スマートフォンを買うときに「どの色にしようか」と悩むことがありますよね。ケースをつけるからどの色でもいいと思いつつも、やはり自分の好みの色のモデルを買いたいものです。でも海外ではスマートフォンの色を後から変えられるという製品が販売されています。それがTecnoの「Camon 19 Pro Mondrian Edition」です。
Tecnoは中国メーカーながら、アフリカを中心に人気のメーカー。安さはコスパ最強と言われるシャオミのRedmiシリーズを上回っており、新興国でベストセラーモデルを次々と出しています。Camon 19 Pro Mondrian Editionはその中でも上位のモデル。画面サイズは6.8インチでカメラは6,400万画素カメラに5,000万画素のポートレートカメラというぜいたくな組み合わせ。フロントカメラも3,200万画素と高画質です。
ただしアフリカ向けということで通信方式は5Gに非対応、4Gまで。チップセットは4G向けでは高性能なメディアテックのHelio G96を搭載しています。バッテリーは5,000mAhで33Wの高速充電に対応。メタルフレームは質感もよく、高級感も味わえます。価格はインドで1万7,999ルピー、約3万4,000円。現地では高価格に属するでしょう。
アフリカ向けだからといって、もはや安いモデルを出しているだけでは消費者にそっぽを向かれてしまいます。「いつかはiPhone」のように、そのメーカーの中でも上位モデルを出すことで、メーカーはファンを増やすことができるのです。Camon 19 Pro Mondrian Editionは性能と質感に加え、抽象絵画の巨匠であるピート・モンドリアンの作品をモチーフにし、その名前も冠しています。「デザイナースマホ」としてプレミアムなモデルでもあるのです。
本体の操作感は快適でした。他社のハイエンドモデルにはかなわないものの、ミドルハイレンジクラスの製品と十分競える性能を有しています。フロントカメラが高画質なのもうれしいところで、自撮りするのも楽しくなります。このまま日本で出しても悪くないなと思えるほどでした。
さてCamon 19 Pro Mondrian Editionの最大の特徴である「色が変わる」機能とはどんなものなのでしょうか? 本体の背面はホワイトに幾何学模様の入ったシンプルな仕上げになっています。しかしこのホワイトの塗装に秘密が隠されているのです。Polychromatic Photoisomer Technologyにより、太陽光の紫外線を当てると色が変わります。
実際に外に持ち出してみました。すぐに背面の一部が変色し、ホワイトからカラーへと変わっていきます。光が当たるとすぐに色が変わっていく様は見ているだけでも面白く、また不思議な感覚です。実は上の写真も若干色がついているように見えるのは、外から室内に戻した後に写真を撮ったからです。
太陽光に当てて1分もすると、かなりしっかりと色がつきます。実はこの格子状の色の配色パターンこそピート・モンドリアンの作風そのもの。このデザインに類似したアートを見たことがある人もいることでしょう。なお色のパターンは固定なので、他の色に変えるといったことはできません。それでも普段はホワイトのスマートフォンが、外に出すとカラフルに変わるというだけでもこのスマートフォンを日々使うのが楽しくなるでしょう。
逆のパターンで外から室内に持ち込むと、退色はゆっくりと進みます。完全にホワイトに戻るには数分かかりました。この逆の色の変化もまた楽しめるというわけです。スマートフォン本体の機能には全く関係ないものの、スマートフォンそのものに愛着を持ってもらう機能として他の製品には無いオリジナリティーを感じさせてくれます。
スマートフォンの背面だけではなく、側面に応用したり、あるいはスマートフォンのカバーにこの塗料を使う、といった展開も今後考えられます。スマートフォンもケースも買った後で色を変えられる、なんて製品が増えたら機種選びも今よりも楽しくなりそうですよね。ぜひ他のメーカーもこのようなコンセプトの製品を出してほしいものです。