衣類は1kgまでですが、約30分でシワやニオイがほとんどなくなります(衣類の種類や状態によって効果は変わります)。

ニット類やジーンズなど、一般的に毎日は洗わない衣類は意外と多く、こういった衣類のケアを手早くできるのはうれしいですね。また、朝の忙しい時間に、手間をかけずにその日着る服のシワとりにも使えます。

体験会では、シワが付いた綿パンツをシワとり・消臭コースでケアするデモンストレーションも。綿はシワが取れにくい素材ですが、なかでもズボンは生地が厚いので手強いものです。アイロンがけしていても、実感する人は多いと思います。シワとり・消臭コースでケアしたあとは、綿パンツのシワはほとんどなくなっていました。

  • シワとり・消臭コース使用前と使用後。実際に着用した綿パンツのため、とくに膝裏に強くシワが刻まれています。ケア後はうっすらとシワが確認できるくらいに。これくらいのシワなら、衣類スチーマーやアイロンで軽く仕上げればピシッときれいになりそうです

  • こちらはカーディガンにシワとり・消臭コースを使用。全体的にシワがなくなり、スッキリとした見た目に

  • ニオイのデモンストレーションも。白い布片にニオイを染みこませてシワとり・消臭コースを使います。ケア前の衣類を鼻に近づけて実際にニオイを嗅いだ林編集長は「ものすごくたばこ臭い!」と苦笑い。ケア後はじっくりニオイを嗅いでもタバコ臭を感じられませんでした

洗濯乾燥機はもともと水とヒーターを利用する製品ということで、スチームと乾燥によるシワとり・消臭機能の追加は簡単では? と思うかしれません。しかし、ドラム式洗濯乾燥機は本体をコンパクトにするため、内部スペースに余裕がないんです。これまでの本体形状だと、衣類が水に浸からないようにドラム内に水を溜めて、さらに溜めた水で蒸気を作り出すことができませんでした。

パナソニックによると、昨年(2021年)のフルモデルチェンジから「シワとり・消臭」機能の構想があって、そのために本体デザインが昨年モデルから大きく変化したとのことです。

  • 大きく変化した内部構造。シワとり・消臭コースは長い年月をかけて実現した機能です

家電に詳しい人なら、「パナソニックのドラム式洗濯機の上位モデルには、もともとナノイーX機能があるじゃない?」と思うかもしれません。ナノイーXによるケアとは、水を微粒子化した高濃度のイオン「ナノイーX」によって、衣類やカバン、ぬいぐるみなどを水に濡らさずケアするもの。このコースでは、消臭や除菌、花粉などのアレルゲン抑制が可能です。

ナノイーXによるケアは、除菌やアレルゲン対策がメイン。消臭やシワとりは新しいシワとり・消臭コースというふうに、用途によって使い分けてほしいとのこと。また、シワとり・消臭コースはたっぷりのスチームでケアするため、水に弱い製品はナノイーXによるケアが良さそうです。

ナノイーXの効果でメンテナンスの手間を軽く

NA-LX129BLはナノイーXも進化しました。ナノイーX(48兆)による「槽カビ菌除菌」コースです。ナノイーXは、超微細な水粒子内に含まれる「OHラジカル」の働きによって除菌します。このOHラジカルの量が、2021年モデルのLXシリーズまでは4兆8,000億個/秒でしたが、新モデルでは48兆/秒と10倍に増えています。

  • 会場に展示されていたカビ繁殖の状態。ナノイーXを吹き付けたコットンはカビが発生していないのが分かります。パナソニックによると、OHラジカル量が多いほど高い効果が見込めるそう

メンテナンス機能の「槽カビ菌除菌」コースは、洗濯終了後にスタートボタンを押すことで、まず槽内を30分間乾燥させ、その後150分間かけてナノイーX(48兆)を放出します。これにより、黒カビが発生しやすい洗濯槽の裏も除菌し、本格的な洗濯槽洗浄の回数を減らせます。

従来モデルの「お手入れを簡単にする機能」も引き続き搭載。たとえば、洗濯物の繊維がフェルトのようになって溜まりやすいドアのパッキン裏は、洗濯のたびにシャワー水流で掃除するのでケアの必要がありません。

【動画】汚れが溜まりやすいパッキン裏に、疑似的な汚れ(絵の具)を塗ったもの。洗濯後の自動シャワー掃除によって、絵の具がすべて流れ落ちました
(音声が流れます。ご注意ください)

もちろん、乾燥機能を使うたびにケアする必要があるフィルター類も、掃除がしやすいように工夫されています。

  • 水に混じる糸くずなどをキャッチする排水フィルター。クシ歯形状なので、フィルターから簡単にゴミを取れます

  • 乾燥時に出る糸くずをキャッチする乾燥フィルターはステンレス製。フィルターにゴミが貼り付かず、指でゴミをつまんで捨てられます

アプリ専用機能が充実、終了時間の通知もより正確に

シワとり・消臭機能とナノイーX(48兆)のほか、NA-LX129BLはIoT機能も進化しました。まず、アプリ専用コースとして「ウール」コースと「シーツ」コースを追加。ウールコースは洗い時の攪拌(かくはん)を「おうちクリーニング」(おしゃれ着専用のコース)よりも優しくしています。シーツコースは水温を高温にしてしっかり汚れを取る洗濯コースです。

  • 写真は新しく追加されたアプリ専用の「ウール」コース

そのほか、洗濯終了時の時刻を過去の洗濯データから予測する機能も搭載されました。乾燥運転が必要となる運転コースは、洗濯物の量と衣類素材によって乾燥時間が変化しますから、一般的に洗濯乾燥機はひとまず「想定される一番長い運転時間」を表示。その後、洗濯乾燥運転をしながら表示する終了時間を徐々に「実際の終了時間」に近づけていくのです。

今回のNA-LX129BLでは、ユーザーの過去の洗濯傾向から実際の終了時間をアプリ上で予測して表示するようになっています。はじめからほぼ正確な終了時間(時刻)が分かれば、洗濯中にほかの家事をしたり、買い物に出かけたりと、時間をより有効に使えるようになりますね。

  • 写真は従来の「予測されるなかで一番長い終了までの時間」。青いフキダシ部分をタッチすることで、過去のデータからより正確な終了時間を予測します

さて、新モデルではいくつかの機能が追加されましたが、やはり一番の注目はシワとり・消臭機能でしょう。ドラム式洗濯乾燥機は乾燥性能が高く、家事負荷を軽くしたいユーザーに人気ですが、「放っておくだけでシワがとれる」「アイロンがけの手間を減らしてくれる」シワとり機能は、まさに時短に貢献してくれます。

  • 液体洗剤、柔軟剤だけではなく、おしゃれ着洗い用洗剤専用のタンクを備える「トリプル自動投入」

見渡すと、他社のドラム式洗濯乾燥機でもシワとり機能を搭載している製品はすでに存在します。一方、パナソニックは液体洗剤と柔軟剤に加えて、おしゃれ着洗い用の洗剤も自動投入できる「トリプル自動投入」という独自機能でユーザーの心をつかんでいました。

今回、シワとり・消臭コースを搭載したことで、おしゃれ着洗いを自動化しながら、シワとりも消臭も除菌も花粉対策も……と、単なる洗濯にとどまらない衣類ケアが期待できます。もちろん、NA-LX129BLはフラッグシップのドラム式洗濯乾燥機だけに、洗濯性能が高いのは当たり前。「次はちょっといいドラム洗を……」と考えているご家庭はぜひ注目してみてください。