Zen 4になった新世代Ryzenがデビュー!

AMDから、新世代CPU「Ryzen 7000」シリーズが登場した。最新の「Zen 4」アーキテクチャを初めて採用したCPUで、従来の「Zen 3」に比べると、2桁のIPC向上を実現したという。まずは、16コア/32スレッドの最上位モデル「Ryzen 9 7950X」など4製品が発売されており、主な仕様や価格は以下の通りだ。

  • AMDの「Ryzen 7000」シリーズ。4モデルともCPUクーラーは付属しない

    AMDの「Ryzen 7000」シリーズ。4モデルともCPUクーラーは付属しない

  • ヒートスプレッダの形状は特徴的。従来はシンプルだったが、複雑な形に

モデル C/T クロック TDP 価格
Ryzen 9 7950X 16/32 4.5/5.7GHz 170W 118,000円前後
Ryzen 9 7900X 12/24 4.7/5.6GHz 170W 92,500円前後
Ryzen 7 7700X 8/16 4.5/5.4GHz 105W 67,000円前後
Ryzen 5 7600X 6/12 4.7/5.3GHz 105W 50,000円前後

AMDは初代Ryzenが発売された2017年3月以降、5年にわたって「Socket AM4」を使い続けてきたが、Ryzen 7000シリーズではついに新型の「Socket AM5」へ移行。大きく変わったのは、Intel製CPUではすでに導入されているLGA型になったことだ。従来、ピンはCPU側にあったが、Socket AM5ではマザーボード側に付く形となる。

これにより、AMD名物のスッポン現象(CPUクーラーに張り付いてCPUが一緒に抜けてしまう問題)の心配は無くなったものの、今度はIntelユーザーにはお馴染み(?)のピン折れ問題の恐れがある。基本的に保証外の対応となってしまうので、CPUをソケットにセットするときは、ピンを破損しないよう、慎重に作業しよう。

気になるのはCPUクーラーの互換性だが、これは従来のものが使えるとのこと。ただし、バックプレートを交換するタイプの製品は使えないので、その点は注意して欲しい。従来の最上位モデル「Ryzen 9 5950X」のTDPが105Wだったのに対し、新型Ryzen 9は170Wにまで増えているので、CPUクーラーの冷却性能には気をつけたい。

消費電力は増えてしまうものの、その代わり、性能の向上はかなり期待できそうだ。いつものように、大原氏によるベンチマーク記事が掲載されているので、詳しくはそちらを参照して欲しい。多くのテストで、Intelの「Core i9-12900K」を上回る性能を叩きだしているのは注目だ。

・Ryzen 7000 Seriesを試す(速報版) - Ryzen 9 7950Xは史上最速なるか、Zen 4世代の実性能テスト
https://news.mynavi.jp/article/20220926-2463412/

なおAMDは新型Ryzenの発売に合わせ、「レビューキャンペーン2022」を開始している。対象製品のレビューをYouTubeや価格.comなどのサイトに投稿すると、先着500名に「オリジナル キャンバストート」をプレゼントするというもの。期間は12月4日まで。応募方法など詳細については、公式サイトを確認して欲しい。

・AMDレビューキャンペーン2022
https://amd-heroes.jp/sp/review_2022Q4/

  • 新旧Ryzenのほか、グラフィックスカードも対象となる。先着なので急ごう

各社がX670Eのハイエンドマザーを投入

Ryzen 7000シリーズに対応するマザーボードとしては、「X670E」「X670」チップセットを搭載するモデルが各社より発売されている。どちらも最大44レーンが使用可能で、メモリはDDR5、M.2はPCI Express 5.0をサポート。ほぼ同じ仕様だが、X670Eのみ、PCI Express 5.0のグラフィックスが利用できるという違いがある。

今回、発売が確認できたのは、以下の各モデル。X670Eは基本的にハイエンド向けのため、10万円超えのモデルが多いが、一部5万円台で買えるものもあり、幅広い選択肢が用意されている印象だ。

メーカー 製品名 サイズ 価格
ASUS ROG Crosshair X670E Extreme E-ATX 150,000円前後
ASUS ROG Crosshair X670E Hero ATX 105,000円前後
ASUS ROG Crosshair X670E Gene microATX 92,000円前後
ASUS TUF Gaming X670E-Plus ATX 50,000円前後
ASRock X670E Taichi Carrara E-ATX 105,000円前後
ASRock X670E Taichi E-ATX 100,000円前後
ASRock X670E Steel Legend ATX 61,000円前後
ASRock X670E Pro RS ATX 57,000円前後
ASRock X670E PG Lightning ATX 53,000円前後
MSI MEG X670E Ace E-ATX 126,000円前後
MSI MPG X670E Carbon WIFI ATX 80,000円前後
MSI PRO X670-P WIFI ATX 49,500円前後
GIGABYTE X670E Aorus Xtreme E-ATX 111,000円前後
GIGABYTE X670E Aorus Master E-ATX 81,500円前後
BIOSTAR X670E Valkyrie ATX 60,000円前後

ASUSは、バラエティ豊かなラインナップを揃えた。最上位モデルとして、「AniMe Matrix LED」を搭載する「ROG Crosshair X670E Extreme」が登場したほか、X670Eとしては珍しいmicroATXモデルの「ROG Crosshair X670E Gene」も用意。「TUF Gaming X670E-Plus」は価格が安く、コスパを重視する向きには良いだろう。

  • ASUSの「ROG Crosshair X670E Extreme」。大きなLEDマトリクスが目を引く

  • こちらは「ROG Crosshair X670E Gene」。M.2ライザーカードが付属する

ASRockの「X670E Taichi Carrara」は、大理石のようなデザインのカバーで覆われた高級感あふれる最上位モデル。24+2+1フェーズの強力な電源を備えるほか、同デザインの12cmファンや、ファン付きのM.2クーラーなど、付属品も豪華だ。定番モデル「X670E Steel Legend」はコスパのバランスが良く、人気が出そうだ。

  • ASRockの「X670E Taichi Carrara」。大理石のデザインが非常にユニークだ

  • こちらは「X670E Steel Legend」。お馴染みのニチコン製12Kコンデンサを搭載

Intel GPU搭載グラボが24年ぶりに発売

Intel製のGPU「Arc A380」を搭載するグラフィックスカードが初登場。これはASRockの「Intel Arc A380 Challenger ITX 6GB OC」で、シングルファン/2スロット厚のクーラーを搭載するモデルだ。Intel製GPUを搭載する一般向けグラフィックスカードとしては、じつに24年ぶりの発売になるという。価格は29,500円前後。

  • ASRockの「Intel Arc A380 Challenger ITX 6GB OC」。カード長は190mmだ

  • 出力端子は、DisplayPort×3とHDMI。DisplayPortは2.0で、8K出力に対応する

性能はGeForce GTX 1650クラスとのことで、あまり強力に推す理由はないのだが、Intelは今後、上位モデル「A770」「A750」の投入も予定しており、"本命"はこちらと言えるだろう。GPU分野は長らくNVIDIAとAMDの2強時代が続いていたが、Intelがこれに割って入ることができるのか、注目である。

・「Intel Arc A770 / A750」開封の儀! 工具セットと派手な電飾がついてきた
https://news.mynavi.jp/article/20220930-2467583/