7×7でWQHD、最高画質のプレイ環境が手に入る

さて、ここからはDual Radeon RX 6750 XT OC Edition 12GB GDDR6の性能を見ていきたい。冒頭で「7×7」を紹介したこともあるので、CPUにはAMD Ryzen 7 5700Xを組み合わせている。Ryzen 7 5800XとDual Radeon RX 6750 XT OC Edition 12GB GDDR6で、どのくらいのパフォーマンスになるのか。今回は実ゲームでのフレームレート計測を中心に紹介していこう。

■検証環境
CPU AMD Ryzen 7 5700X
マザーボード ASUS TUF GAMING B550-PLUS
メモリ Corsair VENGEANCE LPX CMK16GX4M2B3200C16(DDR4-3200、8GB×2)
グラフィックスカード ASUS Dual Radeon RX 6750 XT OC Edition 12GB GDDR6
ストレージ Crucial P5 Plus CT1000P5PSSD8JP(PCI Express 4.0 x4、1TB)
OS Windows 11 Pro
  • もう一つの7にはAMD「Ryzen 7 5700X」

  • コスパに優れたASUSのAMD B550マザーボード「TUF GAMING B550-PLUS」と組み合わせた

  • VRMの発熱を抑えることが長時間のゲームプレイでは重要。TUF GAMING B550-PLUSはシンプルだが大きなヒートシンクでVRMを冷却する

まずはスコアで性能比較のしやすいベンチマークを見てみよう。3DMarkのスコアは以下のとおり。

3DMarks
Time Spy Extreme 5935
Time Spy 12689
Fire Strike Ultra 8828
Fire Strike Extreme 16951
Fire Strike 30285
Night raid 61103
Port Royal 6264

3Dパフォーマンスはやはりハイエンドクラスで、とくにFire Strikeで3万点台に乗せている点は心強い。DirectX 11でWQHDのFire Strike Extremeのスコアも16,000点台なので、十分に高画質設定が狙えるだろうと想像できる。

また、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークも以下に示す。

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク
1,920×1,080ドット、高品質 12193 非常に快適
2,560×1,440ドット、高品質 9162 とても快適
3,840×2,160ドット、高品質 5079 やや快適
3,840×2,160ドット、標準品質 5906 やや快適

3DMarkで指摘したとおり、フルHDおよびWQHDは最大画質設定でも快適に楽しめるという評価が得られている。FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークは、現在でも比較的処理の重いベンチマークなので、ほかのタイトルでもおおむねWQHD、最高画質設定で実用的なフレームレートが得られそうだ。一方、4Kについても「やや快適」評価なのである程度視野に入ってくる。

それでは実際のゲームタイトルを用いた、フレームレートベースの結果を紹介していこう。(※エルデンリングのみ60FPS制限を解除していない)

  • Far Cry 6

  • Horizon Zero Dawn

Far Cry 6とHorizon Zero Dawnの2つについて。ゲームエンジンは異なるものの、フレームレートの傾向は似ている。2,560×1,440ドット(WQHD)までは最高画質でも60fps超が十分に得られている。3,840×2,160ドット(4K)&最高画質はFar Cry 6の平均55fpsならまずまずプレイ可能だが、Horizon Zero Dawnは最低フレームレートが示すとおり、超高負荷のシーンでカクつきを感じる。そのような場合は最下段のグラフのとり設定を落としてやるとよい。

  • Tom Clancy's Rainbow Six Extraction

Tom Clancy's Rainbow Six Extractionについて。フルHDなら最低fpsでも120fps超を記録している。WQHDでは平均で120fps超、シーン負荷によっては最低78fpsも出ている。このタイトルの場合、120fpsを目指すか60fpsでよいか悩むところだ。ただし、画質プリセットが幅広く用意されており、設定画面の各項目がよく分からないという方でも求めるフレームレートが得られるプリセットを見つけることができるだろう。

  • Forza Horizon 5

Forza Horizon 5について。WQHDでも最高画質のエクストリームで最低60fps超を得られている。4Kについては画質調整が必要な印象だ。ただし、4K、高画質設定で60fpsを超えているように、中や低まで落とさずとも十分なフレームレートを得られるタイトルである。

  • エルデンリング

エルデンリングもWQHDまでは最高画質でプレイ可能だ。4Kについては悩むところ。最高画質はややカクつきを感じるが、高に落として最低48.3fps、平均55.2fpsまで向上した。わずか4fpsほどだが、カクつきはいくぶん抑えられる。もう一つ画質を下げるかこのくらいでよしとするか、実際にプレイしてみて判断いただきたい。

