パナソニック エレクトリックワークス社(以下、パナソニックEW)は10月24日、カーボンニュートラルの実現を目指すコミュニティ「everiwa」を設立。最初の活動としてEV(電気自動車)向けのEVチャージャーシェアリングサービス「everiwa Charger Share」を発表しました。11月29日からサービスを開始し、EVチャージャーを設置するホストの募集も始めます。ユーザーの募集は2023年春からの予定です。
パナソニックEWはCO2排出量が実質ゼロとなるカーボンニュートラル社会の実現に向け、EVの普及率が100%となった「EV社会の実現」が最初のミッションになると定めています。政府が2035年までに新車販売でEV100%の実現を掲げましたが、そのためには、近隣目的地での充電インフラを網状に整えることが重要となり、いまEV普及のボトルネックとなっているのもEV充電のインフラ整備だと考えています。
発表会でパナソニックEWの大瀧社長は、「これからのグローバル企業はCO2削減に対するコミットが求められます。パナソニックはエネルギーマネジメントでCO2排出量を削減し、2050年に世界のCO2排出量の約1%に当たる3億トン相当の削減インパクトを目指します」と話しました。
この考えをアクションに落とし込んだのが、今回のeveriwaです。パナソニックEW、みずほ銀行、損保ジャパン、NPO法人NELISによって設立されました。
everiwaは法人ではなく、グループのような概念です。everiwaの発展に向けて取り組むパートナー企業の「エバンジェリスト」、everiwaサービスを運用する「サービスパートナー」、everiwaサービスを利用する「ユーザー」によって構成されます。そして、最初の具体的な活動となるのが、everiwa Charger Shareです。
everiwa Charger Shareは、EVチャージャーを設置する「ホスト」と利用したいユーザーをつなぎ、出先で効率よく安全にEVを充電できるようにするサービスです。
everiwa Charger Shareの利用はスマートフォンの専用アプリから。専用アプリの公開日はサービス開始と同じ11月29日です。iOS・Androidに対応し、無料でダウンロードできます。
アプリのアカウントは1人1つで、ホストもユーザーも同じアプリを使用します。アプリ上で取り引きがワンストップで完結するため、ホストもユーザーも導入しやすい点が魅力です。
先述の通り、まずはホストの募集を先行し、11月29日以降、応募したホストが登録可能になります。ホストの登録は無料。駐車場(EVチャージャーを設置する場所)が複数ある場合も、1アカウントで管理します。
ホストは充電シェアに使用するEVチャージャーを登録し、現地のEVチャージャーに2次元コードのステッカーを貼り付けます。あとは1時間当たりの利用料金や貸出可能な時間を自由に設定すれば準備完了。顧客確保といった目的で利用料金を0円にしてもよいのですが、基本料金を0円にすることはできません。
決済にはみずほ銀行と共同開発した「everiwa wallet」を用い、ハウスコインエスクロー決済によって即時振込・取引手数料の低減を実現。さらに損保ジャパンと共同開発した専用シェアリング保険によって、充電サービス利用時に発生する各種トラブル(EVチャージャーに自動車をぶつけてしまったなど)に対する補償を行います。
一般ユーザーが専用アプリを使えるようになるのは、ユーザー向けサービスが始まる2023年春から。このため、ホストが2023年春以前にユーザーとして使用することはできません。ホスト募集の開始からすぐに登録した場合(EVチャージャーの設置と登録も含めて)、そのホストがユーザーになって操作の流れなどを2023年春まで試せないのはやや不安かもしれませんね。
ユーザーの流れも見てみましょう。アプリをダウンロード、インストールしてユーザー登録すると、充電スポットをアプリ上で探せるようになります。画面上にはホストの指定する1時間ごとの利用料金と電圧/出力、立ち会いの要不要、対応する車種(大型車など)の情報も表示されます。候補は現在地から近い順で表示されますが、安い順の表示などはアプリの更新などでいずれ対応したいとのこと。また、よく利用する充電スポットを登録しておけばすぐに呼び出せます。
アプリ上で見つけた充電スポットは、そのままアプリ上で空き時間を調べて予約できます。基本料金と利用料金は、未納防止のため予約時にeveriwa walletから引かれます。基本料金はサーブ料金の意味合いがあり、例えば予約時間前にキャンセルした場合は利用料金だけ戻ってきます。一方、予約したまま充電に行かずに利用しなかった場合はどちらも戻ってきません。3時間予約して1時間しか利用しない場合も同様です。
充電時は駐車場の所定場所に駐車し、アプリ上からEVのバッテリー残量を撮影します。撮影しないとEVチャージャーが充電可能(チェックイン状態)になりましせん。充電後にも同じように撮影してチェックアウトします。充電前後でEVのバッテリー残量を撮影しておくことで、「このステーションで自分のEVを1時間充電するとバッテリー残量が何%回復するか」といった履歴になります。また、何かのトラブルが発生したときの参考として、使用履歴を残しておく目的もあります。
自動車から降りてEVチャージャーの2次元コードを読み込めば、EVチャージャーを使用できるようになります。
everiwa Charger Shareのホストに登録してEVチャージャーの設置が増えれば増えるほど、ユーザーが便利になって、カーボンニュートラル社会への貢献にもなるサービスと言えます。現在のところ、みずほ銀行が全国展開する支店の駐車場にEVチャージャーが設置される予定とのこと。
とはいえ、1つの駐車場にEVチャージャーがいくつ設置されるかは、始まってみないとわかりません。駐車場の利用状況にもよるため、ユーザー数に対して予約可能なEVチャージャーが潤沢になることを期待したいところ。
パナソニックEWはマンション駐車場へも普及を図りたい考えです。ほかにも、個人・法人経営による町の駐車場、コンビニやショッピングモール、量販店のような商業施設、あるいは観光地の各種施設に設けられた駐車場などにも普及を広げます。いずれはEVでも気軽に遠方までドライブできるようになるといいですね。