ポケトークは10月12日、AI通訳ソフトウェアの新製品「ポケトーク同時通訳」を発表しました。Windows、macOS向けのソフトで、2022年冬頃の提供を予定。価格は未定で、提供開始時に公開するとのこと。実際に使ってみた印象とともにお伝えします。

  • 「ポケトーク字幕」(Windows/macOS用)に音声翻訳機能を新たに搭載したAI通訳ソフトウェア「ポケトーク同時通訳」。2022年冬頃の提供を予定しています

    「ポケトーク字幕」(Windows/macOS用)に音声翻訳機能を新たに搭載したAI通訳ソフトウェア「ポケトーク同時通訳」。2022年冬頃の提供を予定しています

  • 発表会で登壇したポケトーク 松田憲幸社長。5年前にポケトークを発売してから、ずっと「こういう製品があればいいな」と思っていたものが実現したとコメントしました

音声翻訳できるよう進化した「ポケトーク同時通訳」

「ポケトーク同時通訳」は、AI通訳機「ポケトーク」の端末なしで、PCにインストールするだけで使える既存のAI翻訳・字幕ソフトを強化し、相手の話す英語をリアルタイムに理解できるようにするソフトです。

現行のソフトウェア「ポケトーク字幕」(Windows/macOS用)で実現している、“Zoomなどのリモート会議で話したことを翻訳して画面に字幕表示する”機能を強化。「まるで専属の同時通訳者がいるように相手の話がわかる」とアピールしており、オンラインだけでなく、対面でも使えることも大きな特長です。

自分と相手がポケトーク同時通訳をインストールしていれば、自分の話した言葉は相手側の設定言語へと翻訳され、相手が見ている画面上に翻訳結果を字幕として表示。相手から自分への会話も同じ動作が行われます。音声入力時の対応言語は83言語(テキスト入力で115言語)。自分が話した言葉は同時に最大2言語に翻訳できるため、最大3カ国語間のコミュニケーションが可能です。

ポケトーク同時通訳がポケトーク字幕から進化したのは、大きく分けて2つ。1つ目は相手が話す英語を、70言語の音声と字幕でリアルタイムに翻訳できるようになった点です。字幕での表示に加えて、英語を短く区切り、ユーザーが選ぶ言語に翻訳して音声で発話します。音声の翻訳元の言語が英語のみなのは、現在、多くのビジネスシーンで使われている言語が英語であるという理由だそうです。

  • 実機を使ったデモンストレーションの様子。通話相手が英語で話した言葉が、数秒遅れて日本語の合成音声と字幕で翻訳されます。反対にこちらが日本語で話した内容は英語の字幕として画面に表示され、スムーズな意思疎通が図れていました

2つ目の進化点は、翻訳を必要とする側だけがソフトウェアをインストールし、PCで英語音声のYouTube動画などを視聴しながら(双方向ではなく、一方通行で)翻訳する、といった使い方もできるようになったことです。

従来のポケトーク字幕では、オンライン会議などで使用する場合、リモート会議システムで使うPCすべてにポケトーク字幕を用意する必要がありました。新しいポケトーク同時通訳では、会話の切れ目をソフトが自動認識するため、相手がインストールしていなくても、PCから出る音声を音声・テキスト翻訳できます。

横に通訳さんが隠れてないか疑うクオリティ!

会場にはタッチ&トライのコーナーが設けられ、スタッフの方が話す英語が数秒遅れて日本語に翻訳されていく様子を見ることができました。まさに「その場に通訳の方がいて和訳してくれている」ような感覚になります。翻訳の精度が上がるよう、ゆっくりかつはっきりと話していましたが、翻訳の読み上げまでそれほど待たされる感覚もなく、スムーズです。

【動画】
ポケトーク同時通訳でリアルタイムに翻訳していく様子(音声が流れます。ご注意ください)

  • 音声と字幕で同時に翻訳されるため、目と耳を使いながら話を理解できます

英語をフワッと聞きながら、数秒遅れで表示/発話される字幕/音声で答え合わせするイメージ。筆者はそれほど英語力に自信がありませんが、英語を全く聞き取れなかったということは少ないです。これまでよくあったのが「なんとなく言っていることはわかるが、詳細にはわからない/自信がない」という経験。このようなときに、自信を持たせてくれたり、聞き取れなかったところを補完してくれたりするツールになると感じました。

話し手が話し続ける場合、翻訳された合成音声と話し声が被りますが、翻訳された音声の方が優先して聞こえ、聞き取りやすかったです。翻訳される精度も、タッチ&トライのコーナーで体験した限りでは正確でした。

  • 翻訳された合成音声は非常に聞き取りやすかったです

「ポケトークで、ふたたび盛り上がる観光業界を支援する」

「ポケトーク」シリーズは、2017年から発売し、「ポケトーク W」「ポケトーク S」「ポケトーク S Plus」「ポケトーク字幕」「ポケトークアプリ」などシリーズ累計出荷台数が96万台を突破し、現在では世界83の言語を、高い精度で翻訳・通訳するまでに進化しました。

  • 松田氏は「言葉の壁をなくす」というミッションを少しでも早く実現していきたいと述べました

  • これまでのポケトーク端末

  • 端末に加え、PCソフトの「ポケトーク字幕」、スマホアプリの「ポケトークアプリ」もラインナップします

  • 2022年7月の販売金額シェアは99.3%(同社調べ)と非常に大きな割合を占めています

2022年2月に、ソースネクストから同社のAI通訳機および翻訳サービスに関する「ポケトーク」ブランドの事業を承継し、新会社「ポケトーク株式会社」が設立されました。ソースネクストから独立してポケトークとしたのは、海外での展開を狙ってのもの。

ソースネクストの代表取締役会長兼CEOであり、ポケトークの代表取締役社長兼CEOでもある松田憲幸氏は、「ソースネクストとポケトークの両ブランドを海外で広めるのには相当なコストがかかるほか、海外では企業名と代表的な製品名が一致していることが多く、ポケトークを広めていくために名前を合わせました」と社名を製品名にそろえた理由を改めて説明しました。

  • 2022年2月にソースネクスト子会社として、ポケトーク株式会社設立

発表会で松田社長は、訪日外国人旅行者数と出国日本人数が、コロナ禍の期間で激減したことに触れました。その一方で、先日発表された「短期滞在者のビザ取得免除」「入国者数の上限撤廃」「個人旅行の解禁」などの規制緩和を受けて、「今後、観光産業は非常に盛り上がっていくと思っている。ポケトークを通じて、この観光業界の支援をきっちり行っていきたい」と述べました。さらに、ウクライナ大使館やポーランドの避難民へポケトークを寄贈する取り組みの紹介もありました。

  • ポケトーク寄贈の取り組み