米Amazonは、新製品群を一気に発表する「Amazon Devices Launch 2022」を開催。一気に12製品以上を発表しました。個別の製品は、それぞれのニュース記事を参考にして欲しいのですが、ここでは個人的に気になった製品をランキング形式で一気に紹介します。
■1位:睡眠を奪い合え、「Halo Rise」
健康っぽいことを好む傾向が強いアメリカ人は、睡眠も健康的であることを求めています。Apple Watchをはじめとした多くのスマートウォッチは、睡眠時の身体的なデータをいろいろと取得して、いかに健康的な睡眠かどうかを示そうとしています。
テックジャイアントのAppleが睡眠時も時計を着けさせようとするのに対して、Googleはスマートディスプレイの「Google Nest Hub」にセンサーを搭載して睡眠をチェックしようとしています。
まあ、この2つはそれぞれすみ分けができそうですが、ここに新たにAmazonが参入。ベッドサイドに置くNest Hubと同様に、ベッドサイドに設置するタイプのデバイス「Halo Rise」を投入し、スペースを奪い合う格好になりました。
ちょっと異なるのは、Halo Riseはディスプレイのない「スリープトラッカー」であるという点です。もちろん、Alexaを内蔵しているので、声で操作をしたり家電を制御したりといったことも可能で、Echo Dotのような時計の表示には対応しています。
睡眠検出は内蔵のセンサーを利用。精度は高いとしていますが、複数人を同時に検出できるかどうかは分かりません。起床すると、睡眠アルゴリズムで睡眠データを記録して良い睡眠だったかどうかを教えてくれるようです。
ベッドに入ると自動的に部屋の照明を落とし、テレビを消す、といったルーチンも可能。温度、湿度、光量を測定して睡眠環境の最適化や、朝になると朝日の色と明るさに近い光を発して目覚めさせてくれます。スマートアラームなので、指定した時間というよりも、それに近い時間で起きるのに最適な時刻に起こしてくれる、ということのようです。
うまく動作すれば、なかなか強力にも感じます。ディスプレイがない方が、睡眠前にはいいかもしれません(どうせ手元にはスマホもありますし)。ベッドサイドライトとしても使えるのも便利かもしれません。
時計とは共存できそうですが、睡眠データの奪い合いが加速しそうです。価格は139.99ドルですが、現時点で販売は米国のみ。健康系の機能拡張としてHaloサービスも提供されるとのこと。
日本でもスマートホーム製品が増えていて、Amazon製品も共通規格Matterに今後対応するとのこと。そうしたときに、「ベッドに入るとスマートホーム製品を自動コントロールしてくれる」「ベッドから起きると電気を付けてコーヒーを淹れてくれる」といった機能は、それなりに便利かもしれません。
■2位:ハイパフォーマンスで老親も喜ぶ「Fire TV Cube」
テレビに接続してストリーミングコンテンツの視聴、Alexaの操作などを可能にするFire TVシリーズから、“史上最速”という「Fire TV Cube」が発表されました。国内でも10月27日から19,980円で発売予定という点で2位にランクインしました。
詳細は不明ですが、2GHz駆動の新しいオクタコアプロセッサを搭載して、前モデルより20%パワフルになり、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)にも対応して高速化しています。ただ、米国のリリースだと「Wi-Fi 6E」となっていますが、国内での発表では「Wi-Fi 6」止まり。ハードウェア的にはサポートしているはずなので、Wi-Fi 6Eにアップデートすればさらに魅力が高まりますが、現時点で「これ以上の情報はない」とのことでした。
HDMI入出力端子、USB、LAN端子を備えているので、ゲーム機やSTB(セットトップボックス)、Blu-rayレコーダー、USBメモリやHDD、Webカメラなどを接続することもできます。個人的には、実家に設置してビデオ通話、写真の表示などをできるようにすると喜ばれるのではないかと考えて評価が上がっています。
ちなみに、米国での価格は139.99ドル。1ドル142円ほどで計算されているようです。
■3位:先行するライバルを追い越す魅力を出せるか「Kindle Scribe」
Kindleシリーズの最新モデル「Kindle Scribe」は、その名の通り電子ペーパーのPaperwhiteディスプレイを採用しながら、専用ペンによる手書き入力に対応した大画面モデル。画面サイズも最大の10.2型で、電子書籍を読むだけでなく、PDF資料などに手書きする、といった作業も可能になりました。
