MMD研究所は8月31日、「2022年7月通信契約のチャネル別調査」の結果を発表した。スマートフォン・携帯電話の契約手続きに関するユーザーの動向が明らかになった。
4人に1人はオンラインで契約
調査の流れとしては、18~79歳の男女10,000人に予備調査を行い、直近で携帯ショップまたはオンラインで手続きを行ったユーザー各500人(計1,000人)を本調査の対象とした。
予備調査の段階で、スマートフォンまたはフィーチャーフォンを利用中の9,544人に「メインで利用している通信会社で直近行った契約や手続き」を聞いたところ、料金プランの変更(32.0%)、MNP(24.0%)、新規契約(20.9%)がトップ3だった。
続けて、そのメイン利用の通信会社を契約した場所を質問すると、「路面店の携帯ショップ」が28.7%で最多。2位は「通信会社の公式Webサイト」で25.0%だった。一見すると拮抗しているようにも見えるが、「街の携帯ショップ」「ショッピングモール内の携帯ショップ」など細かく分類された選択肢が用意されており、合算すると未だ6割以上の人は実店舗での契約を選んでいる実情が見える。
携帯ショップに行く目的のトップは意外な結果に
携帯ショップに行ったことがあると回答した7,902人に、その目的をたずねたところ、トップ3は「料金プラン変更をするため」(38.6%)、「端末を購入するため」(35.1%)、「端末の実機を見るため」(24.0%)だった。
2位・3位については、オンライン派のユーザーでも高価な買い物であるだけに購入前に実物を確認しておきたい人は多いと思われる。公式オンラインショップでは受けられない店舗独自の割引施策が盛んなことを踏まえると、各種手続きはオンラインで済ませても買い替えだけは実店舗でというユーザーも少なくないだろう。
一方、最多となった料金プランの変更については、すでに多くの手続きはオンラインで済むキャリアが多い。手続きのフローや料金プラン自体の分かりやすさも重要だが、「契約の検討をするため」(18.5%)なども上位にランクインしているように、ブラウザ上での単純なセルフサービスの手続きに留まらない「オンライン接客」の普及もひとつの課題といえる。ニーズのヒアリングや利用状況に合わせた提案など、実店舗のような柔軟な対応を画面越しでも実現する手段として、一部のキャリアはWeb会議システムなどを使ったオンライン接客を導入している。
実店舗派は安心感、オンライン派は手間の少なさを重視
実店舗で契約した500人に聞いた「携帯ショップで契約した理由」の上位には、「店舗で契約した方が安心できたから」「対面の説明で契約内容が分かりやすくなったから」「店舗スタッフが親身になってくれたから」などが挙げられた。反対にオンラインで契約しなかった理由の回答もほぼ同様だ。「当日中に契約完了したかったから」などの例外もあるが、全体の傾向としては、安心感や理解のしやすさに関する項目が並ぶ。
一方、オンラインで契約した500人は、その理由として「手続きが簡単だったから」「自分のタイミングで契約ができたから」「自分のペースで検討できたから」などを挙げる。店舗で契約しない理由には「自分で手続きしたほうが楽」「来店するのが面倒」「待ち時間が長すぎる」がトップ3となり、続いて「来店予約をするのが面倒」とも。コロナ禍以降、キャリアによっては飛び込み対応不可、当日予約も原則不可という状況になっており、来店予約がほぼ必須になったことを踏まえた結果だろう。
ユーザーのリテラシーやデジタル機器への習熟度などによって二極化が進んでいるようにも見える。しかし、オンライン派が実店舗を選ばない理由には「自分のペースで検討ができない」(14.0%)や「店舗スタッフにオプションなどの営業をされるのが嫌」(12.0%)など過去の経験に基づく拒否感が見えるのに対し、実店舗派がオンラインを選ばない理由は「相談しながら検討したい」(30.0%)、「オンラインだと自身で契約できるか不安」(23.4%)など、現状のオンライン手続きには不安があるものの、必ずしも店舗という形でなくとも解決可能な内容も多い。先述のオンライン接客のように、非対面・非接触でも個々のユーザーに寄り添えるやり方を提案していく余地はありそうだ。
調査概要
- 調査名:2022年7月通信契約のチャネル別調査
- 調査期間:2022年7月13日~7月15日
- 有効回答:予備調査10,000人/本調査1,000人
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象(予備調査):18~79歳の男女
- 調査対象(本調査):直近に携帯ショップ/オンラインで契約した人(各500人)