このようにRyzen 7 5800XとDual Radeon RX 6750 XT OC Edition 12GB GDDR6の7×7ゲーミングPCは、多くのタイトルでWQHD&最高画質が楽しめる。解像度・画質の設定、あるいは比較的軽いタイトルならば120fps環境も得られるので、120Hz超のゲーミングディスプレイとの相性もよい。最後にアプリケーション性能をPCMark 10のスコアで見てみよう。

PCMark 10 Standard
Overall 7832
Essentials score 10956
App Start-up 14643
Video Conferencing 9311
Web Browsing 9647
Productivity score 9459
Spreadsheets 11119
Writing 8047
Digital Content Creation score 12581
Photo Editing 22781
Rendering and Visualization 11497
Video Editing 4996

ホーム用途のEssentials、ビジネス用途のProductivity、そしてデジタルコンテンツ制作のDigital Content Creationと、それぞれ1万点前後のスコアを得ている。グラフィックスカードが高性能なためとくにDigital Content Creationスコアがよいとして、基本的にゲーミングPCは高性能PCである。普段仕事に使いたい、Youtube動画の編集に使いたいといったニーズもバッチリ快適だ。

優れた冷却性能でファンの回転数制御も細かく静か

さて、ここからはDual Radeon RX 6750 XT OC Edition 12GB GDDR6のGPUクーラー性能を見てみよう。テストはFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークで行なった。設定は解像度が1,920×1,080ドット、画質設定は高品質としている。ログは2秒(2,000ms)間隔で取得しているが正しく2秒間隔というわけではないのでここでのグラフは秒とはせずカウントという形で扱っている。第1軸は青いラインのGPU温度用で単位は℃、第2軸はGPU使用率とGPUファン使用率で%表記している。GPUファン使用率はそれほど信用できる値ではなく、たとえば計測中の最大値付近の62%時で2,700rpm弱といった具合なので、ここが本来100%なのではと疑問があるが、ログの値どおりにプロットしている。

  • FF15ベンチマーク実行中のGPUログ

このグラフを見ると、GPU温度は一旦温まってからところどころ上に突き出ている部分が57℃、中央値が56℃、ところどころ下方向に突き出ている部分が55℃だった。GPU温度としては比較的低く抑えられている印象だ。GPUのサーマルスロットリングのしきい値はさらに上にあるものと思われ、常にそれ以下を保っていると考えられる。

GPU温度が小刻みに変化しているが、GPUファン使用率もかなり小刻みに変化している。先に説明したとおり、このログデータと実際のPWM使用率が合っているのかどうかは確証がない。もしかしたら実際には100%付近まで回っていたのかもしれない。ただしこのグラフから言えることは、ファンの回転数制御はかなり細かく行っているということだ。

実際、Dual Radeon RX 6750 XT OC Edition 12GB GDDR6はバラック組みの状態でもそこまで動作音が気にならないグラフィックスカードだった。もちろん動作音はあるので、より快適なプレイ環境を得るためにはこれを納めるPCケースの特性が重要だ。Dual Radeon RX 6750 XT OC Edition 12GB GDDR6のGPUクーラーがよく冷えると言っても、Radeon RX 6750XTはハイエンドGPUであり潜在的な熱量は大きい。適切なエアフローを与えてやることで性能、とくに静音性を最大限に引き出したい。

性能にくわえて快適さ・静かさを基準にするなら

ここまで、ASUSTeKのDual Radeon RX 6750 XT OC Edition 12GB GDDR6の紹介と、7×7の法則に則ったハイエンドゲーミングPC構成でどのくらいのゲーム設定が楽しめるのか検証してきた。Dual Radeon RX 6750 XT OC Edition 12GB GDDR6は、カード長を抑えてPCケースとの相性問題を比較的抑えたグラフィックスカードだ。冷却性能の点でも静音性の点でも、納得のいく製品と言えるだろう。

Dual Radeon RX 6750 XT OC Edition 12GB GDDR6は執筆時点で実売価格8~9万円前後だ。Radeon RX 6750 XTを搭載するグラフィックスカードとしては中央値に近く、安いというイメージはないが、高性能なGPUクーラーで静かさも十分なので割高に感じることは少ないだろう。いくらハイエンドを目指すと言えども、グラフィックスカードが10万円を超えてくると予算的にも敷居が増すのも事実。このくらいの価格のグラフィックスカードで、システム総額20万円~20万円台半ばと見積もってみるのがいいだろう。