ライバルとしては、ちょっとだけ大型10.3型E Inkを搭載した「HUAWEI MatePad Paper」があり、ライバルに対してどれだけ優位点があるのか注目。日本でも発売が決まり、2022年内に47,980円から、という価格で販売予定ということで、3位にランクイン。
手書きで電子書籍に付せん紙を貼り付けられるという、リアルの本のような体験も面白そうですし、そうしたメモは2023年には他の端末のKindleアプリでも確認できるようにするそうです。
HUAWEIのMatePad Paperを使ってみると、こうした製品はなかなかひんぱんに使うようには感じないのですが、ニーズにもよりますし、Amazonがいかにユーザーにアピールするサービスを提供できるか、そして手書きが便利なアプリの登場も期待したいところです。
■4位:車も360度オーディオも温度計も——「Echo」がアップデート
スマートスピーカー・ディスプレイのEchoシリーズはいくつかアップデートがあり、まとめて4位に。特に、「Echo Studio」と「Echo Show 15」のアップデートは、従来機種にもアップデートで新機能が配信されるという点でランクインしました。
Echo Studioは、独自の空間オーディオ処理技術を搭載し、これまでのDolby Atmosとソニーの360 Reality Audioの360度オーディオもさらに高音質化したとしています。Echo Show 15にも同じアップデートを配信するとのこと。
Echo Show 15には、Fire TV機能が追加。声で動画を探してそのまま視聴できるなど、利便性が向上します。
自動車内でもAlexaが使えるようになる「Echo Auto」。初代は日本でも販売されていましたが、こちらも新しくなりました。デザインも大幅にリニューアルされコンパクト化。車内で邪魔にならないサイズになっています。
ただ、初代が8つのマイクを搭載していたところ、ボディがコンパクトになったためか、新機種では5つのマイクになっています。これがどの程度影響するのか。技術の進化で5つでも十分なのかは気になるところです。
他には、車で出かけた後、自宅のAlexaにメッセージで指示を出してスマートホーム製品を動作させることもできるようです。
米国での価格は54.99ドル。発売日に関しては言及がありません。新機能として、声でロードサイドアシスタントに連絡をして牽引やバッテリー上がりの対処を依頼できるようです。日本だとJAFに接続する機能があると便利そうです。
「Echo Dot」と「Echo Dot with Clock」には、スピーカーの音圧向上、温度計、タップジェスチャーといった機能が追加されています。日本でも発売されているので、今後登場してもおかしくないのですが、執筆時点で国内発表はされていません。
メッシュWi-Fiに対応するeeroの機能がビルトインされているあたりが、国内発表されていない理由でしょう。このあたりの登場に期待したいところです。
■5位:ペットも会社も守るロボット「Astro」
国内の登場はあまり期待できませんが、アップデートされた自走ロボット「Astro」はやはり気になるところ。新たに、犬や猫を検知する機能が追加されました。家族の一員を見守るという点で、ペットもカバーするようになったわけです。
これによって、家族が不在中に、Astroが自宅内を自走してパトロールしている間にペットを見つけたら動画を撮影、家族に送信するといったこともしてくれるそうです。
AIの進歩によって自宅内の情報を学習し、例えば「ドアが開いているか確認して」と言われると、Astroは玄関ドアをチェックして撮影して、開いているか結果を伝えてくれます。
こうした進化は、家庭内だけでなく中小企業にも適しているとして、法人向けビジネスにも取り組みます。いわゆる警備ロボットとしてのAstroの利用です。セキュリティ製品の「Ring」と連携し、夜間に店舗入口から侵入されたらAstroが急行して警告したり、動画を警備会社に送信したりと、本格的な警備ロボットよりコスト効果が高いのがメリットでしょう。
SDKも提供することになり、開発者や学生によるさらなる機能の拡張も目指す考えで、さまざまな分野に進出できそうです。
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※初出:2021年