米Appleが秋に正式版をリリースする予定の次期iPadOS「iPadOS 16」。これまで同社はiPadOSのメジャーアップデートをiOSと同時に提供してきたが、今年は独自のスケジュールで、iOS 16より遅い時期にリリースする。最初のバージョンはiPadOS 16.1になる。

これはiPadOSのベータ・プログラムでベータ版がバージョン16.1にアップデートされ、その理由を質問した米TechCrunchへのAppleのコメントで明らかになったもの。

理由としてAppleは、今年はiPadOSにとって「特に大きな年」であることを挙げている。iOSとiPadOSは同じ基盤を共有するものの、iPadOSはiPad向けにデザインされた独自のプラットフォームであり、iOSに左右されず最適なタイミングでリリースする柔軟性を持つとつけ加えている。

今年のAppleのプラットフォームのメジャーアップデートについては、8月初めにBloombergのMark Gurman氏が、iOS 16とwatchOS 9は例年通りに9月にリリースされるが、iPadOS 16とmacOS Venturaは10月リリースになると報じていた。過去には、iOSからiPad向けが「iPadOS」として独立した2019年に、iPadOSが「iPadOS 13.1」としてiOS 13より遅れて登場したことがあるが、遅れは数日だった。TechCrunchに対して、AppleはiPadOS 16.1のリリース時期には言及していない。

iPadOS 16.1では、M1チップを搭載するiPadモデルで「ステージマネージャ」という新しいマルチタスキング機能の導入が予定されている。複数のアプリのウインドウを重ねて表示し、アプリをワンタップで素速く切り替えられるようにする。iPadでパソコンライクな作業を可能にする新機能として注目を集めている。

ステージマネージャはmacOS Venturaの目玉機能の1つでもあり、基本的なUIは共通だが、Macにはウインドウが増えると乱雑になるデスクトップを整理して作業しやすい環境にする効果をもたらす。今年はステージマネージャを通じてiPadOSとmacOSがそれぞれのメリットをとり入れるように歩み寄るので、その点ではmacOSと同じタイミングでのiPadOSのメジャーアップデートのリリースが望ましいといえる。

ただし、ベータ版のレビューを許可されたジャーナリストからステージマネジャが遅れる可能性の指摘もある。Macでは安定しているものの、iPadでは動作が安定していないという。iPadジャーナリストの第1人者といわれるFederico Viticci氏は、「(Appleは)急ぐ必要はない。私達はこのために何年も待ってきたのだから、2023年春に手に入れることになってもかまわない」としている。