LHDでは、核融合反応による高エネルギー粒子を模擬した高速粒子ビームを用いて、プラズマの自己加熱を調べる実験が行われている。今回、この自己加熱の模擬実験において、新たに開発された計測システムを用い、プラズマ粒子の速度分布の時間変化について詳細な計測が実施された。

その結果、プラズマ内部での電磁波の発生に伴って、高速粒子ビームが減速するとともに、プラズマ粒子の速度分布の形状が歪んでプラズマが加熱されていることが示されたという。

また、この速度分布の歪みの理由は、ランダウ減衰と呼ばれるプロセスによって、高速粒子ビームのエネルギーが電磁波に移り、その電磁波のエネルギーがプラズマ粒子に移ったためであることも判明。これは電磁波が、高速粒子ビームからプラズマ粒子へと熱を運んで、プラズマを加熱したことが観測されたということであると研究チームでは説明するほか、電磁波の発生の1万分の1秒後には、速度分布の歪みが始まることも確認されたとする。

  • 熱が電磁波によって運ばれ、高速の粒子ビームの減速とプラズマ粒子の加熱が同時に起こる様子

    熱が電磁波によって運ばれ、高速の粒子ビーム(赤線)の減速とプラズマ粒子(緑線)の加熱が同時に起こる様子。電磁波の発生に伴い、粒子が加速されたことによって速度分布の歪みが観測された (出所:核融合研Webサイト)

なお、核融合発電におけるプラズマの自己加熱のためには、高エネルギー粒子がプラズマ粒子と衝突して加熱するだけでは不十分であり、ほかのプロセスによる加熱が必要だという。そのため、プラズマ内部で発生した電磁波が、そのプラズマを加熱できることを実証した今回の研究成果は、核融合研究に重要な知見を与えると研究チームでは見解を述べており、この成果は、同様のプロセスで粒子加速が起こっている地球磁気圏の研究にも貢献し、今後の学際的な研究の進展を促すことが考えられるともしている。