EOS R10ですが、AFはEOS R7と同じ印象です。トラッキングもEOS iTR AF Xも捕捉精度や合焦の速さなど際立った違いはなく、ローエンドクラスのカメラだからという引け目は一切感じません。AFエリアの選択もマルチコントローラーを備えているので、直感的な選択が可能。こちらもEOS R7と何ら変わらない部分であるとともに、クラスとしては贅沢な仕様のように思えます。写りについても同様で、EOS R7と異なるイメージセンサーながら高感度特性などは似通っており、良好なノイズ特性と述べてよいものです。機能や装備を細かく見ると、EOS R7よりも性能的に下回るところもありますが、意図的にデチューンしたように思えてしまうほどです。

  • 装着したRF-S 18-150mm F3.5-6.3 IS STMのテレ端での撮影です。AFモードはSERVOですが、ピントの緩さは感じられず、しっかりと被写体を捕捉しています EOS R10・RF-S 18-150mm F3.5-6.3 IS STM・絞り優先AE(絞りF8・1/640秒)・-0.67補正・ISO100・WBオート・JPEG

  • レンズの特性もありますが、レンガの一枚一枚をしっかりと描写しており、極めてシャープネスの高い写りです。「レンズ光学補正」の「周辺光量補正」は、この場合ONにしたほうがよかったように思えます EOS R10・RF-S 18-45mm F4.5-6.3 IS STM・絞り優先AE(絞りF8・1/400秒)・-0.67補正・ISO100・WBオート・JPEG

  • EOS R10のサブ電子ダイヤルは、カメラを背面側から見てトップカバーの右端にありますが、これはこれで露出補正では使いやすく、速やかな設定が可能に思えます EOS R10・RF-S 18-150mm F3.5-6.3 IS STM・絞り優先AE(絞りF6.3・1/320秒)・-0.33補正・ISO100・WBオート・JPEG

  • EOS R10のAFモードSERVOの精度やスピードはEOS R7と同じと述べてよいと感じます。AFエリアと重なった被写体に対し速やかにピントが合い、画面のなかで見逃すことがありません EOS R10・RF 70-200mm F2.8L IS USM・絞り優先AE(絞りF2.8・1/400秒)・ISO400・WBオート・JPEG

  • ショートバックフォーカスを活かした光学系や、カメラ側のデジタルレンズオプティマイザなどの電気的な画像処理により、画面周辺部まで鮮明に結像。隙のない写りが得られました EOS R10・RF-S 18-45mm F4.5-6.3 IS STM・絞り優先AE(絞りF8・1/640秒)・-0.33補正・ISO100・WBオート・JPEG

  • こちらも画面周辺部までしっかりと結像しており、不足のない解像感です。掲載した作例では若干周辺減光が気になりますが、「周辺光量補正」をためらわずONにするとよいでしょう EOS R10・RF-S 18-45mm F4.5-6.3 IS STM・絞り優先AE(絞りF8・1/400秒)・-0.33補正・ISO100・WBオート・JPEG

APS-C専用のRF-Sレンズ2本、描写性能やサイズ感は上々

今回、EOS R7やEOS R10と同時に発表されたRFマウントレンズ初となるAPS-Cフォーマット専用の「RF-S 18-45mm F4.5-6.3 IS STM」と「RF-S 18-150mm F3.5-6.3 IS STM」を作例撮影でメインに使いました。いずれも、得られる画角に対して軽量コンパクトな鏡筒であるとともに、強力な手ブレ補正機構やスムーズなAF駆動を行うSTMを装備しています。

  • RF-S 18-45mm F4.5-6.3 IS STMのテレ端45mm時の状態。フィルター径は49mm、レンズフード(EW-53)は別売です

  • RF-S 18-150mm F3.5-6.3 IS STMのテレ端150mm時の状態。フィルター径は55mm、レンズフード(EW-60F)は別売です

こちらの写りについても、カメラと同様に隙を感じさせません。レンズの性能を引き出しやすいショートバックフォーカスの光学系や、PMo非球面レンズなど高性能なレンズの採用などにより、Lレンズに負けるとも劣りません。もちろん、カメラ側の「レンズ光学補正」の「歪曲収差補正」など電気的な処理によるところもありますが、絞り値や焦点距離に関わらず、高い描写特性を誇ります。APS-Cフォーマットに最適化されたRFレンズは、いまのところこの2本しかラインナップされていませんが、EOS R7およびEOS R10ユーザーであれば、どちらか一本は持っていて損のないレンズといえます。

  • 2本のEF-Sレンズとも、EOS R7/EOS R10に装着すると「レンズ光学補正」の「歪曲収差補正」は自動的にONになり、ユーザーが操作できなくなります

  • 両レンズとも、鏡筒はマウント周辺部に対し一回りほど細くなっています。RFレンズでは鏡筒に備わっていたフォーカスモードスイッチはいずれも省略されています

  • 今回リリースされた2本のEF-Sレンズ、ともにマウントはプラスチック製。金属製のマウントを採用するワンクラス上のレンズの登場にも期待です

EOS R7とEOS R10、そしてRF-S 18-45mm F4.5-6.3 IS STMとRF-S 18-150mm F3.5-6.3 IS STM、いずれも使って楽しく、そして満足いく結果が必ず得られるように思えます。個人的にもとても興味深く、レビューの間、度々懐具合を見直す機会の多いものでした。RF-Sレンズが今後充実していけば、EOS R7とEOS R10の魅力はさらに増してくることは間違いですし、さらなる展開もとても楽しみなカメラに思えます。

余談となりますが、EOS R7とEOS R10の登場で気になるのが、同じAPS-Cセンサーを搭載するEF-MマウントのEOS Mシリーズの動向です。RFマウントの口径サイズを考えると、その存在意義はこれからも変わらないものであるように思えてなりません。EOS RシリーズのAFが移植されたり、ベテランでも満足する操作性や仕上がり、スタイルなどを持てば、こちらもEOS R7やEOS R10と同様に光輝くように思えてしまうのですが、いかがでしょうか。