伊IK Multimediaは、同社の新技術「AI Machine Modeling」を採用したギター向けエコシステム「AmpliTube TONEX」を発表した。システムはMac/PCソフトウェア、iOSアプリ、オンライン・トーン・シェアリング・プラットフォーム、機材のTone Modelキャプチャー時に使えるハードウェアで構成される。発売は2022年9月を予定。

  • ギター向けエコシステム「AmpliTube TONEX」

IK Multimediaの新技術「AI Machine Modeling」は、ニューラル・ネットワークによる機械学習を使い、アンプ、エフェクターまたはそのリグ全体のTone Model(トーン・モデル)をキャプチャーする。Tone Modelでは、単体の機材だけでなく、ファズ、オーバードライブ、ディストーションなど、アンプの前に置かれた複雑な倍音を含むリグ全体を、独自のアルゴリズムでキャプチャーするとのことだ。アンプとキャビネットを一緒にキャプチャーした後、この2つを仮想的に分離して、他のキャビネットと組み合わせて使うこともできる。

今回発表された「AmpliTube TONEX」エコシステムは、Mac/PCソフトウェア、iOSアプリ、オンライン・トーン・シェアリング・プラットフォーム、機材のTone Modelキャプチャー時に使えるハードウェアによって構成される。Mac/PCソフトウェアは「TONEX for Mac/PC」、iOSアプリは「TONEX for iPhone and iPad」、オンライン・トーン・シェアリング・プラットフォームはすでに運用が始まっている「ToneNET」、キャプチャー・デバイスは「TONEX Capture」。

  • Mac/PCソフトウェアは「TONEX for Mac/PC」、iOSアプリは「TONEX for iPhone and iPad」、オンライン・トーン・シェアリング・プラットフォームはすでに運用が始まっている「ToneNET」、キャプチャー・デバイスは「TONEX Capture」

TONEX for Mac/PCは、AI Machine Modeling技術により、アンプ、キャビネット、コンボ、エフェクター・ペダル(ファズ、ディストーション、オーバードライブ、EQ、ブースターなど)のTone Modelをキャプチャーし、DAWのプラグインとして利用可能にするソフトウェア。スタンドアローンおよびAU/AAX/VSTプラグインとして動作し、TONEXのTone Modelを使ったアンプ、ペダルは、ギター/ベース・エフェクト・アンプ・モデリング・ソフトウェア「AmpliTube」ギア・モデルとしても使えるようになる。ソフトウェアはTone Modelをキャプチャして生成する「Machine Modeler」と、Tone Modelを検索、ブラウズ、再生、サウンドのカスタマイズができる「Player」という2つのセクションから成る。Playerのサウンド編集セクションには、フルEQ、ノイズゲート、プリ/ポスト・コンプレッサー、デプス、プレゼンス・コントロールに加え、リバーブ、VIR(キャビネットごとに複数のIRを持つIK Multimediaの「Volumetric Impulse Response」技術の略)が搭載されている。AI Machine Modelingにより、Tone Modelとして取り込まれたアンプとキャビネットを分離できるので、ユーザーは独自のIRを試したり、VIRを使ったバーチャル・キャビネットやIRにアクセスし、トーンを構築できる。これらのカスタマイズはすべてTone Modelのプリセットに保存可能である。

TONEX for Mac/PCには、以下の4つのバージョンを用意している。

  • TONEX CS:20種のTone Modelを備えた10種のアンプ、5種のペダルを収録
  • TONEX SE:200種のTone Modelを備えた20種のアンプ、10種のペダルを収録
  • TONEX:400種のTone Modelを備えた40種のアンプ、20種のペダルを収録
  • TONEX MAX:1,000種のTone Modelを備えた100種のアンプ、50種のペダルを収録

TONEX for iPhone and iPadは、Tone ModelをiOS機器で体験できるアプリ。スタンドアロンおよびAUv3対応DAWアプリのAudio Unitsプラグインとしても利用可能。こちらもPlayerセクションを備えているので、Tone Modelを使って、どこでも演奏、練習、レコーディングが楽しめる。iOSアプリとMac/PCソフトウェアのTone Modelライブラリーは同期して動作するため、ユーザーのTone Modelコレクションは、スタジオ、自宅、外出先など、さまざまなシーンで各種デバイスを使ってプレイできる。

オンライン・トーン・シェアリング・プラットフォーム「ToneNET」では、AmpliTube 5プリセット集に加え、TONEX Tone Modelが共有可能になる。ToneNETでは、1,000種類以上のTONEX Premium Tone Modelを、TONEXソフトウェアやアプリでダウンロードでき、所有しているバージョンに含まれていないPremium Tone Modelもデモ試奏できるほか、TONEX CSでは20種、有償版のTONEX SE、TONEX、TONEX MAXでは無限のUser Tone Modelを無償でダウンロード可能。今後もIK Multimedia、アーティスト、著名なコレクターの作成したPremium Tone Modelのリリースが予定されているが、それらだけでなく、ユーザーによるTone ModelがToneNETコミュニティにて共有されるたびに、ライブラリーが増えるという仕組みになっている。ToneNETには、TONEX Mac/PC版ソフトウェア、iOSアプリから直接アクセス可能。通常のインターネット・ブラウザからToneNETにアクセスした場合でも、TONEX Tone Modelのデモを試聴してお気に入りが見つかったら、TONEXソフトウェア、アプリ起動時にダウンロードできるようマークをつけられるとのことだ。

マイクを使わずに、パワーアンプの信号を直接キャプチャーしたいユーザー向けに、オール・イン・ワンのトーン・モデリング・システム「TONEX Capture」が用意された。TONEX Captureをオーディオ・インターフェイスとアンプの間に接続すれば、TONEXソフトウェアの「Machine Modeler」セクションが再生するTone Modelキャプチャ用のライン信号を、アンプに接続可能なTO AMP信号に変換し、パワーアンプのキャビネット・アウトから出力された信号をアッテネートしてバランスXLR信号に変換することで、アンプのトーンがそのままキャプチャー可能となる。TONEX Captureは、ユーザー登録を行うと、TONEX SE for Mac/PC(200種のTone Modelを備えた20種のアンプ、10種のペダル)が特典として提供される。

それぞれの価格は以下の通り。

  • 通常価格
    TONEX Capture: オープンプライス(市場想定価格 38,500円前後)
    TONEX CS for Mac/PC:無料
    TONEX SE for Mac/PC:€149.99(21,440円)
    TONEX for Mac/PC:€249.99(35,740円)
    TONEX MAX for Mac/PC:€399.99(57,190円)

  • イントロ特価
    TONEX Capture:オープンプライス(市場想定価格 30,800円前後)
    TONEX SE for Mac/PC:€99.99(14,290円)
    TONEX for Mac/PC:€149.99(21,440円)
    TONEX MAX for Mac/PC:€249.99(35,740円)

なお、AmpliTube 5 MaxユーザーにはTONEX MAX購入時に€50割引が適用される。また、TONEX for iPhone and iPadの価格は現時点で未発表となっており、発売時にアナウンスされるとのことだ。